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24話:迷惑な第1王子



キャンデック領には彷徨える森と呼ばれる広大な場所がある。


森の入り口から1/3までは問題ないのだが、それ以上踏み込むと方向感覚が狂い森から出られなくなると言われている。


ご丁寧に境界線の魔道具が設置されている。

危険地域に踏み込むと認知できるようになっているのだ。

境界線は、結界も担っている。


森の終わりは断崖絶壁となっている。

魔物が棲んでいるのだが人型の魔物は今までオーガしか発見されたことがない。

数十年単位で魔物の大発生が起こる。







林間学校のグループは、全学年混合となる。

第二王子は、王子という立場を利用して、シール・キャンデック侯爵子息と同じグループとなった。


グループごとにルートが決められている。

今年は低レベルモンスターしかいない森が選ばれた。


第二王子アーフィンの気さくな性格のおかげもあり、シールとは良好な関係を築くことができていた。

そして夏休みの課題として、彷徨える森(安全地帯)の調査を考えているとシールが話した。

するとアーフィンは自分もそう考えていた、よければ合同調査しないかと持ちかけた。

であれば、中継地点に別荘があるのでそこを拠点として利用してもらえれば、とシールの方から提案してくれた。


「ただし別荘番夫婦しかいないので大したもてなしはできませんが。」

「勿論だ、構わない。気を遣わせることになるから王子ということは伏せ学友とだけ伝えてくれ。」

「お心遣い感謝致します。」


シールは5人体制、アーフィンは8人の計13人の予定だった。

トントン拍子に話がまとまり、アーフィンは小さくガッツポーズした。


「シールは、かの令嬢が別荘にいることを知らないようだな。さて、どうなるか。面白くなってきた。」

「やめてください、面倒ごとに巻き込まれる予感しかしません。」

「テックのためだ。一応母上にはそれとなく耳に入れておこう。」




シールは第二王子と懇意になれたと少し浮かれていた。

夏休みはどうすると聞かれ、つい級友に合同調査のことを話してしまった。

その級友の兄が第一王子の取り巻きの一人だった。

当然第一王子に伝わった。


水面下で王位を争っている第二王子には常に対抗意識を燃やしており、自分も彷徨える森に行くことを決めた。

第二王子とシールの集合場所に、第一王子一行もシレッと現れた。


「なっ、兄上。どうしてここへ?」

「聞いたぞ、俺も彷徨える森に行くぞ。」

「「えっ!」」


「兄上、まさか、一緒に・・。」

「そうだ、合同調査とやらに入れろ。」

「兄上、シールの別荘は管理人夫婦だけです。私も王子ということは伏せて少人数で行きますので今回は諦めてください。」

「何を言う。俺も絶対行くぞ。シール・キャンデック、よいな?」

「第一王子殿下、小さな別荘ですので大人数では「断る気か!」

「いえ、そうではなく十分なおもてなしができないと申し上げているのです。」


側近同士、シールも交えて話す。

絶対に第一王子は引かないから了承してくれと第一王子の側近が言う。

(こっちから近衛の数を減らせとは言えないし、どうしたら。もう帰りたい。)


別荘に入りきらない近衛たちは野営することになった。

そして、第一王子の身分は明かさない、ということで念を押す。


「シール様、もう管理人夫婦に本当のことを話したらどうですか。」

「純朴な者たちだぞ。心臓麻痺起こさないか?」

「では、到着1日前に知らせましょう。侯爵様にはすぐ知らせましょう。」


別荘のロイドたちとシールにとって胃の痛いことになるのだった。



別荘の料理人は、隣国へ旅立った。

友人の結婚式の料理を頼まれていたのである。

1年前から決まっていたことで、侯爵家の了承も得ていた。


料理人が旅立って、2日後、シールから先触れが届いた。

[彷徨える森の調査をするから、学友1人とその護衛そして自分たちを入れて総勢13人の宿泊を頼む。学友に管理人夫婦だけとは伝えてあるので気負わないでほしい。]


ロイドは、怒りにブルブルと震えた。


シール様は、お嬢様のことをご存じない。

私が一人で対処せねばならない。間に合わないが侯爵様に連絡をするか。

お嬢様たちには別のところに、あのコテージに行ってもらおう。背に腹は変えられん。

何かあってもシール様に責任を取ってもらおう。

はあ、料理人のいない時に。学友が一人というのが救いか。



「皆、聞いてくれ。

ーーーーというわけだ。」


メイド二人は青褪めていた。

管理人夫婦も、今まで一度も貴族の来客がなかったので不安そうだ。


「お嬢様は「コテージでおとなしくしているわ。」

「お願いします。」と苦々しい顔のロイド。


「黒はこちらに置いていくから。」

「な、俺も入れてください。」

「あなたは家に嫌われているから、無理ね。」


「今から移るわ。」





翌日。

とあるものが緊急の手紙を受け取っていた。

「なにーーーーー!!」





[コテージリビングにて]


「ちょっと失礼します。」と瑠璃。

瑠璃が戻ってきた。


「先日スカウトしたものからの情報です。」

「ご学友というのは第2王子のことです。」

「そう。」「ブフォっ。」

「金ちゃん、どうしたにゃ?」

「い、いえ。」


「2つ目の情報です。」

金が下を向いて目をギュッと瞑る

「第一王子一行もここに向かっています。」

「「「「「ブフォーー」」」」」


「総勢24名だそうです。」

「厄介ごとがネギ背負ってやってきたにゃ♪」


『金、おまえ・・・。』

金はビクっとする。

「第二王子の配下ですね?」と楓。

「は、はい・・・。」


「なんだって?おったまげた!!・・・って驚いてるの俺だけ?」

「さすが、普通臭の男だにゃ。」

「鞠ちゃん、ひどいよ。」


「第二王子も不測の事態で、あなたには事実だけ伝えてきた、ってところかしら?」と瑠璃。

「その通りです・・。」

「テックも同行してるの?」

「はい。」



・今すぐ逃亡可能だがせっかく近くまで来てるのだから双子に会わせてやりたい

・だんまり侯爵は、事実を知っても()()()()()間に合わない

・シール坊やは、ジンの存在 況してやここにいることも知らない

・困った存在の第一王子をどうするか



『こんなところか。2〜3つ目は、ロイドが対応するしかない。』


「ロイドさんには知らせないのか?」とギル。

『どうせわかることだし、ほっとけよ。けどあっちのメンバー気の毒だな。』

「ショック死するかもにゃ。」

「「「・・・。」」」


「黒が余計なこと言いそうですね、金を掴ませられたら。」

『ヒュイヒュイ。』

「自分から情報を売るやつだ、って言ってるにゃん。」

「「「確かに。」」」」







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