ノブナガ陣営と徳川陣営の思惑
私はランと一緒に海の上にいた。
え、なんで?
「ウヌちゃん!海は広いね!大きいね!」
・・・
「な、なんでウヌたちは海に出たの?」
ダメだと思うけど一応私はランに聞いてみる。
「、、、まあ海賊王的なものになれってことなんじゃないかな?」
うん、やっぱりダメだった。
「ノブナガはなんて言ってたの?」
「ああ、そうそう!ノブナガは、、、えっとぉ、、、なんかこう、七武海的なのを倒せって感じじゃなかったかな?あれ、四皇だったっけ?」
ダメだ。完全に、圧倒的に、どうしようもなく、ダメだ。
「の、ノブナガといち早く連絡を取ったほうがいいの!」
「あ、でもそういえばこれをウヌちゃんに渡せって言われてた!」
ランは私に一枚の紙を渡してきた。
最初に渡せっての!
本当にバカなんだからこの子は!
「でもさぁ、ウヌちゃんみたいな子供に手紙なんて渡してどうするのって感じだよね!ごめんね、ウヌちゃん!うちのノブナガがぁ」
いや、どうするのって感じなのはあんただよ。
まあいいや、どうせこのおバカは何か言ったところで変わらない。
ましてや今はウヌカルなんだから、この辺のウザめ発言はスルーしよう。
それでノブナガからの指令は、、、
なるほど。
「この戦において式神たちの指揮はウヌカルがとるの!これがノブナガの印が入った指令書なの!!!」
「え、いきなりどしたの!?ウヌちゃん??」
『御意に!!!』
「ん?なんで式神たち私をスルーしてウヌちゃんの前に跪いてるの!?」
「ランお姉ちゃん、これから式神たちと打ち合わせがあるからちょっと静かにしててほしいの!」
「は、はい、、、え!?」
*
ランが海上でキョトンとしているころ、ノブナガは家臣たちを集めていた。
「大将、今日は式神たちが見当たらねぇがどこかに送り込んでるのか?」
「あいつらは今頃海の上だ」
「海!?」
「なるほど、式神たちで徳川のケツを叩くのね」
謙信も会話に入る。
「、、、まあそんな感じだ。それで俺たちは正面から徳川と正面からぶつかる。頼んだぞ、謙信、幸村」
「わかってるわ」
「任せろよ、大将」
謙信と幸村の了承を得たノブナガはここにいるもう一人の幹部の前まで歩いていく。
「そして先陣を切るのはお前だ」
「お任せください。私がノブナガ軍の一番槍となりましょう!」
伊達政宗である。
政宗は深々と頭を下げる。
ちなみにここには来ていない幹部が4人。海の上にランとウヌカル、あと一人。
そしてパプルとぷにぷに大将軍だ。
彼らは本陣を離れた式神たちに代わって徳川から送り込まれてくる忍者たちの処理をしていた。
「それにしても徳川から送り込まれる忍者は減らないな。いったい何人いるんだ?」
「確かにね。ちょっと異常かも」
「それなら徳川家康のスキルが関係してるんじゃねーのか?大将」
ノブナガ、謙信、幸村が話し合う。
「まあそう考えるのが自然だな」
「育成系のスキルかもしれないわね」
「ぷにぷに大将軍の調べでは徳川家康の基本職は忍者らしい」
「隠密や暗殺に特化した職業ね。その上位職となるとどんなスキルがあるのかしら」
「それだけじゃない。忍者には忍法というトリッキーなスキルもある」
「幻術や状態異常を引き起こすものね」
「ああ、まあそのうちのどれかに特化しているんだろう。だが幸村、お前もそういうの得意だろ?」
「ああ、人を騙したり、邪魔したり、出し抜いたりするのが俺だ。まあ職業のスキルとかじゃなくて、俺自身の性分だけどね」
「ふっ、性分ね」
「おっと」
いっけね、といった感じで幸村は口をつぐむ。
幸村はAIではなく、人間であると示唆するような発言だったからだ。
ギリギリセーフといったところか。
まあノブナガは大名にはAIではなく人間が入っていると思っているし、幸村もたぶんノブナガは気付いているなと思っている。
だからこれ以上話を広げるようなことはしない。
「徳川軍には他にも注意しなくてはいけない武将が3人いる」
ノブナガはさらっと話を変える。
「本多忠勝、榊原康政、酒井忠次の3人ね。本多忠勝は侍の中位職についている一騎当千の化物、逆に榊原康政は神職の中位職でとんでもない回復術を使うと聞くわ。そして徳川の筆頭家臣酒井忠次。僧の中位職となっている徳川家康の右腕よ」
