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50話:鞠の報告から獣人国候補地の話へ



【カンタベル侯爵邸】



「ライル〜」

「鞠 ♪ どうした?」

(あれ、表情が・・・)


「姫さまが死にかけた!」

「!!!」


「何があった!?」

「まずこの映像を見てほしいにゃん。」


鞠は玉を弾いて上に向かって飛ばした。

それは、楓と瑠璃からもらった、ジンフィーリアが死にかけた映像だった。



「ほんとにゃら、ここで特大の魔法を放つカッコいい姫さまが見られたはずだったにゃん。

皆、それを信じて疑わなかったにゃん。」

「うん。」


「そしたら姫さまが勝手にへんげしたにゃん。そんで鞠たちと姫さまの繋がりがブチン、と切れたにゃん。」


「姫さま、突然魔法が使えなくなって、この着物の裾踏んで転びかけたにゃん。

ゴウルたちもブッチンのショックで出遅れたにゃん。」


「ドラゴンブレス受けたら、姫さまでも木っ端微塵。うっうっ。うわあああん。」

「よし、よし、それで」


「鞠たちは椿のストーカールームで、ずうっと姫さま映像を見てワクワクして、嬉しくて・・・。

でも映像も突然、ブツンと切れたにゃ!姫さまの所在がわからなくなって、不安で・・・」

「うん。」


「そんで絶体絶命のピンチに、この謎の5人が姫さまを守るためにすっ飛んできたにゃん。

肉盾になるつもりだったって。」

「・・・うん。」


「そしたら5人衆の指輪で、ほら、五角形の障壁が空中に。

それがドラゴンブレスで壊れもせず、しかも反転して腐れドラゴンに直撃したにゃん。」



「鞠たちは、姫さまがいない世界では生きていたくないにゃん。

だって、100年も待ってた、鞠たちの大事な大事な姫さま。うっ、ひっくっ。」


ライルは鞠を抱きしめ頭をなで続けた。自分も泣きそうだった。


「5人の指輪はライルからもらったって聞いたにゃん。ライル、ありがとう、ありがっうっうっ。」


「鞠たちみんな、5人に感謝したにゃん、一人一人がお礼言ったにゃん。

命捨てるつもりで姫さま守ってくれたにゃん。」


「5人に、御礼には何を渡したら喜ぶ?鞠たち人間のことわかんにゃい。」

「大丈夫だよ、私がちゃんと考えるから。」


「ほんと?ライル。命の対価なんて難しいにゃん。」

「ちゃんと5人が喜ぶもの考えるから待ってて。」


「うん、わかった。」泣き笑いする鞠。

たまらずライルはぎゅっと抱きしめる。


そこへジョゼがジールと入ってくる。

「あなた、お義父様たちがいらっしゃいました。あら、二人ともどうしたの?」


「鞠?なぜ泣いてるの?・・・父上?」

「違うにゃん、ライルは何も悪くないにゃん。」



場所を変えて。

侯爵家の3人とジョゼ、ジールも映像を見、説明も聞いて皆で泣いていた。


「ジョゼ、君が紹介してくれた逸材が、フィリアの命を救ってくれた、ありがとう。」

「ありがとにゃの、ジョゼ。」


「まあ、あなた。あなたが彼らを信頼したから彼らもそれに応えたのよ、とっさに体が動くほど。」

「ああ、信頼してるよ。期待以上だけどね。」


「獣人は身体能力が高いにゃん。彼らじゃなかったら間に合わなかったにゃん。

しかも五感が鋭いから敏感に死を感じ取ったはずにゃ。それでも姫さまのために動いてくれたにゃん。」

「本当にその通りだな。」とアーサー。



「フィリアの夢は獣人国の建国だったね。」


「「「爵位・・」」」


「陛下も巻き込もう。悪いが矢面に立ってもらい批判等一身に受けてもらって、それごと退位。

新皇帝は傷つかん。その後は少し慎重に進めていけばいい。」


「爵位を与えるのですね、獣人たち5人に。」

「ライルが信頼している彼が子爵、他4人が男爵でいいよね。」


「授与の前に、獣人を守るような法律をドーンと発表するのはどう?」とジーン。

「いいね、さすが僕の甥っ子。」


「いっそのこと、フィリアを探し出し救出したのも彼らの手柄ということにしようか。」

「うん、ライルいいね。」


「そうなると、やはり広告塔としてフィリアには、目立ってもらうことになる。」

「自分の夢が叶うのだもの、フィリアは是と言うわ。」とリア。


「先駆者には世間の目も厳しいから、領地は最初はなしで俸禄で。それに領地経営は負担になるだろうしね。」


「ディーンの婚約者となるから、フィリアの近衛として5人を。」


「獣人大好きの姫様なら5人をしっかり守れるにゃん。大事なものを傷つけられると、とっても怖いにゃん。姫さまのやり返しは。」

「「「ははは。」」」


「どうしても風当たりが強いだろうから、獣人国はフィリアが女王となって、王配5人くらいでいいんじゃない?うふふ。」

(((フィリアが女王か〜フフフ))) (注 : 男連中心の声)


「ねえ、フィリア姉様にひどいことをしてるキャンデック領ってさ、ちょっと待って地図持ってくる。」

「ジールったら。ふふ」


「お待たせ。その領地なんだけどさ、ザクセン王国領の1/5占めてるんだよね。

王国内で一番広い領地なんだけど住民が住んでるのはこれだけの部分、つまり約1/3。残りの2/3は父上も足を踏み入れたことがある広大な彷徨える森と平原なんだよね。

その平原は、作物も育たないらしく。」

「ふむ?」


「キャンデック領、ぶんどっちゃおうよ。ついでに仕返しもできるし、さ。」


「キャンデック領が獣人国か。」

「旨味がない土地だから手放すかもな、交渉次第で。」


「キャンデック領の隣の国なんてキャンデック領より小さいよ。」


「でも、枯れ地だと獣人たちが、来てくれないんじゃないかしら。」


「うーん、土の入れ替え?」

「莫大な金額になるぞ。」


「大丈夫にゃん。」

「鞠?」








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