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36話:パーマー侯爵家の不思議



嘆き、慟哭し、悲しみ、絶望し、ぬか喜びさせられ、最後にどん底に落とされた。

そして救いがあり、奇跡の出会いがあり、光が心を温かく満たした。

夫人は自然に意識を手放した。



夢を見ていた。リリアンヌの娘と会えた。

きっと、リリアンヌにも会え・・・・。


「お目覚めですか。お祖母様。ご気分はいかがですか。」

「え・・フィリア?」

「はい、お祖母様。」

「お祖父様もいらっしゃいますよ。」

「リア。」


「あなた。夢でリリの娘に会えたと・・。現実なのね。」

「そうだよ、私たちの孫娘はここに居る。」


「お祖母様、体の様子をみるとちょうどこの辺りにある臓器が弱っているようなの。」

(右胸下辺りか。)

「ええ。」

「ここが弱ると、体の怠さや浮腫みが症状として出ます。」

「「!」」


「これを召し上がって。さあ、どうぞ。」

「母上、目が覚めましたか。」とクリスが部屋に入ってきた。

「あら、美味しい。・・桃?」

「ええ、系統はそうですね。」


(な、先程フィリアが触れた辺りが白く輝いて・・・)

(あ、修復が終わっ・・全体も輝いた!)


「リア!」「は、母上!!」

「あ、若返った?」


バッとお祖父様とクリス伯父様がすんごい顔して振り向いたので、び、びっくりした。

「お祖母様、お顔のシワと白髪が消えましたよ。」と鏡を見せた。

「え!まあ!!」


(お祖父様とクリス伯父様が凝視してくる、どうしよう。)

「ゴウル」

『なんだジン。』子虎姿のゴウルが現れる。

よかった、皆ゴウルに視線が移った。


『なんでそんな見てくる?』

や、また私を・・

「お祖母様に希凰桃を・・・。」

『うん?』


『・・・何を考え込んでいる?』

「いや、そのいまいち効能がわからない。」

『その世界においての最高の修復薬という位置付けでいいのでは?』

「そう、ね・・。」


ジンフィーリアが祖母をじっと見る。

「見かけだけじゃない・・体の作りごと若返ってる。つまり、寿命が延びた、ということ。」

「そうなの?私だけ?」


「そうですね、お祖父様も食べないと。」

でもお祖父様には悪いところがないような。

ひどく若返ったらどうしよう。・・・孫のやったことなら怒らない、わね・・・。ほんの、ほんの一欠片だけ。


「お祖父様もどうぞ。はい、あ〜ん。」

口を開けない。

「あなた?」お祖母様が期待して見てる、あ、食べた。

光が収束する。


ーーーーーー。


あ、よかった。二人並んで違和感ないくらいの若返り。


「まあ、あなた。はい、鏡。」「!!」

「!・・・」


白っぽい金髪がちゃんと金髪に、いや何言ってんだか私。

これ一欠片だからこんな感じで、もしも丸っと1個食べたら?

機会が訪れたら、誰かに試してみよう。



何が?父上と母上が若返った?あれは霊薬なのか?


「クリス伯父さまも若くならないと、パーマー侯爵家としてのバランスが狂います。」

(狂わしたのは、、)


「そういえば、叔父様の奥様は?」

「いないよ。」

「・・・お子様は?」

「今まで一度も結婚したことがない。」

「イケおじ、独身貴族。」


お祖父様とお祖母様が哀しそう・・・。あ・・・。


「リリアンヌお母様の・・・。」せい、と言いそうになって口をつぐむ。

「うむ、リリアンヌが見つかるまで結婚しない、と。」

「では、なおさら、これを召し上がれ。」そう言い、伯父さまの口に希凰桃を一欠片放り込む。

「「!!!」」

おお、計算通り。


「クリス、鏡見るか?」


「クリスお・・兄様、恋愛結婚すればいいわ。身分関係なく。」

「そうだね。でも相手に不自由していないからこのままでもいいかな。ライルの子を一人養子にしようと思っていたし。」


「二人そうしていると、若かりし頃のクリスとリリがそこに居るようだ。」お祖父様とお祖母様が涙ぐむ。


「お父様を悲しませてしまう?」

マリアお祖母様がが困ったように微笑む。



若返りだけに目がいきがちだけど、能力も増えたり上がったり。

3人バラバラだからランダムなのね。

法則性がない方が面白いわ、ニヤリ。

先程までは色々考えてしまったけど、元々自分は塾考が苦手。

検証はそういうことが好きな変人に任せよう。



若々しく美しいお祖母様には、これから広告塔として協力してもらおう。

眷属たちと話して、商会を立ち上げるつもりだ。

商会で売るものを考えないとね。




後に、ライディーン帝国の七不思議の一つになる『パーマー家の謎(若返り)』









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