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08話:図書館から奴隷商館へ



[ギル視点]


翌朝、侯爵家の従者が来訪した。

なぜこんなに早く来たのかと訝しがっていると、今回の魔力測定は中止になったから、即別荘へ戻るようにと言う。


理由はわからないが、測定装置が壊れたそうだ。

「修復出来次第、教会から連絡があるので、旦那様からまた指示がありましょう。速やかにお帰りください。」

「修復には、どれだけかかるのですか。」

「教会の話では、3ヶ月以上かかるかもしれないと・・・。」と従者はメープルに答えた。



従者が部屋から退出すると、お嬢様と虎兄弟は一斉にメープルを見た。

(な、なんだ??)

「帰りの馬車で話します。」と言い彼女はニッコリと微笑んだ。


「では、帰りますか?」とイーグ。

『そう・・・いや、ジンは図書館へ行きたいそうだ。』


「なら、帰ると見せかけて図書館に向かいましょう。」

「止められるだろう?監視の目がある。」

「おや、気づいていましたか。」とメープルがニヤリとして俺に言った。


『あの馬車なら問題ない、まあ監視者たちは、わたわたするだろうが。』

『クッ。面白え。』






女将に世話になったと言い、宿を出た。

街中を走り、図書館に着いた。


馬車を降りた。追っ手がいない??


「入りましょう。」

「馬車はどうする?」

私の言葉を無視して一行は進んでいく。


イーグと振り返ると馬車は消えていた。

「「はあぁ?」」

いつの間に・・考えることはやめて慌ててお嬢様たちの後を追った。


館内で私たちを見咎めた司書が寄ってきたが、ラースたちを従魔と説明するとすぐ引き下がった。


お嬢様は館内の一画を陣取って、メープルと一緒に本を選び始めた。

そして、大量の本を持って(私たちも手伝う。)陣地に戻り読み始めた。


『俺はパス。』と言ってジルバはどこかへ行ってしまった。


おかしい、とにかくおかしい。

お嬢様とメープルの頁を捲る速度が。

ものすごいスピードだ。読んでないだろう?と言いたい。


館内には、人がまばらだったが私たちは目立っていた。

赤茶の動物を背中に貼り付けた美少女と黒髪の美女、子猫に見えるものがその猫の手でページをめくって本を読んでいる(?)光景。

お嬢様の瞳の色も興味を引いているようだった。


私とイーグはお嬢様たちが読んだ本をもとの場所に戻す作業に追われていた。

何十回と往復した。

3時間ほどしてお嬢様は納得したのか席を立った。



外に出るとメープルの馬車が待っていた。

すでにジルバは中に居た。


ここで食事しながら、ジルバの話を聞きましょうと言いながらメープルに渡されたものは。

プレートにバランスよく食事がのっているものだった。

美味い。イーグを見るとガツガツ食っている。



ジルバの話

・やはり人種差別があり、底辺は獣人族。

・スラムの中でさえ、獣人は隠れ棲んでいる。

・孤児院は、獣人を受け入れていない。


話からお嬢様たちが獣人族に思い入れがあるのが伺える。

「奴隷商館はどうでした?」

『獣人の双子がいた。7歳だ。』

お嬢様の瞳がキラリと光った。






[念話会議中 : 主に金のこと]


奴隷商館に向かった。



到着し、まずは、楓とイーグで店内に入った。



[イーグ視点]


「単刀直入に言うわ。獣人の双子を買いたいの。」メープルがそう言うと、

店員は目を見開き、「少々お待ちください。」と言い奥へ引っ込んだ。


オーナーが出てきた。

「その、双子のことはどうやってお知りに?」

ニッコリ笑ってメープルは答えなかった。


ふうーと息を吐いて「実は、あの双子は今は商品ではないのです。」

メープルの片眉が上がった。


「取置き状態と申しますか、店頭に出してはいないのです。」

「予約ということかしら?」

「いえ、通常はこのようなことはしないのですが。」


オーナーの話を纏めると、

・双子の同郷の者が店に乗り込んできて、拐ったのだろ?解放しろと大騒ぎ。

契約不履行の違約金代として売られ、ここの奴隷商館が買ったことを説明した。


・やんごとなきお方の介入があり(騒いだ獣人の上司)期間限定で売らないことを決め、その間に金を用意できたらその獣人に引き渡すことになっている。



「へえ、やんごとなきお方とやらは、獣人を重宝しているのね。

見所があるじゃないの。」




メープルは、大したもんだ。

あの老獪そうな奴隷商と渡り合っている。


しかし、金を持っているのだろうか。

まさか、強奪する気では・・・









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