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74話:百合からの情報

初投稿時にほぼ書き終えていたのに、その後更新していませんでした。

久しぶりに次話を投稿します。

百合が戻った。


「おつかれ様。それで?」


「ギルドで乳飲み子を抱いた女とお腹の大きい女がギルド嬢に必死な様子で詰め寄っていたっす。


2人は獣人姉妹で冒険者の彼氏たちが帰ってこないことで、説明を受けてた途中で激昂したようっすね。」


獣人姉妹は、エースとアランと呼んで、受付嬢がエース兄弟と言ってたっす。


そこに治療を終えたらしいエースたちのパーティーメンバーが現れて・・・・。」


ダンジョンの中層あたりで、苛酷な戦闘中にアランが足を滑らせ、エースが助けに降りた。


その後叫び声が聞こえ、残りのメンバーは30分ほど戦闘していたが、全滅しそうになって逃げ帰ってきたということらしい。


中層のそこは、部分的に崖のようになっていて戦闘には不向きな場所だそうで、通常そこでの戦闘は避け先に進む。Cランクエースパーティーが先に進めないほど強い敵が数多く現れたことにギルド嬢やその場にいた冒険者たちは驚きを隠せないようだった。


崖下までどのくらいの距離があるのかわかっていない、底が見えないそうだ。


つまり、捜索不可ということらしい。


姉妹は泣き崩れ、残りのパーティーメンバーに支えながら、ギルドを後にしたと。


「で?」


「そのメンバーたち、助けられずすまないと言いながらも下心満載というか、彼女らに見えないところでニヤついたりしてたっすね。」




百合は、姉妹が家に入り、メンバーたちが遠ざかるのを確認し、一旦戻ってギルド周りで聞き込みをした。




以下百合の聞き込みでわかったこと。


元々姉妹もパーティーメンバーだった。姉妹も兄弟も両親が居ない。


姉妹たちがパーティーを抜ける状況になったので、新メンバーが2人入った。


4人で結婚式をあげるため、兄弟は金を貯めていた。


教会で結婚式をあげるのは、平民には敷居が高いそうですが一定の寄付金を用意できれば可能だそうだ。


獣人が結婚式をあげるのはなかなか画期的なことで話題になっている。




「先に2人を保護、ここに連れてきて。お腹の子によくないわ。


悲しみが落ち着いても、生活に不安があるだろうし。職務内容は『子が居てもできる仕事、孤児たち


の見守り』と伝えて勧誘してきて。・・その後、さらに調査して。」


百合は、姉妹の元に向かった。




ラナに事情を話し、保護できたらしばらく世話を頼みたいと告げる。


彼女は快諾してくれた。






保護に成功した百合が戻り、再度調査に向かう。


私は、姉妹にざっと自己紹介し、ラナに託す。






ジンフィーリアは、ゴウル・ジルバ・楓・アラタと冒険者ギルドへ向かった。


冒険者にならないと、ダンジョンへ潜る許可は出ないと聞き、急遽冒険者登録することに。


面倒臭いので目立たないように周りに軽く認識阻害を施す。


人が少ない時間で幸いだ。テンプレはいらん。


説明は遠慮し、Fランクプレートを受取る。


ダンジョンへ急ぎ向かう。入り口近くに案内所があり、先導を仕事とするものたちが居たので依頼した。


ダンジョン案内図はここでは買えなかったし、先導人に金を落とすのもよいと思った。


しばらくダンジョン内を進み、ランクを聞かれたのでさっき登録したFと言うと、中層へ行くことを無謀だと喚きだした。口を塞ぎ金貨2枚を握らせた。危なくなったら逃げてよいからと言うと、金貨を見ながら了承した。


他の冒険者がいないところで獣化したジルバに先導人を乗せ(驚き騒ぐので、うるさいと皆で一括し黙らせた。)、ハイスピードで進む。魔物は無視か一瞬で殲滅し中層の入り口まで来た。