「いや、酒井忠次はもういない」
「え?」
「そいつに代わって今徳川家康の筆頭家臣となっているのはプレイヤーの『ABCD』。コイツが一番ヤバそうだ」
「酒井忠次はそのプレイヤーに殺されたの?」
「さあな、その辺はよくわからない。だが酒井忠次亡き今、本多と榊原を差し置いて筆頭家臣となっているんだ。うまくやったんだろう」
「基本職は?」
「わからない」
「え?」
「パプルとぷにぷに大将軍に徳川家を隅々まで調べさせたが、コイツの基本職だけはわからなかった」
「あの二人から情報を隠しきるなんて―
「ああ、相当なキレ者だ」
「結構タフな戦になりそうね」
「ワクワクするだろ?」
「ははは!待ちきれないぜ、大将」
「はぁ、、、」
ノブナガと幸村のやり取りを見て謙信は溜息を吐く。
*
こちらは徳川陣営。
着々と戦の準備は進んでいる。
そして今徳川家康の前に3人の男が揃っていた。
「忠勝、兵たちの様子はどうだ?」
「みな士気は上がっています!ノブナガ軍などひとたまりもないでしょう!」
「康政はどうだ?」
「我らが回復部隊も同じく。どれほど攻撃を受けても問題ありません。兵たちは不死身のごとく立ち上がるでしょう」
「ABCDは?」
「このままじゃ間違いなく負けるね」
ABCDは気だるげに答える。
「どういうことだ!?」
「はぁ、少しは自分で考えて見なよ。バカ殿さん」
「貴様ぁぁぁ!!!」
「叩き切ってやるぞ!!!」
本多忠勝と榊原康政は怒りのあまり立ち上がり刀に手をかける。
家康に対して常に無礼な態度をとるABCDは二人から途轍もなく嫌われていた。というか徳川軍のNPCたち全てから嫌われていた。
「落ち着け、2人共」
「は、はっ!」
「、、、はっ!」
家康は今にも斬りかかりそうだった2人をなだめる。
「それで徳川が負けると言う理由を聞こう。ABCD」
「俺はあんたの忍者衆の何倍も優秀な直属の部下にノブナガ軍の動向を見守らせていた」
「なっ!」
「そして先日ノブナガは三河にむけて船を一隻出したみたいだよ」
「船?でもたかが一隻で何をしようというのだ」
「ノブナガの主戦力は豊富な式神たち。式神たちを動かすなら一隻で事足りる。ノブナガは陸と海から挟み撃ちにするつもりだ」
「何だって!?」
「つまりノブナガ軍の式神たちが三河に上陸した時点でウチの負けは確定する」
「・・・」
「海岸に兵を固め上陸を阻止しなくてはいけない。上陸してきたら厄介だが上陸を阻止するだけならそれほど兵を裂かなくても可能だ」
「・・・今すぐ海岸に兵を配置しろ!!!」
「「はっ!!!」」
本多と榊原は自らの軍からの半数ずつを海岸に配備することにする。
これによりノブナガ軍と正面から相対する本多軍と榊原軍の戦力は半減することになった。
「はぁ、不本意だが、今回の指揮官はお前に任せるぞ。ABCD」
「ふっ、それ以外ないだろ。自殺願望があるなら別だが」
「口の減らない奴め」
「俺は事実を言っているだけだ」
「本願寺からの援軍もお前に任すぞ」
「オッケー。僧兵は心強い。死を恐れず戦うからな。いい捨て駒になる」
「本願寺に睨まれるような使い方はするなよ」
「そこはうまいことやるさ。いくら死なせたとしてもその恨みの全てはノブナガに向くようにする」
「本当に勝てるんだろうな」
「知るかよ。勝ちがわかってるような戦なんてクソつまらないだろ。勝つか負けるかわからないから楽しいんだ」
「ふざけるな!負けは許さんぞ!!!」
「許すも許さないも負けたらみんな終わりだっての」
そう言い残しABCDは部屋から出ていく。すると背後に突然一人の男が現れる。
「殿、会議はどうなりましたか?」
名前は『444』。プレイヤーであり、ABCDの右腕でもある。
「おおむね予想通りだ。当初の計画通り動け!」
「了解しました」
そう言い残すと444はその場から消えていった。
「さて、ノブナガ。俺を楽しませてくれよ」
この10日後、ノブナガ軍と徳川軍は三方ヶ原でぶつかり合うことになる。
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