表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/180

26話:アーフィン第2王子



第二王子アーフィン視点



うまくいったはずが出発日に出鼻を挫かれた。

バカ兄が、私たちの集合場所に現れた。

どうでもいいがえっらそうに。

集合場所の情報などどうして知りやがった。


シールも困っていたが私が止められないものを彼が断れるはずはなく。

まあ、一応近衛全員連れてこなかったのは褒めてやろう。

けれど、向こうの側近も止めろよ。

王子のどちらかに何かあっても面倒臭いことになる。

しかも一緒に行動だと?

はあ、もう。


せっかく喜んでいたテックが申し訳なさそうにしている。そんな顔をさせたいわけじゃないのに。

王子と呼ばれていても2人の少女すら助けられない自分が恥ずかしい。



途中でシールが申し訳ありませんと言ってきた。

バカ兄陣営にいる側近の名を知り、自分がやらかしたと気付いたためだった。


だが、間違いなくわけもわからず変な対抗心から喧嘩をふっかけてきたあっちが悪い。

件の令嬢のことを子息に話していない侯爵、何も知らず向かっているシール、一番気の毒なのは別荘関係者ではないだろうか。


侯爵の怒りは、シールに向くだろう。出来る限り擁護しよう。

道中、王妃の母にことの次第を知らせる手紙を出した。

王城でも何か起こっているかもしれない。


自分の配下が令嬢の護衛として潜り込め、なんて幸先がいいのかと思っていたのに。

配下から送られてくる報告書は毎回とても楽しい。

騎士長のダンとテック、そして側近のライで回し読みしている。


報告書には、本当なのかと疑うような珍しいものたちが登場してくる。


配下は『金』と呼ばれているそうだ。名前を覚えてもらえないと嘆いていた。哀れなやつだ。


一番会ってみたいのは、金(もう金でいいや)が宝石と例えた令嬢だ。

そして、ラースとかいう悪鬼。

ミミズの件は、皆で腹抱えてヒーヒー笑った。

ライがあんな大声で笑うところを初めてみたわ。

そのラースにバカにされている黒というやつも見てやる。


金は、早いうちに双子たちとも接触できたようで、その報告にテックは涙ぐんでいた。

大切にされているようだ。


令嬢は獣人が殊の外お気に入りらしい。


家が不思議すぎる、生きているようなとかわけのわからんことも書かれていたな。


バカ兄のことは置いておき、早く会ってみたい。




到着した。

この別荘の執事だという若い男が出てきた。

バカ兄は、アルだ、家名は伏せる。気楽に接してくれとアレにしては上出来な挨拶をしている。

私もアーフと挨拶する。


私たちは別棟に案内されるらしい。

いいぞ、おそらく双子がいるコテージだ。

おっ、金が案内役だ。


では兄上、シール、また後でと簡単に挨拶し、ウキウキと向かう。

バカ兄は、俺が別邸に案内されるのを可哀想にといった目で見てくる。近衛たちまでこちらの近衛を見下したようにしやがって。勝手にしろ。


ほう、何やら頑丈そうな塀だな。

門を入る時、不思議な感覚があった。結界を抜ける時のような。


扉を開けると正面に獣人の女性がいた。

アーフだ、世話になる。と言うと

この家:翡翠の友、ラナと申します。と返ってきた。

不思議な自己紹介だ。皆も同じように思ったようだ。


部屋は2階だった。

二人ずつ部屋に入る。一番広い部屋が私とライに割り当てられていたようだ。


金がお茶でもどうですかと呼びにきたので(パシリ状態なのに笑いを堪え)全員で食堂とやらへ出向いた。


テックだけ別のテーブルに案内されていた。

しばらくすると獣人の双子の少女が入ってきた。

「兄ちゃん!」「ほんとに兄ちゃんだ。」

「「うわーん。」」二人はテックに抱きつき泣きじゃくっていた。

テーブルには一人一人に湯で濡らした手拭きがあった。

配慮が行き届いているなと思った。


菓子は王宮で食べるものと同じくらい、いや、それ以上かもしれないと思うほど美味い。

そして金も俺たちと一緒に茶をしていた。



子供たちは、あのねあのねと一生懸命テックに話かけている。

・お姫様は、怖いけれどきれいで優しいこと

・ラースが面白い

・猫ちゃんが可愛いの

・ゴウルとジルバがきれいなの、ぶっきらぼうだけどね

・水色と桃色の子ドラゴンがとってもきれいで、えっとヒゴヨクヲソソル?


何、ドラゴンだと?

テックに目配せすると、意を介したようで双子たちに、

「二人を大切にしてくれてありがとうと言いたいから、みんなに会えるかな?無理、かな?」と聞いている。

テック、ナイスだ。

「うん、ひめさまはね、マミとミミのことデキアイ?してるの。だからお願いすれば大丈夫だよ。」

そこで、金がブッと噴き出す。


待っててね、と言い双子が出て行った。

すぐ戻ってきた。


この美少女が件の令嬢だな。なんと瞳が金色だ!!

皆固まっている。

冷たい感じを受けるのは整いすぎている美貌のせいであろう。


双子たちが姫さま、こっちこっちと引っ張るとフワリと微笑んだ。

それに皆射抜かれて、うっと胸を押さえた。

少し微笑んだだけでこの破壊力か!


俺を素通りして、テックのところへ行きやがった。

金が、あちゃーと言っている。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