百合から念話が入り 、メンバーたちの会話から、例の場所で突き落としたのは間違いないようだった。




先導人に礼を言う。彼は、入り口の転移魔法陣から帰っていった。




「行くぞ!!」




「この辺りのようですね。」


「本当に目視できないわね。ゴウル、どう?」


『・・・・1人生きてるな。もう1人は・・・ん?』


「「「!!」」」


「楓とアラタはゴウルとジルバに乗せてもらって。」


『姫は??』


ジンフィーリアは頭にカチューシャを装着、背中から透明な蝶のような羽が生えた。


「新作よ。」


底に向かう。




「到着!!思ったより深くなかったわね。」


「え?何故そう思う?」


「深いと数時間辿り着かないとか・・・。」



「えええ!それどこ行き?」


「地獄、ですかね。」




『そんなことより、そこだ!』



(((毒!)))


顔の半分だけを残して他は色が青黒く変色していた。


『ご丁寧に、両足潰してあるな。』


ああ、毒でなければ唄うのに。時間との勝負で飲み込ませるのは骨が折れる。






ほぼ意識がない、どっちの彼氏かわからないけど、失礼。


念の為、希凰桃を選び、一切れ出す。


咀嚼し、口移しでほんの少し水分を与える、再度少し。喉が動いた!


慎重に残りを与える。


全体が光り輝く。


「「眩しっ!」」



彼は、ゆっくりと目を覚ます。・・・すぐに、ガバっと起き上がった。


何かを探すようにキョロキョロし、一行には目もくれず走っていく、「エースーーーーッ!!」と叫びながら。




「おいおい・・・。」

呆気にとられながら、皆で追いかけた。




「「「・・・・・。」」」


『・・まだここから下があるわけだ。』



穴に顔を入れて、必死に名を呼んでいる。


「ゴウル?」


『・・・・・う、む。・・?』



「ここから落ちたの見たのね?」


「ああ・・・って誰?!」


「ええ~、、ちょっと待って。」


百合から調査完了!と念話が入った。


(百合!ギルマス拉致って邸へ連れてって。他の者に気づかれないように。)


(はいっす。)




「楓、彼を連れて邸へ、ここへは戻ってこないように。すぐ行って。」


「はい。」




(瑠璃、彼に食事を。鞠にギルマスを見せて見極めを。あとを頼むわ。)


(お任せください。)






さあて、狭い穴よね。


でも、傾斜は70度くらい。


「あ、アラタは帰っていいわ。」


「これ、異空間絡みでは?」


「あのね、敢えて言わないようにしていたのに。」


アラタは、帰る気はないようだ。


「なら4人で行きますか。」


ジンは、カチューシャから花の髪留めに替えた。



「それは?」


「これよ。」と言い背中を見せる。



背中に直径20cmくらいの花弁の多い透明花が付いている。

狭い所用の飛行魔具。


「あの、最初から背中に付けるものを作ればよいんじゃ?」


「背中に装着するのは面倒臭いじゃあないの。」




ゴウルたちは子虎の姿で、ジンフィーリアたちは、這いながらそろりそろりと降りていく。




『着いた。拓けたところに出たぞ。』


(よかったすぐ着いて。この姿勢で何時間コースとか無理。)




「なぜ、穴の付近に居ないのかしら?動けたの?」


『魔物に食われたんじゃねえの。』



「えー、魔物の気配はないわよ。蛇はいるけれど。」


「・・・でかいですね。」




チロチロ青い三股の舌を出しながら、ズル、ズルと蛇の頭が近づいてきた。


(蒲焼きにしよう。)


上を向いた尻尾の先が遠くに見えた。


「長い、わね。」




((!!!!膨れ・・))




『やっぱり食われたんじゃないか。』


『丸呑みか。まだそう時間は経っていないようだな。』




「取り敢えず、裂いてみようよ。」


「OK!」




蛇の頭を風刀で飛ばす、がまだ動いている。


肝心の場所の左右を新調した剣を出し切る。


(おおっ、手応えなくスッと刃が通った。)


ジルバがそれを爪で裂く。




((!!!! ))


「 少し、溶けて・・。」


「似てるね、さっきの彼と。」


(いや、そんな感想じゃなくて、やることがあるでしょ・・。)




『息は止まっているが、やってみろ。』



消化液まみれの彼を洗浄した。

「アラタどっちやる?」


「胸部圧迫で。」


「・・・了解。GO!」


(心臓が動き出したら、毒がまわりきる前に希凰桃を与えないと。)




「よし!胸が動いた、アラタ止め!!」


希凰桃を飲み込ませることができた!


