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175話:収まるべきところに



「えーっと、俺様が呼ばれたのは?」

「クロウが目覚めたから、一応、礼を言おうかと思って。」


(一応かよ・・。)


「予定より時間はかかったけれど、概ねおまえの言う通りだったわ。ありがとう。」

「いや、別に。」



シャドウは、無になってしまった契約者のターゲットたちを見た。


「何よ?」


「おまえら3人の勝利で幕を閉じたんだなと改めて思っただけさ。・・あの女を擁護するわけじゃないが、あいつには名前すらなかった。初めて執着した相手が大事にしているペットにすら名前があったのが許せなかったんだろうさ。しかも名を与えたのは、愛しい男だったからな。」


「「クロウはペットじゃない!」」


「うおっ、・・失言だった。」


「それに、生い立ちや育った環境に理解はできるけれど、それが私の愛する者を傷つけてよい理由にはならない。」


「その通りだ。」


「俺様もわかってるって。・・あいつのどろどろしたどうしようもない感情は、何度転生して人を踏みにじろうが変わらなかっただろうって。だから、これで良かったんだ。あいつもそういう意味で解放された。」


(魂が壊れ、修復されないまま転生を繰り返してたと?)

「へえ。悪魔よりなシャドウがそんな事を言うとは意外ね。」


「うっ・・たぶん、あれだ。おまえに名付けされたから、俺様にもちょいと人間的な感情が入ってきたんだろうよ。」


「そう?・・愉しむのにも程程にね。」

「・・うるさい。じゃあなっ。」



思うに、私の力ごときでは、あいつが全世界で転生ができないとは思えない。

私の亜空間で力を得た仲間による処置であれば・・。


上には上がいるものだ。



亜空間内のことは、今なお、わからないままだ。

・・解明されないのも何らかの意味があることと思うようにしよう。




他者にやったことは、良くも悪くも自分に返ってくるもの。


ジンフィーリアたちが幸せになることが最高の仕返しと言えるだろう。




[夜:女王の寝室]


「ジンフィーリア。」

「・・クロウ?」


「えっと、譲ってもらったんだ。」

「・・・(なにを?と聞きたい。)。」


「いつも、愛してると言ってくれたのに、俺は前世、一度も返さなかっただろ?」

「え、ええ。」


「猫の体でそう言っても何もできなかったから、行動で示せなかったから、言えなかった。」

「いくらでもできたんじゃない?ペロペロ、スリスリしてくれるとか、膝の上に乗ってくれるとか。」


「あ~、俺ってそういうことすら(照れて)できなかったんだな。」

「少し寂しかったけれど、まあ、ツンデレってやつかしら、と思ってたから。」


「悪かった。」

「謝らなくていいわ。」


「・・親や兄妹が死んで、死にかけてた俺を懐に入れて温めてくれただろ。柔らかいあの温もりは一生忘れることはない。」


「覚えてるの?」


「ああ。ひもじくて寒くて辛くて、世の中すべてを恨みたくなったときにも、そばにいてくれたな。魔女からも助けてくれた。・・四肢を切られて目を潰されるはずだったが。」


「そうはならなかったってこと?」


コクン「ジンフィーリアに助けられたあとのことは、覚えていない。」


ほっ(二度も体験しなくてよかった。)



「話変わるけれど、俺が処理に困っている亜空間能力だが、付属界とやらで使い勝手のよいものにならないかと思って。」


「それは、ありえることよ。ただ、そこへ行くには「眷属になればいんだろ。」


「そうなんだけれど、でも、元魔王が誰かの眷属になるってのは「ジンフィーリアの眷属にしてほしい。」


(今後、他にも方法が見つかるかもしれないのに?)


「もう、決めたんだ。」


「わかったわ。じゃあ、、、もう寝ましょうか。」


「あ、うん。・・その、俺、今生も経験ないから、下手かもしれないけれど、頑張るから!」


「・・クロウ、頑張る必要はないの。あのね、あなたが家族であり特別な存在であることは揺るがない事実であって、私と夫婦にな」


(え・・・?)


ジンフィーリアは、クロウによって押し倒されていた。


クロウは、既にいっぱいいっぱいで、ジンフィーリアの言葉は聞こえていなかった。




<翌昼>


恒例の夫たちによるランチ会となった。


「皆、新参者だがよろしく頼む。」


「「こちらこそ。」」

「「「よろしく。」」」」


8人で乾杯した。


クロウだけでなく、全員が嬉しそうだった。



リアが望んだのは、クロウの幸せ。

クロウの幸せはリアのそばにいることだから、どうあっても巡り合う運命だったのだ。




<おまけ>


「リア、大丈夫か?」

「これが大丈夫に見える?」


(珍しく険のある物言い・・。こんな不機嫌な姿を見られるのも俺だけと思うと嬉しい。)にこにこ


「くう~っ、絶倫魔王め!」


「あ・・・(元、だけれど。)。」

(絶倫には、並外れて優れている様子という意味もあるから・・・。)



「クロウには愛する人と幸せになってもらって、それを少し離れたところから見守りたかったのだけれど。身近で手を打っちゃうなんて。」


「何言ってるのさ。クロウの選んだ幸せだよ。それに、クロウに何されても構わないんだろ。どんなクロウでも愛してるんだから。」


「それはそうね。(どんなローでも愛してるわよ。)」

「嬉しいね。」


「え?聞こえたの。」

「うん、ばっちり。」




「ああ、そこそこ、気持ちいい。ローは上手ね♪」


ローガンにマッサージしてもらいながら、ジンフィーリアは、恍惚の表情を浮かべていた。



「・・リア、何を見て・・仔猫?」

「クロウよ。」


「もしかして、夢の中で記録を?」

「うん。」


「映像から静止画にしてもらったの。椿に。」


「(クロウの成長記録みたいな・・?)椿は、映像系の能力に特化してるね。」

「そうなのよ。」



リアが付属界に行く時は、椿も時間をずらして別枠で参加し、リアよりも早く戻ってきてるらしい。

そうやって、記録能力を上げてるんだな。


そのうち、付属界まで覗けるようになったりして。



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