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01話:ジンフィーリア、環境が変わる

訪問いただきましてありがとうございます。

初投稿作品です。


ご都合主義満載な話です。

私の名は、ジンフィーリア。

生まれつき視ることも、声を出すことも出来ない。


私は10歳まで、血縁関係のない老夫婦とどこかの街で暮らしていた。

家からは一歩も出してもらえなかったけれども老夫婦は優しかった。

おばあさんが亡くなり、後を追うようにおじいさんも亡くなった。

別居していた老夫婦の息子は、一人で何もできない厄介者の私を売るつもりだと告げた。





面倒だと思いながらも亡くなった両親の家へ片付けに向かった。

奴隷商人たちも同行している。両親が世話していた子供を売るためだ。

「おいっ、昨日話しただろ!お前を買ってくださる方だ。顔を上げろ!」


顔を上げようとしない娘に苛立ちながら手を出そうとすると、

「まあまあ、そのままで問題ありませんから。」と奴隷商に止められた。

娘を上から下までジロジロ見、「ふむ、この値でどうでしょう。」


俺に提示された金額は、予想をはるかに超えた大金だった。

即座に頷くと、金を渡された。

「では、私はこれで。」

商人と一緒に来た男が娘を布で頭からすっぽり包み抱き上げ連れて行った。

娘はおとなしくしていた。

俺は一人になると、我慢できず嬉しさに顔を歪めた。

いやあ、この臨時収入は嬉しいわ。両親様様だぜ。


ん、なんだ?

外が騒がしい。喧嘩か?


静かになったので、外をそうっと覗くと奴隷商人と目があった。

商人が太った体を揺らしながら家に入ってきた。

「あ、あの・・?」

商人は、ふーっとため息を吐くと、「商品を奪われました。」と言った。

なっ!俺が動揺していると

「ああ、心配しないでください。金を返せなんて言いませんよ。商売成立後のことはこちらの責任ですからね。」

俺は、心底ホッとした。

「ただ、あの商品の身元がわかるものがあれば、と思いましてね。勝手に家探しさせてもらいますよ。」

と言い、周りの男らに指示を出しごそごそやり出した。

俺は、金を持って一旦家に帰った。


酒を飲みに行き、娼館に3日連続泊まった。両親の家のことはすっかり忘れていた。

帰宅すると、家では妹が待ち構えていた。

なんで、こいつが・・。

「兄さん、あの子がいないんだけど。どこ行ったの?まさか・・。」

「な、なんだよ。孤児院に連れてったよ、面倒なんかみれないし。」

「ふーん、どこの孤児院?迎えに行くわ。」

「うっ・・・。」

「白粉と香水の匂いがプンプンするんだけど?娼館に行ってたのかしら?兄さんにそんな金あるはずないわよね〜、ねぇ?」

「それぐらいあるわ。それにお前なんてここ数年この街に寄り付きもしなかったくせに。俺が両親の面倒をみてたんだぞ!」

「嘘ばっかり!!父さんたちにたかってたの知ってるんだから。もしかして・・・、二束三文で売ったの?」

「ちげーよ!ちゃんと高値で・・あっ。」

「ちょっと!あの娘は娼館で働くことになってたのよ。何してくれんのよ!!」

「おい、おまえも大概だな・・・。はぁーー、その娼館からいくらもらうことになってたんだ?」

「こんだけよ。」と兄にドヤ顏で仮契約書を見せる。

うわっ、あの娘の価値、やっす、やっす・・・。

「で、どうなんだ?その金の半分は俺にくれるつもりだったと?」

「・・っ。・・・そ、そうよ・・・・。」

じーっと妹を見る。あ、目を逸らしやがった。

「ふぅ・・・わかった。俺に渡すはずだったらしい金額をおまえに渡す。」

「え、ほ、ほんと?」

うわあ、めちゃくちゃ嬉しそうだなぁ。

「その代わり!親父たちの荷物片付けて家の賃貸契約終了しとけよ。」

「う、うん。」

「これだけ渡しとく。家の始末がついたら残り渡すから取りに来い。」

と言って俺は約束した金の半分を妹に渡した。

「じゃあ、すぐ行動しろ。」

「うん。行ってきま〜す、お兄ちゃん。」


はあ、妹が単純で助かった。




* * *




ふん、間抜けな男だ。よいものが安く手に入った。ふっふっふ。

馬車に乗り込もうとすると「待て!」と鋭い声が響いた。

振り向くと、その声の主はすぐ後ろまで来ていた。

と、いきなり視界が靄のようなものに包まれ、視界が開けた時には娘はおらず、娘といた従者は失神していた。

私は素早く他のものに「追え!奪い返すことはせず、行き先だけ確かめろ。」と指示した。

そして残りの者で娘の居た家の中を調べた。


老夫婦の所持品から、とある貴族への手紙を見つけた。手紙を出す前に死んでしまったのだろう。

1年に一度、娘の現状を知らせていたようだ。

「今年もお嬢様は変わらぬままです。」というようなことが書かれてあった。


絶対に取り返す。このままにしておくものか。

あれは私が見つけた黄金だ。自然と口角が上がる。






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