徳川との戦いに向けて
「ノブナガ、徳川家康は手強いわよ」
「そんなの見ればわかる」
「どうするの?」
むむむ、なんか最近上杉謙信がノブナガと親し気に話しているシーンが多くなっている気がする。
え?なんかこれってヤバいんじゃない?
ヒロインは私だよね。絶対、間違いなく、100%私だよね!なんか謙信が割って入って来てる気がするんですけど!なんか最近ノブナガとの距離感が近くなってる気がするんですけど!
(注:中身はどうあれ上杉謙信は男性キャラ。だがランにとっては性別など関係ない)
「徳川家康はこの戦国時代の主役の一人だ。だからこそ派手に葬ってやろう。それが竹千代の兄貴分、オダノブナガの役目だ」
「竹千代?そうか、ノブナガにとっては幼馴染みたいなものなのか」
「ん?お前、俺が本当にオダノブナガだと思ってるのか?」
「信じられないって気持ちはあるわ。だけどそう思った方が全部しっくりくるのよ。だったらその方がいいわ。どうせゲームなんだから」
「はは、その考え方嫌いじゃないぜ」
なんかおかしい。いや、おかしいよね。なんか気心の知れた男女、というかこれから何かロマンス的なものが始まりそうに見えるんだけど。
「じゃあ私は守りに徹するわ。だからあなたは日ノ本の全てを手に入れて」
「助かる。そして約束するよ。日ノ本、いやこの世界全てを手に入れるまで俺は止まる気はない」
「それでこそオダノブナガだね」
え、なにこの感じ。互いに認め合ってる的な、お互いのことはわかってるみたいな。
ん?なにこれ。
なんかお似合いのカップルみたいになっちゃてるよね!
違うよね。いや、全然違うよね。絶対違うよね!!!
「じゃあ俺たちは守りなんて一切考えず、事切れるまで攻め続けるとしよう」
「事切れるまでなんて言わないで。死んだら許さないんだから」
「そうだな。ちゃんと生きて勝つさ」
「うん、それでいいんだよ!」
いやおかしいおかしい!何今の感じ!まるで絶対結ばれるパターンの幼馴染カップルじゃん。
絶対ダメ!急な幼馴染感ダメ!絶対!!
ていうか何この感じ!何度でも言うよ!何この感じ!!!
なんかサラッとカッコいい感じのやり取りしちゃってるじゃん!!
やめて!私を置いてカッコいい感じのことするのやめて!
「さっきから一人で盛り上がってるみたいだが帰ってこい、ラン」
「ふえ?」
「俺が気付いてないとでも思ったか?お前さっきから物凄くウザいことを考え続けてたろ」
「だってそれはノブナガが!」
「黙れ。俺にはお前だけだ。正妻はどっしりと構えていろ」
「せ、せ、せ、正妻!?うん!そうそうそう!私正妻!!!絶対正妻!!!私最強!!!」
「だから俺の傍にいろ」
「もちろんであります!!!」
「妬けちゃうぐらい仲がいいわね。まあそれはそうとして徳川家康はどうするの?」
「どうするもこうするも普通に戦って潰すが、三河には隠し種がある。それをまず潰すとするか」
*
ノブナガと戦うことを決めた徳川家康の動きは早かった。
だが現状、徳川家康の思い通りに事は運んでいない。
「なぜうちの忍び衆からの連絡がこない!」
「さあ?ただノブナガ軍に忍び込ませてから皆音信不通になってますね!」
「どういうことだ?まさか、、、」
「そのまさかでしょうね。おそらくうちの忍びたちは皆ノブナガ側に殺されたっぽいっすね」
「、、、三河の忍びはその辺の斥候と違い、この戦国における最強の忍者だぞ」
「ならば向こうにも優秀な忍者がいるんじゃないっすか?」
「あり得ない!このゲームにおいて三河の忍者は最強!それは設定で決められているんだ!」
「でもノブナガ軍はプレイヤーなんですよね。それならこのゲームの設定なんて通じないでしょ。俺みたいにね。ほら、徳川家康にだっていくらでも失礼なこと言えますよ。デブ、ブス、ゴミクズ野郎♡」
「首を切り落とすぞ!貴様!」
「やってみなよ。ただ自分の首が先に斬り落とされないように気を付けるんだな」
「ちっ!」
「というかブタ君、俺にちゃんと媚びを売れよ。必死にさ。今すぐノブナガ軍に寝返ってもいいんだぜ?」
「なに!?」
「そうなったらお前はあっという間に焼豚だ。だからお前は必死で俺の機嫌を取らなくてはいけないんだよ」
「貴様!俺は大大名だぞ!!!」
「関係ないね。俺はプレイヤーだ」
徳川家康に軽口を叩き、それどころか挑発までしてヘラヘラしているのが、徳川軍筆頭家臣『ABCD』である。
中身は最近業績を伸ばしてきているIT関連企業社長の阿散井士度である。
彼は仕事の合間の息抜きとして『信長の覇道』をプレイしている。
だが最近は少し退屈していた。
彼は優秀過ぎたのだ。
ゲーム開始時、キャラが生まれる場所はランダムで決められる。その場所がたまたま三河だったから、彼は徳川の家臣となった。
そしてあっという間に徳川の筆頭家臣となってしまった。
やろうと思えば謀反を起こして徳川家を手に入れることも可能だったろう。
だが息抜きのゲームでまで社長のような仕事をする気はなかった。
となるとあまりやることがなかった。
主君である徳川家康は守りばかり固めて戦を全然起こさないし。
そんな感じで退屈していたとき、面白そうなプレイヤーが攻めてきてくれた。
ノブナガである。
徳川家康はノブナガの事を下に見ているようだったが、ABCDの見立てではノブナガは徳川家康より何枚も上手の将だ。
そしてまだ力を隠しているような不気味さも感じていた。
徳川家康じゃ勝てない。もし勝てるなら自分だけだ。
久しぶりにABCDはゲームを楽しみだしていた。
(せいぜい俺の足を引っ張ってくれよ、ブタ君。それぐらいのハンデがあったほうがこっちも燃える)
ABCDは家康に助言したりする気はなかった。ダメ社長として動いてくれればいい。
そんな縛りプレイを楽しもうと思っていたのだ。
だがABCDの見立ても甘かった。
本物の戦国時代で天下に手をかけた織田信長は現代の常識で測れるような男ではなかったのだ。
*
ノブナガが言っていた三河の隠し種とは戦国最強の忍者衆の事だったらしい。
うちで徳川の忍び衆に対抗できるのはプレイヤーであるパプルとぷにぷに大将軍だけだ。
だから私の、そう、ワ・タ・シ・の!式神たちが一人残さず掃除していた。
本当にノブナガは私がいないと何もできないんだから。
「ねぇ、ノブナガ」
「ん?どうした?」
「徳川の忍びたちを全て返り討ちにしてるのは私の式神たちだよね?」
「まあ確かにな。プレイヤーでない限り徳川の忍者衆に勝てる忍者は日ノ本にはいないからな」
「つまり私めちゃめちゃ役に立ってるよね!」
「ああ、式神たちがな」
「式神たちの手柄は主である私の手柄!」
「まあ俺が命令してるようなものだけどな」
「シャラーップ!私のて・が・ら!!!」
「、、、うん、そうだな」
「じゃあ私は所望する!!!」
「あ、嫌な予感。予感というかほとんど確信だけど」
「私はこの辺りでノブナガとのデートを所望する!!!」
「やっぱりな」
ということで私とノブナガのデートが決定した。
それでは次回は皆さんお待ちかねのデート回だ!!!
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