45話:遺品回収
残酷描写・グロ有。
(姫さま、別荘まであと少しです。)
金から念話が入る。
(了解、ギルマスに伝えて。先発として20人選んで別荘の前で待つようにと。もちろんその中にギルマスもね。あとはそのまま進んで、と。)
(金はどうするの?)
(私は、冒険者じゃないので。)
(なら、装備を回収するわ。じゃ。)
金はギルマスに伝える。
「は?」
「言葉通りにとってくれ。信じてほしい。」と王子。
「・・わかった。」
この頃、キャンディック侯爵からの遣いが別荘へ到着。
スタンピードと聞いて、3人で押し付け合っていたが、仲良く逃げた。
元来た道を逆戻り・・・。
「おい、ギルマス、どうなってる?こんなとこいたって役に立たないぜ。」
「何考えてんだよ?」
「しかも上位ランク者ばかり残して。」
「俺ら行かねえと死屍累々だぜ。」
ゴウル現る!
!!!!!
『待たせたな、じゃ行くぞ。』
「ゴウル、俺も連れ・・
アーフィン王子は連れていってもらえなかった。
ゴウルが、ギルドの精鋭20人と平原へ転移する。
「「「!!!!!」」」」
いきなり目の前に金色の虎が現れ、喋り、気づいたら彷徨える森が目視できる位置にある。
困惑中の中、妖精のような美少女が近づいてくる。
「あなたがギルドマスターね。はじめまして、ジンフィーリアと申します。」
「早速だけれど、あなたのエモノは、アックスね。ちょっと借りるわよ。」
「おい、嬢ちゃんには無理だ。俺用の特別製で重量過多・・・」
ジンフィーリアが、ひょい、と持つ。
くるくる回して重心を確認する。
あんぐり、と口を開けるギルマス。
アックスを持ったまま、指輪(?)を真剣に数秒見つめている。
「できた、これ嵌めて。」と言いギルマスの手を持ち勝手に指輪をはめる。
「お、おい。」
そしてギルマス愛用の斧はどこかへ消える。
「な、何した!」
「装着。はい、言って。」
「・・装着?」
燻し銀なギルマスイメージに合わせて、燻し銀風のフルメタルアーマー(ミスリル製)、そして背中に聖斧槍!
「では、行くわよ。」と言ってジンフィーリアがジルバに跨る。
『おい、早く乗れ、時間がない!!』と金虎に怒鳴られ慌てて跨るギルマス。
ゴウル兄弟は、助走を付けて急上昇する。
「う、うわあああああ!!」
『『うるさい!』』
「ギルマス、下見て。」
ジンフィーリアに言われ、見るとゾンビたちがうじゃうじゃと犇めき合っている。
「うっ、時間の問題だな・・・。」
「で、提案なんだけれど。このままここからあの塊(少し増えてゾンビ1800体)にドッカーンとぶち込むのはどうかしら?」
「何!」
「ただ加減が出来ないから、森自体が消失するかも?」
「・・・・。」
(なんだ、その究極の選択は。消滅?消失?)
「というわけで、どうするか決めてほしいの。皆のところへ戻りましょう。」
ギルマスとジンフィーリアが戻ってきた。
冒険者たちは、色々ありすぎて何を話してよいかわからない状態・・・。
未だ混乱中であった。
「皆、相談したい。」
「楓、瑠璃一緒に来て。」
ゴウルたちに分乗して、先程の上空に来ていた。
「姫さま?」
「亡くなった3人は・・・ゾンビ化してあの中にいるでしょ?」
「そうでしょうね。」
「せめて、装備か何かを遺族に渡してあげられたらと思って。」
「なるほど。」
「近衛の制服だから見分けやすいと、思った、けれども・・。」
「汁やら臓物やらで、ここからではわからないですね。」
「仕方ない、トラウマになりそうだけれど、あの中に飛び込む、か。」
「姫さま、そこまでします?」
「あんな、ギチギチの中に入ったら身動き取れませんよ。」
「体全体に障壁張って、 間引きしながら探す。見つけたら転移させるから処理頼むわね?」
「すみません、代わりにやります、とは絶対に言いたくないです。」
「女性には無理よ。」
(一応女性ですよ、姫さまも。)
(楓、一応って。)
「私が飛び降りたら、戻って。」
「スーハー、スーハー。・・行ってきます!」
「うわっ!!あれっ!!!」
冒険者が指差した方を見ると、姫さんが空中から落下していた!!
