76話:恋人たち
ラナは、預かった姉妹の愛する者たちが生還できたことを聞いた。
邸での話し合いが終わるまで黙っていてとジンが言う。
ナーナと話す。彼女たちは、かなり情緒不安定で危なっかしい。今すぐは真実を告げられないけれど、前向きに励まそうということになった。
セーラ:「エースがもう居ない、ということが信じられない・・・。」
ステラ:「私も・・・。せめて、遺品でもあれば・・・。」
ラナ :「先程の姫様達が、ダンジョンに向かいました。希望をもちましょう。姫様は期待に応えるお方 。」
姉妹が顔を上げて、ラナを見る。
ナーナ:「そうですよ。姫様はゾンビスタンピード時、ゾンビひしめく中に入り、見事!3人の遺品をゲットしたんですよ。」
(ナーナ、その話はまずい。死亡確定になっている。今回は生存してるのよ。2人の愛する人は。)
姉妹は、暗い顔をして俯いてしまった。
と、そこにエースとアランが現れる。
「う、そ・・・エースなの? 」
「 あ、あ、アラン生きてたの?」
2人はたまらず愛する男の胸に飛び込んだ。
兄弟も姉妹も涙が止まらない。
泣きじゃくる姉妹が落ち着いた頃、エースとアランの2人はそれぞれセーラとステラの前に跪き、指輪を見せた。
「セーラ、愛している。ずっとそばにいてくれ。君と子供を守ると誓う。」
ステラの指にエースの瞳の色の指輪をはめる。
ステラも震える手でエースの指に、自分の瞳の色の指輪をはめる。
「ステラ、最期を覚悟した時、君と子供のことしか浮かばなかった。誰よりも愛している。」
そして互いの指に指輪をはめた。
その指輪には美しい細工が施されていた。宝石は多面カットで美しく細かな光を放ち輝いていた。
透し彫りには、虎の姿があった。
姉妹は愛しい相手をじっと見つめ、嬉しさに涙した。
頃合いを見計らってラナが声をかけた。
「ステラとセーラは、食欲がなくてほとんど食事取ることが出来なかったんです。用意しましたので食べさせてあげてくださいね。」
テーブルには4人分の食事が。
早速、「あーん。」「はい、あーん。」とはじまる。
甘々な様子をラナたちは微笑ましく見ていた。
「こちらは姫様からの差し入れです。もち米を使った甘い菓子です。乳の出がよくなるそうです。
そしてこちらは、卵を沢山使ったケーキです。」
米と聞いて2人は、目をキラキラさせた。
菓子は、餡と果物がもち米の皮で包まれたものだった。
ケーキは、柔らかくフワフワだった。
どちらもとてもとても美味しかった。
甘いものが苦手な兄弟も、これは、美味いなと感想を漏らした。
その後、瑠璃が現れ、姉妹を兄弟から離れた席へ連れて行った。
その間、兄弟に酒とツマミをすすめてアラタが相手をした。
夜、寝室にて。
離れていた間のことを話し、夜が更けた。
アランは子を産んで間もないステラを抱きしめて眠るつもりだった。
すると、ステラが「瑠璃さんが、もう私の体は回復しているから、アランをう、受け入れてもいいって・・。」
「・・え?」
ステラを見ると頬を染め潤んだ目で自分を見ていた。
(そんな目で見つめられたら・・・。)
子は瑠璃が預かった。
エースは、セーラをお腹の子ごと抱きしめて眠るつもりだった。
すると、セーラが
「あ、あのね、瑠璃さんが教えてくれたの。妊娠中はちゃんと愛しあえないからと、とっておきのを・・」と言った。
そして、セーラのセーラによるご奉仕がはじまった。
翌朝、兄弟は互いに昨晩のことを思い出しながら、幸せそうに惚けていた。




