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86話:付属界にて(その3)

ある日の昼間。アラタとジンフィーリア。


ジンフィーリア離れしつつあるヴィオは、スラ忍に任せてある。




「研究者よ、意見を聞きたい。」


「それ何なりきり?」


「どっかの王様。王冠を戴いておろう?」


「・・それで?」


「結論から言うと、アラタのような解呪は諦めた。

時空魔法で呪いを受ける前に戻し、呪い返しを付与することをワンセットとすることにした。

病気も、病気前に戻すことで解決。

ただし、個々への対応となる。アラタのように一度に多人数は無理だ。

広範囲に時空魔法を使うことは、リスクがあり過ぎる。」


ケケケ怪獣で何度も試した。


「例えば、怪我をさせて2時間前まで巻き戻すとする。Aには2時間前までの巻き戻しでOK。

Bは直近は治ったが2時間前時点での傷が復活した。我のあずかり知らぬことだ。

もし、時間を戻した時点で死ぬような状態を霊薬で治してたとする。

我が状況を聞けない状態で、死ぬほどではない傷に対し適当な時間で巻き戻したら、

傷は治っても以前の危機が復活してしまい、下手したら死ぬことになる。」


「死んだケケケ怪獣の時を戻したが傷は治っても、生き返らなかった。

そして、欠損部分も戻らなかった。これに関しては納得がいかない。」


「死者復活できたら、いつ死んだ者も生き返るわけで、それは流石に・・・

それに、ジン、考えすぎだよ。臨機応変に対応すればいい。」


「自分が賢くないことは、わかっている。

毒や病気で意識がない者に、微調整しつつ時空魔法を使うことにする。

出来るだけ凰桃に頼る。在庫もあるしな。」




「次に召喚魔法だが、可能となった。」


「へえ。」


「さっきの毒の話だが、このケケケ怪獣に毒を与える。

そして、ケケケ怪獣の身体中に回った毒を召喚する。

ほら、この浮いている液体が毒だ。

毒投与後、細胞も毒攻撃を受けているから、毒を抜いた後、凰桃を与える。」


「面白いね。でもさ、希凰桃があれば、そんなに頑張らなくても。」

「それを言ったら、我の努力が無駄になるであろうが。(まあ、いいんだけれど。)」



「・・・他には?」


「我の創造魔法では、本物は作れない。例えばジェイの記憶の楽器だが、外見は再現できる。

仕組みも想像できるものもある。想像できなくてもその音が出せれば我はそれでいいからそのように創造する。

だが、料理のように見た目だけしかわからないものは、外見は再現できても味はわからない。

レシピを確認したくなる時がある。


確実なのは、ジェイの世界から、そのものを召喚することだ。

対価は、払う。泥棒になるからな。」


「我の収納から無限に出せる通貨は、全世界に対応しているからジェイの世界通貨でも渡せる。」


「!そうなんだ。」



「我は、此度ケケケ怪獣の頭の中(記憶)を見ることができた。奴らの感情の起伏が激しくなった時にだ。

冷静な時はダメだった。


例えば、蓮の記憶を覗けたとする。蓮の世界のものを召喚可能だと思う。」


「!!」


「だが、召喚したものを元の場所に戻せるかといえば、わからない。

異世界であれば、成功したかどうかの確認が取れない。

それと我の異世界召喚は、歪みを生じないのだろうか?と心配になった。」


「転移のように考えれば、物だけ転移させていると考えればいいんじゃないかな。」


「ああ、それだと蓮を戻すことが可能かもしれない。蓮がどこかの歪みに落ちてしまっても気づくこともできないがな。成功か失敗かわからないから、きっと一生モヤモヤするだろう。」


