55話:瑠璃の語り(その4)
「コテージに戻った姫様の手の中に指輪が戻りました。」
「緊急事態!!金ピカアーマーを目標地点として我々は転移しました。」
「あ、ライル様も腕輪はめていますから転移できますよ。ライル様一人限定で、誰かを連れては無理ですけれど。距離も限られますけれども。」
(((え!!!)))
「あ、姫様に聞いても知らんて言いますよ、ご自分で距離は検証してください。装着者の魔力量にも寄ります。欲しい方は姫様に作ってもらってください。転移機能付きは時間がかかります。」
「ちなみにジーン様はあと数年は使えなさそうです。ただスパルタで魔力量を増やせば・・・いいか。うん、そうですね。」
「加減間違えるとジーンが死ぬにゃん!!瑠璃は鬼にゃん!!」
「死ぬ前に凰桃食べればよいのですよ。」
「間に合わなかったらどうするにゃんか!死にかけてる時に食べられにゃい。人族は瑠璃みたいに頑丈じゃないにゃん。」
「特別に死に戻りの腕輪付けておけば、体が砕けても修復できますよ。」
「人間には無理にゃん、心が死んだら廃人になるにゃん!!」
「ふむ。人族は、体が木っ端微塵になったら心が折れるということですか。」
「そうにゃん!!」
(((え!!)))
え?え?え?
「コホン、失礼しました。」
「彷徨える森に着くと、第2王子たちが交戦中でした。巨大な虫のゾンビと。」
「それらを殲滅後、結界前を偵察したジルバが戻ってきました。
ゾンビが結界の向こうで増え続けていると、伝えられました。」
「魔物は森→生き物が多い街へ向かいます。
その途中に別荘があります。
まあ、王子たちがいなかったら、別荘にゾンビが来た時点で気づいたわけです。」
「恐慌状態になったでしょうね。」
「家の外に出て、ゾンビがうじゃうじゃいたら、誰でも驚くにゃん。」
「私は驚きませんよ。」
「嘘にゃん!」
「・・人型なら大丈夫です。蛆・・はちょっと・・・」
「「「「「・・・。」」」」」
「第2王子たちには街の冒険者ギルドヘ知らせに向かってもらいました。」
「鞠は、子ドラゴンたちを抱いてフィリアワールドに避難したにゃん。
管理人の椿だけで、皆調査中だったにゃん。」
「椿は、姫さまに内緒のストーカールームで姫さまを覗き見してたにゃん。
これは絶対内緒にゃんよ。」
「あの姫さまに気づかれぬよう覗き見できるってことは、ほぼ力の全部をそれに使ってるにゃん。
都度調整しながらは、精神力もかなり使うにゃん。」
「椿は、姫さまを頭がおかしくなるくらい愛してるにゃん。」
「鞠は、お菓子食べてジュース飲みながら、覗きの共犯者になったにゃん。子ドラたちもにゃん。」
(((覗き・・・。)))
「そういえば、瑠璃。椿が外界へ出たって話、一回も聞いたことないにゃん。・・あれ???」
「フィリアワールドから出たら、調整がリセットされるからですよ。
また一から覗きの準備するわけで、今の姫様の魔力量考えると、おそらく3年くらいかかります。」
「一度うまくいけば、魔力量に従って調節しながらで通常運転できるんです。
100年の間、いつ姫様が見つかってもいいように頑張っていましたから。」
「まあ、特別な権限のある管理人だから可能なんですよ、覗きは。」
「あれ?椿、ご飯も食べに来ないにゃん!」
「だから姫様が帰還した時、ほぼ死にかけてて皆心配してたじゃないですか。」
「彼女は、食うより覗きです。」
「どうしてそんなにやれるかにゃ?一緒に姫さまと居ればいいにゃん。」
「それは私に聞かないで。皆触れないようにしてるんですから。まあ相当『変』ですが、有能なのは間違いないのです。」