彼の体が白く発光し、収束する。


そして、目を覚ました。


彼が何か言う前に、アラタに彼と転移してもらった。




凰桃は果肉ごと食べないと効果が薄まる、潰して収納に保存しておくとなぜか劣化する。凰桃は収納の本来の力を超える存在のようだ。それ故、実のまま保存しそのまま与えることになる。


一切れとか部分的に取り出しても残りの劣化は見られない。不思議だ、まあいいけれど。

希凰桃が複製できることは非常に嬉しい。希少価値が下がるから言わないけれどね。フフフ。




アラタが戻ってきた。


「この場所は、異空間ではないけれど、ダンジョンなのよね?」


「でも、あれ、ただの蛇だよね、大きいだけで。」





確認したいことがあったので、アラタにも心臓の位置を探してもらう。


真ん中より頭よりの位置に心の臓があった。


何をやってるんだと呆れ顔のゴウルたちはゴロゴロしている。




蛇を収納にしまった。



「蛇は、エサを絞め殺してから飲み込むと思ってる人が多いと思う。

でも、生きたまま丸呑みする蛇もいるの、水辺の蛇よ。エサは魚やカエルなどになる。

つまり、外部温度によって体温を変化させる生き物がエサなの。」


「つまり、エースは、毒のせいで低体温状態だった。あの蛇にとって最適なエサだったってわけ?」


コクン。



(腹が減ってたら、目の前にあるものを食べると思うけど。それを言うと姫が可哀想だから黙っていよう。)


「ああ、そっか。先に絞め殺されていたら、蘇生が間に合わなかった。間に合ったってことは、生きたまま丸呑みされた可能性が高い、だから水生蛇と仮説されると。」


「まあ、そんなとこ。でも心臓の位置から水生蛇と思われるわ。」


「へえ、蛇種によって心臓の位置が違うのか。」(・・・魔物もそうか。)

「ええ。」


「地盤沈下かなんかで、蛇がダンジョンに紛れ込んだのかもね。通常、そのうち魔物化するだろうけれど。」


「ふむ。」




『ジン、帰るぞ』


「OK。」




ゴウル兄弟は転移した。




「アラタ、ちょっと試したいのだけれど。」と言ってジンは、アラタをお姫様抱っこして飛んでみた。


「ちょっ、何するの!」(非常に恥ずかしいんだけれど・・・。)


「うーん、ちょっとこの軽量化花羽では、無理か。フラフラする、一人用ね。」


「納得したなら下ろしてよ。」



「さっきの先導人に口止めするわ、私たちが出てこないと心配して騒ぐかも。」


「あ、その方がいいね・・。」




案内所で、さっきの先導人を見つけた。


ちょいちょいと手招きすると、彼がやってくる。



「よかった、無事だったんですね。他のみんなも?」


「大丈夫よ、ありがとう。私たちが中層へ行ったことは暫く誰にも言わないで。これ口止め料。」


と言って金貨3枚を渡す。


彼は金貨を見て目を見開き、私たちを見て「わかりました!」と言った。




この珍界の姫は、本当に変わっている、面白い。

俺だけに聞かせてくれる話があることに、素直に嬉しいと思っている自分がいる。

へんてこりんな姫だけど、可愛いな。


「お返し。」と姫をお姫様抱っこし、つい口付けてしまった。


そうっと姫を見ると、驚いた顔をした後、俺を見てニヤリとし、


「エースと間接キス。」と微妙なことを言ってくれた・・・。



俺たちも転移した。

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