18話:挨拶まわり
長風呂の後、酒を持って椿の部屋へ行く。
前世の姿で。
椿が目を見開き「ジャスティン様・・あ、申し訳ありません。」と消え入るような声で言った。
「よいよ、椿だけはその名で呼んでくれ。但し二人きりの時だけな。」
「乾杯をしよう。再会を祝して。」
「ええ、ジャスティン様。」
記憶共有は必要ないと言う。椿がそう言うならば、と納得した。
(貴方様のことは、既に瑠璃より伝達を受けております。)
椿を抱いた。
男として機能するか半信半疑だったが、杞憂だった。
「俺とずっと一緒に生きてくれるな?」
「はい。」よし、言質はとった!
椿が気を失うように眠ってしまったので、額に口づけを落とし、また露天風呂へ向かった。
一人で入っていると、楓も入ってきた。
「ゴウルたちはどうしてる?」
「みんなに、喰われてます。」
「おぅっ!やっぱり・・。極上の精はご馳走だ。」
「楓はいいのか?」
「私は、」と言って意味深な目で見てくる。
「・・どんな見た目がいい?」
「その姿は、椿様だけのもの、ですよね?」
「ああ。」
「なら、イケオジでお願いします。」
「年齢は、いじれるのかわからないぞ。」
光に包まれる。
「どうだ?」
「理想通りです。」
年齢が大きく離れる時も光に包まれる、のか?
スムーズに変身したいな。
「では、早速♡」
「ここで?それとも私の部屋に来るか?」
「部屋がいいです。」
「最初に言っておくが、睦言中に姫さまって呼ぶなよ。たぶん、萎える。そしたらご褒美はおしまいな。」
「気、気をつけます。」
楓の希望でコスプレーとなった。
意外に面白かった。
体をきれいにしたら、前世の姿になって椿の横で眠った。
楓は、ジルバのところに行った。
あいつめ!足りなかったのか・・まあ、いい。
先に目覚めた私は、椿の顔を見ていた。
目を覚ました椿が恥じらう様子に火がついてしまい、朝から可愛がってしまった。
その後一人で、凰桃の木を見に行った。
100年に一度実をつける。実をつけだしたらたわわに実る。今年はその年だ。
1番めに色づいた実が特に貴重で希凰桃と呼んでいる。
希凰桃は、万能薬のはずだ。
あの時も、これがあれば・・・。もしかしたら彼は・・・・・。
見つけた。
希凰桃をバングルにしまう。
そして、姿を元に、ジンフィーリアに戻す。
その後精霊たちがいる場所へ移動する。
精霊王と会う。
私を見て妖精の姫のようだと。人外に見えるのだろうか。
代替わりしたばかりだそうだ。
前王からの言付けを聞いた。
私が死んでいる間、この空間からは出られず、皆閉じ込められている状態と認識していた。
しかし、前精霊王は出入りしていたというのだ。この世に生を受けて一番驚いた。
目の前の精霊王は、試したことはまだないそうだ。
これからは出入り自由と伝え、その場を去る。
それからまた一人、今後起こりうるリスクを考える。
もし私が死んだら、この空間が消滅することもありうる。
精霊王のこともあり、私がこの空間を完全把握できていないと言える。
それに、稀にこの空間に迷い魂が入り込むこともある。
空間をイレギュラーに使用している弊害か?
擬似空間:付属界をつなげていることが一番怪しいが、これをやめるつもりはない。
私が他に対して干渉することで、相手側からも僅かなりとも干渉を受けるのか。
私は完璧主義者でない。答えが出るまで追い求める研究肌でもない。
リスクを話してここの住人たちに選んでもらおう。
眷属の男3人のうち2人の父親は鬼人族、1人は龍族を父に持つ。
この3人の寿命もわからない。
父を鬼人族に持つ二人の寿命も大きく異なる可能性もある。
竜たちが住んでいる山に行く。
結構増えている。
賑やかだ。
同族で争わない限り、ここには敵がいないから、か。
寿命を迎えた龍はいない。
エンシェントドラゴンの族長と話す。数日前に産まれた龍の名付けを頼まれた。
私が付けるとジェイの影響を受けるのに、それでよいと言う。
その子龍たちに対面した。
うわぁ、可愛い。鞠と張る。
桃色と水色のクリスタルドラゴンか。人間界に居たら素材欲しさに狩られそうだ。
桃色子龍を抱き紫蘭と名付け額にキスをする。
水色子龍を抱き上げ蒼と名付け頰にキスをする。
族長にここから出て、私の居る現実世界で暮らすつもりはあるかと聞いてみる。
ここが永久に存在するかわからないから、と。
そして懸念事項を話す。
皆で相談すると言うので、山を後にした。




