60話:囚われ妖精猫
[フィリアワールド:鬼人族集落]
族長「これは、姫様いかがなされましたか?
ジンフィーリア「実は、結界・・時空間魔法などに造詣が深い者がここに居ないかと思って・・
族長はニヤリと笑い「ちょうどぴったりな者がおります。私の弟なのです。
族長「おい、アラタを呼べ。
ジンフィーリア「それと族長、鬼人族の王が顕現したことでもあるし・・
族長「我らは、王に従います。
ジン「そうか!ならばアラタには、鬼人族の周知に一役も二役も買ってもらおうぞ。
ロリかぐや姫フリがぬけてないジンフィーリアであった。
アラタは、細身の王子様系のキャラだった。角はクリスタルだ。
暇さえあれば、ここの不思議界をあれこれ検証し続けているという『空間オタク』だった。
頼もしい同志が増えた。
[彷徨える森・結界前]
メンバー:精霊王、エンシェントドラゴンのリアン
ジン側: ゴウル兄弟、楓、アラタ
影たちには何があるかわからないので遠慮してもらった。
納得しないと思ったので、眠らせた。目を覚ました時には、眠っていたことすらも覚えていない。
何もなかった、ジンは外出していないとの認識となる。
皆で結界内に目を凝らす。
リアン『・・いるな。
精霊王『弱っておるな・・・。
ジン「この状態、どうみる?
精霊王『姫はどうみる?
ジン「父ライルが入ったダンジョンの、限られた場所内で囚われていると思う。
そこの檻がなぜかここまで拡がっているので、行き来(檻の中を移動)はできるけれども外(檻から見
えるこの森にも)には出られない。
どういう経緯かはわからないけれども彼の囚われている檻の中に父は偶然入った。
その時は、檻の端が結界外にまで出ていたのではないかと。
だから父は彷徨える森にとらわれることなく結界外に出た。
アラタ「囚われている彼だけは出られないけれど、姫の父上は檻に異物と認識されたのではないでしょうか。出たのではなく、強制的に出されたのでは。
ゴウル『では、この者だけを捕らえている檻、なのか。
ジン「あ、彼が移動するとそれに合わせて檻が変形するのかも。
アラタ「なるほど
ジン「シールたちは、彼が囲むように移動してくれた中にいた。例えば凹←このへこみにうまくシールたちを入れてくれたとか。単純に自在に変形させることができるのかもしれないけれど。
アラタ「いや、彼が作った檻ではないので自由自在は無理かと
精霊王『永きに渡り囚われているうちに、干渉できるようになったとも考えられる。
リアン『さて、どうやる?先にこの結界発生器を破壊するか?これはこちらと危険地帯の
ただの境界線だろう?
楓「人間は境界を越えられるけれども、戻ってきませんね。
ゴウル『越えて、彷徨うから境界線まで戻ってこれないだけでは?
ジルバ『でもゾンビは境界まで来ててもこっち側へ来れなかったぞ。
楓「どうやって選別してるんでしょうね?
ジン「リアン、一応結界というから、囲んでるんじゃないの?
リア『結界でも境界線でも、それを発動させた時に、内側又は向こう側のものがこちら側に来られないだけということだろう?力が足れば戻れるし越えられる。
ジン「彷徨える森ありきで、安全のために設置したわけよね。ここから危険、迷子になるよって。
アラタ「俺としては興味深いんですが、短時間で解明は無理でしょう。彼を助けるのが最優先ですよね?
姫の空間だって、姫が凰桃の木ごと実在の場を切り取って閉じ込めそこから派生させた珍界じゃないですか。
ジン「珍界ってなによ。
アラタ「なんでメイとモウなんて不思議生物がいるんですか?あれなんですか?
楓「フィリアワールドに入ったら居たんです、先住民です。
アラタ「・・・・。精霊王様、なんとか言ってください。
精霊王『どうでもいい、害はない。
楓「乳をいくらでもくれるありがたい存在ですね。おっぱいの女神様です。
リアン『おいおまえたち、彼が呆れて座り込んだぞ。
・・・・・。
アラタ「どうせ不完全装置なんですから、壊しましょう。
(不完全になったのは、姫様の攻撃が原因ですよね。それにリアン様方が序でに壊す、でもいいと思うのですが)
アラタ「未知の異空間なのですから力技で消滅させた方が早いです、天空まで高さがあるわけでもありませんし
ゴウル『上空にいても特に干渉されなかったな。
アラタ「防御壁は強固に重ねがけして余力があったら高さも出してください。これは姫の十八番でしょう?
(この世界も宇宙というものがあるのでしょうか。あったら惑星が消滅したり・・・しないですよね。)
アラタ「僕は外に出た瞬間の彼を最大限守護します。神獣様方、リアン様異空間を滅してください。
精霊王様は、その後今の森に似せて森を作ってください。外観だけで結構です。
楓は装置を壊したら精霊王様と一旦避難してください。
精霊王様、呼んだら疾くお越しください。
精霊王『あいわかった。
楓「では壊します。・・・・・終わりました。では。
アラタ「姫とタイミングを合わせることに集中します。絶対守ります。中途半端は危険ですので最高出力でいきます。姫?
ジン「・・・・できた!!
(あああ、本来なら私ごときが聖獣とドラゴンの力をどうこうできるはずないんだけれども、力を信じるしかない!!!)
上空にいるリアン、ゴウル兄弟は3点から中心に向けて出力を上げ続ける・・・3者がタイミングを合わせて放つ!!!
螺旋を描く3色の光が天に向かって昇竜のように何度も何度も駆け上がる。
時間経過とともに白色を帯びていき徐々に細くなり、収束したかと思われたその時、1体の白金龍が天に昇り上空で弾け流星のように降り注いだ。
その後、王国の王宮上空を旋回するドラゴンの群れが確認された。
ドラゴンたちは旋回に飽きると多方向に飛んでいき、いきなりふっと消えた。目撃情報を擦り合わせると、20種ほどに及んだ。
キャンデック領:彷徨える森の管理を任せられている冒険者ギルドは、光の発生源を確かめるべくギルドマスター自ら森へ赴いたが、スタンピード後の森は静かなものでなんの違和感も感じなかった。




