51話:変身に対する懸念
キャンデック領を獣人国にするのはどうか、という話になった。
だが、作物が育たない枯れ地では、獣人も住んではくれないのでは?
というところで、鞠が解決案を提示する前までが前回のあらすじ。
「キールが名付けたフィリアワールドに、精霊王が住んでるにゃん。」
「「「ええええー。」」」
「精霊が祝福を与えると土地が豊かになるにゃん。
それを精霊王がやったら、作物がバカみたいに早く育つにゃん。
代替わりしたばかりだから、超特大パワー持ってるにゃん。国全部に祝福届くにゃんよ。」
「なら作物が資金源になるか。あとは、何か目玉特産品がほしいな。」
「とくさんひん?物じゃにゃきゃダメ?」と子首を傾げる。
うっ、可愛い♡
「だんじょんは?どうにゃ?儲かる?」
「あー、彷徨える森は入ったら戻ってくる者はいないという手付かずの森なんだよね。」
「触れられない場所なんだよ。広大だからほんと勿体無いよ。」
「あ!あのにゃ、あのにゃ 、、、。」
「鞠、落ち着いて。どうしたの?」
「ジール、さっきの映像、、、」
「うん?」
「あれにゃ、彷徨える森にゃん。」
「「「!!!!」」」
「スタンピード!!か。」
「そう、それにゃ!!」
「今回ゾンビ大集合だったにゃん。ぐっちゃぐちゃのビチャビチャでにゃ、結界の向こう側に、え、と、1800体くらい居て・・。」
「「「!!!うわぁ〜」」」
「巨大な蛆のゾンビが一番嫌われてたにゃん。」
「「「「「ひー」」」」」
「切ると黄緑色のクシャい汁が出て、視覚的にも臭覚的にもきっついて、みんなオエエエて吐いてたにゃん。」
(((汁!!!)))
「んとそれでにゃ、姫さまなら森ごと消失可能だったにゃん。
けど結界装置があるからその案はぎるますが却下したにゃん。」
「「「「「!!!」」」」」
「つまり、フィリアなら森をまっさらにできるってことかしら?」
「リア、そうにゃ!!」
「そのあと、だんじょん作ればいいにゃん。」
「鞠、ダンジョンは、建造物と違うから、人工的には無理なんだよ。」
「うんにゃ、鞠知ってる。魔素が濃いとできる。」
「そうなんだけど、あ、フィリアなら魔素を集める装置とか作れたり・・。」
「流石に、それは。」
「姫さまは、なんでもできるにゃ。」
皆微笑ましく鞠を見る。
「じゃにゃくて、ダンジョンボスがいればいいにゃん。ボスをおいとけばだんじょんが育つにゃん。」
「強力な魔物を捕まえることは、フィリアたちならできそうだよね、あはは。」とジール。
「ちょっと、待ってにゃ。鞠は説明が下手くそ。え、と。瑠璃!来て。」
「お待たせいたしました。」瑠璃参上。
瑠璃と鞠がしばらく見つめ合う。
「なるほど。素晴らしいですね。」
「私たちもよい場所がないかと、調査をはじめたところでした。灯台もと暗し、です。けれども鞠、まずは肝心なことを話さないと。」
「あ、いっけにゃい。」
「では、私からお話しさせていただきます。姫様の『へんげ』ですがかなり危ういのです。
言ってみれば100の力が0になると言っても大袈裟ではありません。」
「「「!!!」」」
「世界最強からいきなり赤子レベルまで落ちるのです。今回が初めてのへんげでした。
それ故にせめて5回は経験しないと検証ができないと思います。今の時点では非常に曖昧なのです。」
「私どもが心配しているのは、『へんげ』対象です。もしかしたら人間ではない者にもなるのでは、と思っております。」
「うーん、虫とか、ゾンビ?とか野菜とかにゃ。」
(((野菜・・・。)))
「鞠!フラグは立てないでください。」
「怖いにゃ、リア〜。」と言ってリアに抱きつきに行く鞠。
「まあ、鞠。」ニコニコ。
「虫だったら、へんげした時に見落として、もしかしたら踏み潰し・・・、いえ、そんな。
ブツブツ・・・。せめて人間態に限ると条件つけてほしかった・・。」
「・・・とても不安になってきました・・・。」
「ま、まあ、瑠璃の言う通り、数こなさないとわからないよね。」とクリス。
「はい・・。それでまあ、ゾンビは流石に勘弁願いたいのですが。いくらそれが姫様でも触れるか自信がない・・・・ブツブツ・・・。」
・・・・・。
「こほん!それで、討伐対象になるようなモノにへんげした場合の、隠れ家が必要になります。早急に探そうと思います。
へんげ中の姫様は、フィリアワールドにアクセスできません。」
「「「!!!」」」
「確定しているのは、1年のどこかで2回・都度24時間以内/魔法は封印される、それと確定事項と言っていいのかわかりませんが10回に1回は記憶を失くす可能性有り、です。」
「「「「記憶喪失!」」」」
「物理、例えば剣戟ですと使えるのです、力が弱くなったとしても。」
「・・・ブツブツ・・。
例えば、舞踏会でダンス中にへんげしたらどうしましょうか。魔族にでも変わったら?命取りですよね。」
!!!
「大公開するという意見もあったのですが、未確認生物扱いされて誘拐され、奴隷紋を刻まれたり隷属の首輪でも装着されたらたまりません。捜索できなくなります。」
(エイリアンのことかにゃ?)
「このような不思議が起こるのは、姫さまが規格外の中でも最上位に位置することによる弊害と認識ください。」
「今は必ず一人以上護衛をつけることを徹底したいと思います。皆様もなにかよい案があったらお知らせください。」