虎たちと美女は、戻ってきた。
うへえ、後悔中。
すごい、ぬめぬめ、ドロドロ。
心が折れそう。
姫さま、実況念話をとばさないでください・・・。
だって、なんか苦しくて、孤独感があるんだもん。
ボロ布系ゾンビは滅して大丈夫、虫系も問題な、い。
嘘!虫と合体した近衛さん発見!!
((い、やあーーー!!))(注 : 楓・瑠璃心の叫び)
面倒くさいから、少し周りも巻き込んで転移、いっきまーす!
シュン!
「「「うん?」」」
どっちゃあ、ぐっちゃあ。
「「「「「なーーー!!!」」」」」
「冒険者さんたち、大丈夫です、手を出さないで。」
「けど姫様、もう少し控えてください。鼻が曲がりそうです。」
目当ての近衛さんの上半身を風カッターで切って飛ばす。
下半身の虫部分と残りゾンビ、よろしくー。
上半身だけでも、腕で動いて向かってくる。
よし、遺髪と腕章にしよう、これなら個人特定できるわね。
腕と、額から上を飛ばす。
腕章確保!
遺髪はこれくらいの量でいいかな、とひと束髪を掴む。
ズル〜ン。
ひ、ひいいい、頭皮ごとズル剥けた。
ひ、姫さま・・・
【ストーカールーム】
鞠たちもズル剥け映像を見てしまい・・・
!!!!
「もう、無理にゃ・・。」
公爵家の影たちも見た!
!!!!!
洗浄して、臭い嗅いで、大丈夫と白い布に包んだ。
バングルに収納する。
はあ、はあ、はあ。
ちょっと休憩・・・。
(((な、何やってんだ???)))
「姫さん、やはり従来通り結界突破してきたのを狩っていくことにする。」
「・・了解です・・・。」
「ゴウル、乗せてって。」
『もうやめたらどうだ?』
「でも、一人だけだと不公平だから。」
ジンフィーリアが悪戦苦闘している間に、ギルマスたち冒険者は、瑠璃と楓から聞いた。
第一王子と近衛たち、侯爵子息たちを助けたこと、今ジンフィーリアが何をやっているかを。
そして、第一王子の残念ぶりを聞き、そんなんが王族か、と悲しくなった。
またゾンビの海へ落下。
プシュッ、プシュッと分子レベルまで分解するイメージで消滅させていく。
運がいい。二人見っけ。並んでいる。
8体転移、よろしく!
シュン!
ビチャビチャ、ビチャアーー。
二人以外を楓たちが、迅即滅!
二人を離れたところへ優しく飛ばす。
一人を抱き起こすと、どろーんと眼球が落ちかけた。
あ、これにしよう。緑の瞳だから誰かわかるよね。
一人目、遺品として2つ確保したから公平にしないとね。
もう一つは、ベルトにしよう。
もう一人は、指輪と、遺髪で。きれいなプラチナブロンド。
ふふふふふ。任務終了。
ばたっ。
ゴウルが体を滑り込ませてジンフィーリアをキャッチする。
「はっ」ジンフィーリアが、ガバッと起き上がる。
「どのくらい寝てた?」
「40秒くらい、です。」と楓。
「お疲れ様でした。」と瑠璃。
【ストーカールーム】
鞠は、遺品回収風景を流して見ていた。
蒼と紫蘭は、チラ見していた。
椿は、ガン見していた。
[公爵家の影たち]
いやいやいや、
瓶詰めの眼球 と指+指輪は、あかんやろ!!
と5人は思った。




