64話:引越し
[翡翠館]
アーフィン第2王子の部屋に近衛たちはいた。
「では、王妃さまに?」
「ああ、敢えて母上に書面を送った、流石に父上に伝えるだろう?」
皆でニヤリとする。
「ところで、天に届く光の帯は一体何だったのでしょう?」
「まあ、考えなくても一番疑わしい者らが、ここに住んで・・・。」
「「「・・・・。」」」
『『よう!』』
突然、ゴウル兄弟が現れる。
「「「!」」」
『そろそろ帰るか?それとも再調査するか?』
王子は首をふって「いや・・・。帰るよ。」
『よければ送るが?』
『あのクズより先に王宮へ到着した方が、色々と都合がよいのではないか?』
「! 頼めるか?」
ジルバが頷く。
『他の者らが支度をしている間に、少し話を。』
「ああ。」
『今回のクズの行動で、お前に有利に働くといいな。ニヤリ。
シールはキャンデック侯爵としてやれそうか?』
「・・・。」
『侯爵夫妻、下の娘は許すつもりはない。』
「そうだな・・・。」
『第1王子とシールは、ジンがいなかったら死んでいた。』
「わかっている。」
『ゾンビ化を防ぐため使った霊薬のこともある。
我が姫は、対価として、このキャンデック侯爵領を所望だ。』
「!!!」
『帝国から、もしかしたら招待があるかもな?金は置いていくのか?』
「!・・・・ああ、残す。」
『シールに挨拶は?』
「既に済ましてある。」
『我が姫は、帝国カンタベル公爵の娘だ。父上は皇帝の第3皇子だ。実はもう婚約者も決まった。』
「!!!・・・・誰、にだ?」
『皇太子の第3皇子だ。』
「!!!・・・いつだ?」
『数日前だったかな。大々的にお披露目もあるかもしれん。』
「・・・。」
「アーフィル王子殿下、準備が整いました。」
『なら、行くぞ。』とジルバ。
王宮だった。
「「「!!!」」」
『じゃあな、キャンデック領のこと頼むぞ。』 消えた。
アーフィルは、物凄く、気落ちしていた。
「殿下?どうなさったのですか。」
「ジンフィーリアが、婚約したそうだ。」
「えっ、いつの間に?」
「数日前だそうだ。」
「お相手は?」
「帝国の皇子だ。」
「皇帝の孫、ということですか。」
「そうだ。」
ジルバが戻る。
先に戻った瑠璃にすぐ立てるよう準備するように伝え、別荘へ。
こっそり管理人夫婦とその娘たちに挨拶する、料理人カールによろしく伝えておいてと頼む。
最後に、ロイドだ。
「世話になったわ。私は商会を立ち上げるつもりなの。のちに文官もほしくて。
ロイドさえよければ、手伝ってくれると嬉しいのだけれど。」
「な、なぜ私に・・。」
「さあ?・・・護衛たちがこちらに戻るからよろしくね。私は、身内のいる帝都へ行くわ。じゃあね。」
「あ、お待・・・・」
「お待たせ、みんな。金と茶にはお世話になったわね。別荘へ行きなさいね。瑠璃頼むわ。」
「お任せください。」
[帝都、瑠璃が探してくれた土地と屋敷]
「ゴウル、ノアたちをお父様の屋敷へ連れてってあげて。」
『行くぞ。』
「本当にありがとう。またね。」
5人が頭を下げる。
楓が翡翠を出してあげる。
護衛、ラナたちと一緒に、一旦翡翠館へ入る。
今日は疲れたから、もうこのままラナのところでお世話になろう、と部屋へ行くジンフィーリアであった。
ベッドにダイブした後、ウトウトしてたようだ。
(か、かぐや姫?お、俺だ。)
(ん?・・・ああ燻し銀か。)
(は?・・・あの俺はギルドマ(わかっとる。で、どうしたのじゃ。)寝ぼけててもフリは忘れない。
(あー、そのかぐや姫に会いたいというやつがいるのだが、いいか?)
(誰じゃ?)
(帝国出身かと聞いた者だ、でわかるか?)
(ああ、あのニュービー、だが断る!)
(っ!・・あのなそいつらの身分を明かされたんだが・・)
(もう帝都民だ、キャンデック侯爵と奴隷商が我を捕縛にくるから逃げた、コテージごと。)
(はああ?・・・奴隷商って?まさかキャンデック侯爵が?)
(あ、そうじゃ、その可能性もあるあるじゃな。えーと、護衛の黒が奴隷商の手先で、10歳の時買ったわらわを侯爵の手下に盗られてな。諦めたと思ったら執念深くて機会を伺っとったが、今回黒を送りこんできたわけじゃ。面倒じゃから帝国へ逃げた。
今は帝国で、今日買った屋敷内にいるということじゃ。
今日は疲労困憊じゃ、寝る。)
(お、おい・・。)
シーン。
「(はあ。)あ、あー、皇子殿下?、ひ、姫はもう、コテージごと帝都にいるらしい。」
「「・・・はあ??」」




