93話:蒲焼パーティー
[蒲焼きパーティー当日]
珍界で焼いてタレを付けさらに焼いたものを、カンタベル公爵家とパーマー侯爵家、ノワたち影に送ってある。
当然、椿にも渡した。
前日からの宿泊客は0人。
当日の宿泊客は、他国からのギルマスの友人3人とアーフィン一行9人。
今日は、平民の集まり、無礼講と徹底周知してある。
・翡翠館全員(ギルたち護衛3人、獣人6人)
・翡翠館特別枠:エース兄弟とステラ姉妹と赤子
・別邸からヴァイスと弟妹たち、本日の担当冒険者5人
・ベン一家(ベン:パーティー中は、私服にて参加))兄弟ナート・ライトも参加
対して珍界メンバーは、
・神出鬼没の子ドラゴン蒼と紫蘭・妖精猫の蓮と鞠
・獣人化美青年姿のゴウル兄弟、3ロー、私の背中に張り付いているラース
・眷属の美女連中(出たり入ったりすると思われる。)と京、アラタ
・スラ忍の梢と柊
準備段階中に、早めに到着したアーフィン一行とギルマス一行には、適当に敷地内や邸内を散策して時間を潰してもらった。
柊以外の分身体・潔癖君たちには息を潜めてもらっている。
スライム風呂のことをテックたちに説明しておくように、双子のマミ・ミミに、頼んであった。
マミ「テック兄ちゃん、これ選んでくれたワンピース。
双子「どう?似合う?
テック「ああ、とてもよく似合っている。
双子「嬉しい!!ありがとう!
ギルマスの友人のうち2人は、一緒に行動していた。
呑気にふらふら浮いているヴィオが至る所で目撃される。
赤子を放置してとネグレクトを疑われそうだが、スラおむつによる見守り中なので安全なのである。
「なんだあれは!!」
「赤ん坊の幽霊?」
「「な、なななな・・・。」」
「アホか!幽霊ちゃうわ、実体やわ、ボケ!」ボソッ
「「だ、誰だ???」」「どこから声が??」
「なんか、手伝うか?」
「ギル!ありがとう大丈夫よ。それより、王国からここまで連れてきてしまってごめんなさい。
ご家族や友人が寂しがっているでしょう?」
「まあ、大丈夫さ。」
「そう?でも、福利厚生はちゃんとしないとね。そこで、一人ずつ1ヶ月交代で休みをとってちょうだい。王国へ里帰りしてきて。もちろん、その期間の報酬も保証するわよ。」
「いいのか!・・ありがとう。あいつらも喜ぶ。」
「ふふ、なら、そうしてね。」
「手伝おうか?」
「まあ、みんな優しいわね。」
「え?」
「いいの、こっちの話。手伝いは大丈夫だからセーラのそばに居てあげて。そろそろでしょう?」
エースは照れながら
「ああ・・。それで金も貯まったし、教会で式を挙げようかと。子が生まれる前に。」
「え、お腹大きいのに。衣装は?」
「セーラたちには、申し訳ないけれどそこまでは・・。手持ちのこぎれいな服でと4人で話している。」
「でも、あのお腹では、式後のお披露目会はしんどいと思うわ。生まれてからにしたら?その日に子たちも祝福を受けたらよいし。」
「いや、祝福分までは・・・。」
「では、祝福は、子の誕生祝いに私からの贈り物ということで。アレンの子にもね。」
「っ・・ありがとう、アレンたちと話してみるよ。」
エースたち4人
「・・・と、姫さんが。」
「嬉しいけれど、救ってもらってお世話になって、指輪もいただいて・・・。」
「そうよね、もうこれ以上は「姫様の言う通りに。そうしてくれた方が姫様は喜びます。」
「瑠璃さん、でも、甘えすぎ「よいではありませんか。姫様からの誕生祝いを受けてくださいな。」
「それに、獣人の子が祝福を受けることは、多種族の意識改革に繋がるかもしれませんよ?
姫様はいつも仰っています。獣人たちは、もっと評価されるべきと。
あなたたちが教会で式を挙げ、子が祝福を受けることは、獣人たちにとっての希望になると思いませんか。」
「「瑠璃さん・・・。」」涙ぐむ姉妹。
その姉妹を抱きしめる兄弟は、瑠璃を見て、頷いた。
「そう、受けてくれて嬉しいわ。ところで、新居はどの辺りを考えているの?」
「セーラたちがここで雇ってもらえるから、冒険者ギルドとこの邸の中間くらいで考えている。」
「そうね、ギルドに近すぎると仲間たちが入り浸るわよね。新婚さんには邪魔よね。」
エース兄弟が照れくさそうにする。
「もう少しではじまるから、彼女たちを迎えにいって。」
「ああ、ありがとう、そうする。」
庭に、脚付き炭火焼コンロが並んでいる。
蛇は、血抜きをしてある。
腹側に縦に切れ目を入れ尻尾側に向かって皮を引っ張ると簡単に剥ける。
これ全部繋がってたら、超楽しかったはず、所々皮がぶつ切りになり残念。
尻尾側に引っ張って内臓をとる。
これも繋がってたら一気に取れたのに。
次回蛇が手に入ったらそのまま収納しよう。そして弟妹たちに皮を剥ぐ楽しさを教えてあげよう。
骨を取りのぞく。手でやってたら日が暮れる。
召喚魔法で目前の蛇骨を召喚。この骨・・一応しまっておこう。
(ああ~、貴重な召喚魔法を蛇の骨とりに使っている・・byアラタ)
適当な大きさに切り、背中側から焼いた。
本邸料理人クックとその補佐たち、別邸料理人フィンと焼いていく。
視界にベンが入ったので私服に着替え家族を連れてくるよう伝える。
よしよし、焼けたなというところで、
じゃーん!!『秘伝のたれ』が入った甕!
これをそれぞれの横に置く。
焼いた蛇肉をたれに突っ込む。焼く。たれにつける。焼く。完成!
途中からワラワラとにおいにつられて人が集まってきた。
食べやすい大きさに切って、皿にのせていく。
「テーブルに冷えたエールがある。まずはそれ飲みながらどうぞ!」
必死にタレにつけて焼くを繰り返し、数枚焼いたところで後を任せた。
焼いてるものも食べたそうにしている。
裏方たちの口に蒲焼きを入れていく。横に冷えたエールを更に冷やして置いていく。
「焼いてる皆も、自分で焼いたのを食べながら飲みながらでいいから。」
(ああ、姫様手ずから口に入れてくれて・・。焼き役でよかった、幸せだ。 by名もなき裏方)
タローとジロー、子ドラたちは、でかい蒲焼きを食べている。
一口大に切る前に、掠め取ったようだ。
遠慮しているのではないかと思い、ベンに蒲焼きをそっと送っておいた。
後日、また家族で食べてくれればと思う。
ナートとライトもいて久しぶりに家族が揃ったようだ。
話してみると、好感のもてる兄弟だった。
あとでベン邸のメイドたちに兄弟の服を渡そう。クローゼットに入れてもらおう。
似合いそうなものを見繕ってみた。
同じ食べ方では飽きるかと思い、ひつまぶしにして出してみた。
米に縁の深い獣人たちは、特に喜んでくれた。
吟醸酒もどき(いや、完成度は高いはず)も出した。
今回焼いた分も少し収納にしまった。土産として持たせよう。