「確かに、蓮を異世界に転移させるのは危険だね。ものではないからね。

因みにジェイの世界から何か召喚してみせてよ。」


「あのなあ、異世界召喚の心配を話しているのに。」


「可能なんだよね。」


「ふうー。まあいいだろう。

まず、ジェイが見ていた世界を浮かべる。」


召喚陣が構築された。


『ちんあなご!』と唱えると、収納から対価が出て召喚陣に吸い込まれる。


「陣が消えた時に、ここにあるものがそれだ。」


「何これ?」

「だから、チンアナゴ。」


「水槽ごと来たね。」

「チンアナゴだけ来ると、死ぬからだろ。優しい売り手だな。」


「水槽代も払ったってことだよね。」

「些細なことだが、そうだろうな。」


「五匹いるね。何匹来るか、どのチンアナゴが選ばれるかランダムなんだろうね。」

「たぶんな、とにかく謎は多い。」


「思ったんだけれど、ジェイの世界の本を召喚すれば色々と疑問が解決されるよね。」


「そうだな、ジェイの世界に迷惑かけずに召喚できるなら、それが確定なら是非やりたい。

さすれば万事解決。我の好奇心が満たされる。」


(珍界とジンが生まれた世界を行き来することは、きっと、、問題ないんだよな?)


「で、これどうするの?」


「・・・食いがいがなさそうだから、ここの師匠たちに渡そう。水槽を作り変えてこの状態を保持できるようにしておく。・・・できた!アラタこれ持て。」


「はい、はい。」


「戻る時に、ケケケ怪獣を連れて行きたいが、タイミングが合わないと・・・。

珍界に戻って、ここから召喚できるといいが。ここも所謂異空間、やれる、か?」


(付属世界は珍界の模倣世界・・・。一度訪れたところなら、ここにも転移可能だろうか?)



「なんでケケケ怪獣を連れていきたいの?」

「子供達が喜ぶかと思って。」


「あ、そう。」


「あ、いいこと思いついた!ケケケを眷属化しよう!」


「却下で!!」


(自分のことを頭が悪いと思っていることは、自分自身を冷静に見ているということだからいいこと・・

いいことなのか??ダメだ、ジンのわけわからん思考に引きずられている。)




生物を入れておける収納があれば、ケケケ怪獣を入れておいて・・いや、だめか・・・。


潔癖君達のような関係にならないと。

もしかしたら、珍界に連れてきたら、友好的になるのでは?


あの歯で草食だから不思議だ。ヴィオを一発で消しやがって。


あの攻撃方法はよいな。周りに一切被害を出さず、殲滅対象だけを内側から破壊か。

けれども加減を考えねば、破壊後に外に力が波及するよな。

質量によって調節するか、明日から実験してみよう。


思うにケケケたちもきっと不思議生命体なのだ。ここの。




付属世界に一度入ったら、期間満了まで出られない。

それを転移で行き来したら、タブーを侵すか。


あーーーーイライラする。

賢くないんだから、もう考えるのはやめよう。

ぼーっとしてる方が幸せだ。






「師匠たち、これをやる。」


アラタがチンアナゴを差し出す。


「「「いらない。」」」

「・・・わかった。それと森にいる怪獣連れ帰っていいか?」


「「「?」」」


「恐竜みたいな、サササッと逃げる草食動物。夜行性。」

A「死んでも補充されて一定数に保たれる。だからいいと思う。」


「ここにいない生物が入ってきたら、どうなる?」

A「異物として排除される。だから、おまえらもそのうちここから弾かれる。


「アラタ、やっぱり眷属化?」

「ええーー。・・・あ、彷徨える森に放したら?」


「あ、あそこ放置してた。調査しつつ、ケケケを放牧でいいか。」


「でも、補充って、増え方がおかしい。ハハハ・・・。」


「環境が変われば、適応し、そこに合った増え方をする。

不思議生物だから・・・考えるだけ時間の無駄か。」






この世界で期間満了となれば、強制的にゲート前に飛ばされる。


ゲート前にチンアナゴを置いておこう。

ケケケたちも捕獲しておこう。


ゲートから戻る一瞬に掴めばいい。




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