90話:店舗
「ヴァイス、明日はじめてギルドを通して依頼を受けた冒険者たちが来るの。それで、
あなたも補佐についてほしいのだけれど、もちろん報酬は同じだけ払うわ。」
コクコク
「邸の説明等頼むわ。きっと質問攻めに合うと思うから、対応をお願いしたいの。
今後もできれば、その補佐の仕事を頼みたいけれども。別の依頼を受けるならそれはそれでよいから、
あなたに不都合のないようにしてね。」
「しばらく他の依頼を受ける気はないから、任せてくれ。」
「助かるわ。」
1組目の冒険者たちが、とても快適な依頼だったと広めてくれたおかげで、枠はあっという間に埋まった。
ギルマスにヴァイス分の依頼・報酬を追加で送った。
蒲焼きパーティーの参加者は、ギルマス含め5人と連絡を受けた。
商会立ち上げは、一転して保留となった。
目玉商品となるものが、全てジンフィーリア製作品だからである。
後々を考えれば、商業ギルドか大手の商会に卸す方が手間がかからない。
その選択の方が損害なしに撤退できるからと考えた。
情報集めのための高級娼館の立ち上げも保留とした。
ジンフィーリアが面倒くさくなった、というのが理由だ。
娼館は、同族の『食事』も兼ねていたが、既存の娼館を買う方がよいという結論に至った。
結局、タイガ商会 =製造元の立ち位置でスタートすることにした。
商会とは別に、飲食店『鈴蘭亭』、美肌変身『ラベンダ』、美装爪『リリイ』を開店予定だ。
瑠璃と商業ギルドの建物に入った。
受付嬢「本日は、どのようなご用件でしょうか。
ジン「用件1つ目は、飲食店と美容関係店用の土地を2つ購入したい。2つ目、自作商品を卸したい。以上です。
受付嬢「まずは、商品からお伺いいたします。
カウンターに、シャンプー・髪用の香油・ボディーソープ、回復薬を置く。
回復薬以外の容器には、淡い色合いの花が描かれ、タイガ商会の商標(王冠を戴く金銀の虎が向かい合っている)が付いている。
ジン「シャンプー・香油・ボディーソープはそれぞれ3種類の香りを用意しました。
ギルドの女性陣に無料で1週間ほど使用してもらい、適正価格を決めていただけますか。
受付嬢「それでよろしいのですか?
ジン「はい、結構です。30本見本でお渡しします。
受付嬢「お預かりします。後日、回復薬のランク結果も含めご連絡させていただきます。
それで、土地ですがどのくらいの広さが必要でしょうか。
ジン「美容店は敷地内に2店舗、片方は、大浴場1つ、浴槽5つ入る店にしたいのです。
飲食店は、10テーブル入る部屋が2つ、個室3つ、店外にも飲食スペースをとりたいですね。
予算は特にありません。
受付嬢「・・なるほど、広い敷地が必要ですね。少々お待ちくださいませ。
(瑠璃、適当に具体的っぽく伝えてみたけれど、どうかな。)
(広ければ、それでよいと思います。)
受付嬢「お待たせいたしました。候補地の資料をお持ちしました。
実際に、今からご案内できますがいかがなさいますか。
ジン「お願いします。
ーーーーー
受付嬢「・・・では、こちらが土地の売買契約書となります。ありがとうございました。
ジン「こちらこそ、よい買い物ができました。
受付嬢「今後ともよろしくお願いいたします。
(すごいわ、この金額をポンと出して。平静を保つのが大変だったわ。)
「姫様、即見つかってよかったですね。」
「本当ね。夜間に塀をいを作って、建物は収納から設置するわ。」
「次は、求職ギルドですね。」
「そうね。」
[求職ギルドにて]
ジン「飲食店での給仕職を獣人限定で8人ほど募集します。男女年齢問いません。
受付嬢「獣人限定ですか?
ジン「はい。前向きな人を希望します。勤務時間は昼前から日付の変わる1時間前までです。
相場がわからないので、平均の1.5倍の給金で募集します。
受付嬢「・・わかりました。人数が多いので見つかり次第こちらから連絡します。
ジン「よろしくお願いします。
(獣人は仕事にありつけて喜ぶと思うけれど。従業員が獣人のお店では、お客さんの入りが期待できないのではないかと思うのだけれど。こちらも、紹介する以上、店は存続してほしい。)
「従業員が見つからなくても開店準備はするわ。
美容店の方は、落ち着くまで眷属たちに働いてほしい。何と言ってもクリアスライムが肝だから。」
「お任せください。」
獣人が働いているから、あの店はダメだなんて絶対に言わせない。
美容店の集客は、お祖母様とジョゼ母様に協力してもらおう。
<草木も眠る丑三つ時>
購入した土地に来ている。
土地を3mの高さの塀で囲む。
ここに美装爪店リリイと美肌変身店ラベンダの建物を収納から出す。
もう一つの土地でも同じように囲い、これまた同じく既に製作しておいた鈴蘭亭を収納から出す。
どの建物も2階以上は住居空間となっている。いつでも入浴可能な温泉風呂も有。




