67話:テックとカジキの被り物
[ザクセン王国:王宮]
「鞠、テック以外にはバレるでないぞ。」
「わかってるにゃ。」
「けど、被り物、それでよいのか?他のに変えたらどうだ?」
「かぼちゃ?フランケン?どっちがいいにゃ??」
カボチャは、どこを見ているかわからない深淵の暗い目が、、、、結構くるモノがある。
フランケンは言わずもがな。
血ノリが生々しく付いているから鮮度のいい妖怪ゾンビ、といったところか。
ならいっそ、カジキの方が笑いが取れるか、うん、そうだな。
「・・そのままでいい。」
「テックいたにゃ!」
「修練場か、少し離れたところで降りるから、テックを呼べ。」
急に地面が暗くなったと思い、空を見上げるとドラゴン!!だった。
ドラゴンは、テックたちがいる修練場から距離をとって降り立った。
「テック!」
テックは名を呼ばれ、ギョッとなったがなんとか前へ進み出て、「オレ?」と自分を指差した。
金のドラゴンが、首を縦に2回振り肯定する。
仕方ないので、ゆっくり近づいていった。
ある程度近づくと、カジキに手を取られ引き寄せられた。
「この指輪、はめてにゃ。」
あ、鞠か。リ、リアルな魚だな・・・。
テックがはめると、「これでマミとミミと3人で会話できるにゃん。収納にもなってるにゃん。」と言う。
「え?」
「双子の名を呼んでみてにゃ。」
「・・・マミ?ミミ?」
「「!!兄ちゃん??」」
「わ!」
「というわけで、あ、念話でも話せるにゃん。次にゃん。」
と言ってワンピースを、伏せをしているドラゴンの背に10枚並べる。
「マミとミミに似合うのを選んで。」
「?? なら、これマミ、こっちがミミ。」
「おっけいにゃん。最後にこれにゃ。」と言って箱を渡す。
「これは?」
テックが持っているまま、鞠が蓋を開ける。美味しそうなおかずがたくさん入っていた。
「3重になってるにゃん。姫さまが作ったにゃん。
姫様、双子に優しくしてくれたテックたちに感謝してるにゃん。
これをつまみに酒を飲むといいにゃん。
テックの収納に入れるにゃんね。指輪に近づけるにゃん。」
「!! 。」
箱が消えた。
「・・・・あ、ありがとう。」
「じゃあにゃん。」
「どこに帰るんだ?」ちょっと情報収集・・。
「帝国の王宮に泊めてもらうにゃん。街中じゃドラゴンは目立つから。保護してもらうにゃん。」
「!・・保護?」
「キラに頼んであるにゃん。」
「キラって?」
「え、とキラは次の皇帝になるにゃん。あ、そのつまみ食べる時、第1近衛のクースを誘うといいにゃん。」
「!!!・・・・?クース??居たかな?」
「遺品受け取った人にゃん。」
「ああ、、、名前が違・・??・・・・で、誘うと?」
「さっき、クズがお仕置きされたにゃん。その話聞くといいにゃん。」
「は??」
不意にドラゴンの視線を感じ、見ると、ニヤリ、と笑った。
「!」
「じゃあにゃん。」
飛び立っていった。
実は王宮は大騒ぎになっていたが、騎士たちは離れて様子見をしていたのである。
(思いっきり目立ってしまった・・・。by テック)




