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44話:アルフォンソ王子、クズ認定される



[結界前]



『上空から結界を超えて探す。』

「そういえば、あなたたちは飛べるんでしたね。」

(忘れてた。)


「あ、中央シールたち発見!飛び降りる!」

ダン!ダダッ!!


「シール!」頭を抱えてうずくまっていた彼が顔を上げる。おおぅ顔、青っ!

「あ・・・。」


(なぜシールたちには、ゾンビが寄ってこないの。)


「あ、猫妖精?・・ありがとう、落ち着いたら会いにくるから待ってて!」


「楓!瑠璃!」


平原に転移すると、時間差でゴウル、ジルバたちも到着。

「3人死んだ・・・。」と近衛の一人。


第1王子は血の気をなくして放心していた。



「ゾンビに噛まれると、ゾンビになるんだっけ?」ヒソヒソ

「おそらく。」ヒソヒソ


「ゾンビに噛まれた人、手を上げて。」

2人。


「ゾンビに噛まれるとゾンビ化する。」2人は絶望してガックリとこうべ垂れる。

二人から距離をとる面々。



「殿下!」(ちっ、呆けてる。)

大声で「アルフォンソ王子殿下!!」と呼ぶ。


ビクッとして、「なんだ・・・。」と反応が返ってきた。


「切断された腕も元に戻る薬を持っています。ゾンビ化を防げるかもしれません。

請求は王家にします!二人に処方して良いですか?」

(希凰桃であれば、防げる筈!)


(そのような薬であれば、かなりの高額になる・・・)

「そ、それは・・。無駄・・かも、しれないんだろ?」


「殿下!!二人は奥に逃げたあなたのせいで、あなたを守るために、この状況ですよ!!」


『『クズ!!』』

「ほんと、クズですね!」と楓。

「くっ・・・。」


「あの、薬をください!父に支払いを頼みます。」

「私の家は、金を用意するのは無理ですが、一生をかけて働いて絶対にお返しします。」


「二人は、自分で払うと、言っている・・。」


「殿下!!!・・わかりました。効果がなかったらお支払いは結構です!それで、どうですか?」

「・・・・。」


「あなたの行動で3人も!亡くなっているんですよ!

請求はザクセン王家にします!!それ以外からの支払いは受け付けません!!」

「っ・・・。わかった・・・。」


二人に希凰桃を与える。


患部が光り、傷が修復され、全身が光って収束する。

ゴウル達を見ると、頷いた。


私はわざと虹色エフェクトをきかせ、全身診断をするようなフリをする。

「大丈夫です。ゾンビ毒は中和されました。」と二人にニッコリ笑う。

「っ・・、ありがとうございます!!」二人は涙を流して喜んだ。


ジンフィーリアはその2人にだけ聞こえる声で、クズにも礼を言うように言った。

「「殿下、ありがとうございます。」」

「・・・ああ。」



「ふん!姫様が行かねば死んでいたくせに。」と瑠璃。

『お前のような奴に仕えねばならぬ者らが気の毒でたまらんわ!!』

『お前に殺された3人が浮かばれんわ!死んで詫びろ!』


! ! ! ! !

アルフォンソたちは、今頃になって虎がしゃべっていることに気づいた。

助けてくれたのは、この虎だと改めて認識した。

謎だらけだったが。


「遺体も戻ってこないなんて、ご家族がお気の毒だわ。」と言ってジンフィーリアは静かに涙した。



「アーフィン王子殿下が冒険者ギルドに伝えてくれました。

ギルドからの討伐隊がここに向かっています。

途中で会うかもしれませんね。」


そしてクズ王子に向かって「さ、安全な街へ急がれませ。」と遠い街に向かってビシっと指をさした。

「っ・・・」王子はフラフラと立ち上がり街へ向かって歩いて行った。


近衛たちは口々にジンフィーリアたちにに礼を言い、慌ててクズ王子を追いかけていった。

シールたちにも礼を言われた。


最後に、ゾンビ化しかけた二人が丁寧に謝意を述べた。

ジンフィーリアが二人と歩きながら話す。


「あの薬の木は、100年ごとにしか実をつけません。

しかも一番目に熟した実は稀凰桃(きおうとう)と申しまして特別な効能がございます。

主な修復後、今回はゾンビ化を阻止したわけですが、余力があれば、身体にも良い影響があります。運が良ければ何らかの能力が発現することも。

お二人が召し上がったのは、まさにその実でございます。」


二人は目を大きく見開く。


「宮仕え以外の道もあるかと存じます。道中お気をつけて。」

ジンフィーリアはそう言って、平原へ戻っていった。



私たちは、この彷徨える森の結界内から、転移を使って外に出られた。

でも、結界内は、得体の知れない空間だ。不測の事態もあり得る。





【[椿の館]カメリアハウス】



ここには、主人の24時間を映像で見続けることができる部屋がある。

俗にいうストーカー部屋だ。

ジンフィーリアは、その存在を知らない。


そこに椿(つばき)、鞠と子ドラゴンが居た。

他のメンバーは、建国候補地調査で出払っている。


「椿、どうするにゃん?皆を呼び戻さなくてよいのかにゃ。」

「少し様子見ですね。映像を送れば、即姫様の元へ転移できますから。」


「なんといっても聖獣様たちがいらっしゃいますから。」








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