表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/180

95話:冒険者たち(その2)


[蒲焼パーティー当日の担当冒険者たち]



子供たち曰く、お姫さまは、あのラースという生き物を溺愛しているらしい。


お姫さま自身は、何を言われても気にしないそうだ。が、大切にしている存在が貶められたり傷つけられるのは許せないらしい。


仲間は、下手を打ったらしい・・。俺たちも同罪だ。

どよ〜んとしていると、騒がしくなった。


うまい、うまい!と聞こえてくる。


子供たちと声のする方へ向かった。


白米の上に、細かく切った蒲焼きがのっているものを食べているようだ。

ひつまぶしというらしい。


食べてみると、本当にうまい。

さっきまでのことは忘れて、しっかりと食った。




仲間が、「撫子さんといるの誰だろう?」とぼそっと言った。


見ると黒髪のイケメンが撫子さんと話しながらひつまぶしを食っている。


「サブローだよ。」と、グレイが教えてくれた。


美男美女だなあ、と俺は見ていた。


すると、黒髪のイケメンが、立てた親指を自身の顔に向けて

「俺、サブロー・・とひつまぶし!」と言った。


「信長だぎゃあ!ぎゃははは。」と撫子さんが大声で笑ったので呆気にとられた。


な、なんだ?酔ってるのかな?


ツンツンと服を引っ張られた、グレイだった。


「聞きたい?」


「?」わけもわからず一応頷いた。




「撫子さんは、信長が好きなんだ。」

「?・・なにそれ?」


「昔の魔王だった人。」

「へ?」


「その信長は、サブロー信長というのが本当の名前なんだ。」


「・・ふーん?」


「因みに、姫様がさっき言った『おさらばえ』ってのはね・・・」


「うん?」


「娼婦の言葉で、さようならって意味なの。」と、ニーナが得意そうに言った。


「・・・・・。」




宙に浮かんでいる赤ん坊がオーリとラーンの弟だそうだ。


悪酔いしたのかと俺らは思ったが、そうではなかった。実際に浮いている。



仲間は、蜥蜴とか鳥とかがいたとわあわあ言っているが、それがどうした。


小さいドラゴンも飛んでいるし、妖精猫もいる。初めて見た。

映像で見たツノのある人間もいる。


珍しいものが一同に介している。

ところで、あのラースとかいう生物は・・・一体?


周りの大人たちは、なんで平常心なんだ?俺らがおかしいのか?




そして、今、目の前で歌い踊るスラ忍とかいう諜報員(?)たち・・・。


変わった衣装を着て、変わった武器を持っている。


このパーティー、出るものは全て美味くて。

不思議なものが当たり前のように存在している。


スラ忍たちのショーは、とても面白い。実際、皆が声を出して笑っている。

面白いんだけれど、、、色々と凄すぎて笑えない。


完成度高くないか?あんなことまでできるのか。


お姫さまたちは手拍子をしながら、楽しそうに笑っている。





「蓮は、あんまり食べにゃい。」

「周りの奴らみたいな量食えるか!」


「話せるようになってよかったにゃん。」

「・・ああ。」


「それに、なんかお兄さんっぽいにゃ。鞠はずっとこのまま、変わらにゃいけれど。」


「まあ、一度死んだからだろう。精神面で吹っ切れた部分があるからかもな・・。」


「帰りたいにゃん?」

「・・以前は、帰りたくてたまらなかった。今は・・わからない。」


「ここにいてほしいにゃん。鞠だけでなく、姫さまもそう思ってるにゃん。」

「いてほしい、か。」


(俺の意志は関係ない。・・どうせ、戻る方法はないんだ。蓮という名ももらったし、この世界に俺が存在する何かしらの理由があるんだろう・・。)


「にゃ?」


「鞠がいてくれて嬉しいよ。」

「鞠も嬉しいにゃん。」



鞠は、蓮のことばが嬉しくて嬉しくて、他の誰かにもこんな気持ちになってもらおう、と思った。


蒲焼きを持って王宮へとんだ。


「「鞠?!」」


「これ蒲焼きにゃん。食べて。姫さまが蛇を捌いて焼いてくれたにゃん。」


「へ、蛇?」「・・・。」


「キラ、ディル〜〜じゃあね・・・あれ?」


「「どうした?」」


「・・・うーん、にゃんか、キラとディルに似た?のをパーティー会場で見たような・・?」




首を傾げながら、鞠は去った。




「父上、これ・・。」


「うむ、蛇か。だが芳ばしいにおいが。食べてみるか。」

「ち、父上・・。」


「せっかく鞠が持ってきてくれたのだぞ?今度来てくれたときに、味の感想を聞かれたらどうする?」

「た、たしかに。」


「よし、食うぞ・・・っ」口を押さえた父親に焦るキラ。


「うまっ!!」


「え、では私も。・・・美味い。」




この後、食い物の取り合いという醜い争いが起きた。


国の頂点に立つものたちが意地汚い・・・。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