コロナ禍のキミと僕
─────── 僕がキミを好きになったのは五月だった
もう高校生活はコロナのせいで散々だった。
少しでもクシャミをしたら引かれたりするし、先生に注意される。
だからみんな笑いはするけどピリピリしていた。
ノートを開くのも億劫なぐらい息苦しいマスクと…… 受験勉強。
すこしまだ寒い日の昼休みに、キミと廊下で何気ない話をした。
ソーシャルディスタンスより離れた距離だったけどマスクを顎に下げて雑談。
ふわふわと揺れるような心。
「おい!松永!マスクマスク!」
「は、はい!」
先生に注意されてマスクを戻す。
キミもマスクを戻して、たぶん苦笑していたと思う。
それからキミを目で追うようになった。
でも、マスクをしているから話していても、眼があっても表情が分からない。
「マスクしてるからメガネが曇る〜!」
あははは…… と笑うんだけどメガネ×マスクのキミの表情が分からない。
暑くなり、夏。
夏服になり、もっと話したいと声をかける。
snsも交換する。
─────── 嫌われてないと…… 思いたい。
「夏祭り、一緒に行ける?」
「うん!」
やった!と家でガッツポーズをした。
夏休み。
コロナ禍で夏祭りが無しになる。
これは微妙だ!
キミと遊びたかったけど、お互いに祖父、祖母がいて高齢だからとコロナ感染リスクで危ないし勉強がある。
外に出来るだけ出ない。
迷惑をかけない。
キミと僕はスマホだけでしか会えなくなった。
「今年は修学旅行も無かったし、遊べなかったね」
「うん、淋しいよね」
そんなLINEをして過ごした。
休みが明けると受験勉強の追い込みが始まった。
教室では席が離れて、目が合うけどキミのメガネがマスクで曇って離れていると笑っているか分からない。
すぐに勉強にもどる。
嫌われたとかじゃない。普通にLINEもしている。
「大学生活とかコロナでどうなるか分からんが、まずは入らんと意味がない。オマエらコロナには注意して勉強せえや」
先生の言葉はもっともで、キミと話せるタイミングでもマスクが外せない。
僕はちゃんと笑っているから、伝わって欲しい。
季節は早くめぐる。
コロナのせいで青春とかあんまり……
生活がルーチンワークのように淡々と過ぎていく。
まるで作業だ。
カラオケとかも休業だし、久しぶりに外で会ってもマスクだ。
表情が分かりにくい。
告白してもいいか分からない。
─────────冬。
勉強、勉強。
近所の人がコロナになった。そんな噂がチラホラと出るから外に出られない。
ウチのばあちゃんは、肺気腫で膝関節が人工セラミックだ。歩くと膝の痛みと肺の苦しさから「はあはあ」と息が荒い。
コロナをうちに持ち込んじゃダメだ。
ばあちゃんにうつしたら死んじゃうかもしれない。
大学に合格。
やっと、勉強からの解放。
「私、落ちた。」
LINEでキミからのメッセージ。
どう返していいか分からない。
教室で会っても気まずい。
キミは…… 会ったときに笑っているの?口がマスクで見えない。無理しているような気もする。
「合格おめでとう」
「うん…… 」
気まずい。
滑り止めも落ちた彼女は浪人生になった。
僕はどう言えば良いかわからなかった。
桜は綺麗に舞い落ちて、僕の高校生活は告白もできないまま終わった。
────────── キミの背中を眺めながら私は涙を流した。
卒業証書が重たい。
体が辛い。
メガネが曇る。
私はマスクなんてしたくない。
私は受験に失敗した。
じいじが倒れて、家族が隔離されて勉強どころじゃなかった。
ホントに私はキミと同じ大学に行きたかった。
まだまだ時間なんてあると思っていた。
さっとキミが最後に私に振り返る。
皆んなが騒がしいから…… 分からない。
マスクをしているから…… キミが何か言ってくれているのか、私を見ているだけなのか分からない。
メガネが涙で曇る。
キミが男の子の仲間と学校を出て行く。
何かが終わったようなか気がした。
時間は戻る─────── 高校最後の夏
祭りに誘ってくれて嬉しかった。
妹が告白されるの!?告白されるの!?とノリノリなのがウザかったけど、実は嬉しかった。
夏祭りがコロナで中止になるのを知るまでは、凄く楽しみだった。
せっかく色々と用意していたのに。
まだ…… 時間はあるよね?
夏の間はずっと勉強をしていた思い出しかない。
キミとLINEする時だけがたのしみだった。
好きだなー。とゴロゴロとした。
──────────高校最後の春
ずっと好きだったキミと同じクラスになれた。
嬉しかった。
でも私は近眼で乱視。メガネが分厚くてマスクで曇りやすい。
いい印象をもって欲しくて、コロナ禍で怖いけどキミが廊下にいる時はマスクを外して笑いかけた。
やっと目があって…… 笑い合えた。
好きになってくれたらいいな。
やっぱりキミは笑顔がいいよ。
マスクはホントに嫌。
─────────高校2年の秋
まだまだまだまだまだまだまだ、まつまつまつまつ待つ
まつまつまつまつ、まだまだまだまだ。
──────────高校2年の夏
私は、となりのクラスの男の子に恋をした。
陸上競技の時に見た笑顔と首か胸のラインが気に入った。
きっと裏の家の犬よりいい声で鳴くと思う。
キミをナイフで裂いてみたい。
きっと楽しい。
夏祭りのある山の中で楽しもう。
それまでに好きになって欲しいな。連れ出すのが楽だし…… はぁ私、キミが好きだなぁ。
チッ、じいちゃんが最近…… 何かとうるさい。
コロナという事で、どうにかならないかをネットで探す。
この薬なら…… 私はニンマリと笑った。
なんとなくです、ええ、なんとなくです。
カップラーメン作るぐらい間ぐらいは暇つぶしできたでしょうか?
では、また!