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166話:魔族の仮拠点決定


<魔界>


『おそらく、デーロンが死んだことにより、クロウの奪われた記憶が戻った。』


「それによる、混乱で意識が途切れた?」

『うむ。』



指導者を失った魔族たちが戻ってきつつあった。


「このままクロウを連れてここを出れば・・。」


「ぺしゃんこになるやつらと」

「迷子になる奴らが出るわけだ。」


「もうこんなところには、居たくないのだけれど。炎雷?」


コク

(アスタ。)

(炎雷様!)


(終わった。)

(では、デーロンたちは死んだので?)


(そうだ。だが、少々面倒なことになった。幹部たちの意見を聞きたい。今から、琥珀がそちらへ行く。)


(は、はい。配下の方ですか?)

(俺の相棒だ。)




[珍界:魔族の臨時拠点]


琥珀が転移すると、アスタと幹部たちが揃っていた。


一般魔族たちは、歓喜に湧いていた。



「琥珀と申します。」


アスタと幹部たちが礼をとった。



「早速ですが、クロウ様は無事です。」


「「「おおっ!」」」


「ですが、魔王に返り咲く意志はないようです。」

「では、炎雷様が魔王様に・・。」


「そうなりますが、魔王という称号に受け継がれてきた亜空間能力を炎雷様は継承するつもりがありません。」


「「「!」」」


「「「・・・。」」」


「戦う気のない我々は、人族から迫害を受けないためにも、ああいった空間は貴重なのです。」


「確かに、人族と無駄に争わないためにも棲み分けは必要です。しかし、今後は、人族と良好な関係になれるかもしれません。もちろん、すぐにというわけにはいかないでしょうが。」


「そんな夢のような話、現実になるとは思えません。」

「そうです、人族は我らを嫌悪し排除しようとするでしょう。今回のこともありますし。」


「ベスティア女王は、あなた方を受け入れる気です。」


「それは、一時的ではなく、今後もここで暮らすことを許す、と?」


「ここに逃れてきている魔族だけなら、可能でしょう。ですが、今の問題は、人界にて戦った生き残りをどうするかです。」


「生かすか処刑するかということですね。」


「ええ。クロウ様が外に出れば、消失する空間と運命をともにすることになります。」


しーん


「・・新魔王様、炎雷様はどのようにお考えでしょうか。」

「炎雷様は、あなた方の意志を尊重したいとおっしゃっております。」


彼らは顔を見合わせ、一斉に頷いた。


「我らは、魔王様に従います。」


(強いものには巻かれろ、ですか。単純でよいですね、炎雷様?)

(了解だ。)




<魔界>


「強いものには巻かれろ、思考でかたがついた。」

「つまり、絶対的強者の炎雷が好きにしていいってことね。」


(長いものには巻かれろ、じゃなかったかな。まあ、別にいいけれど。)


「絶対的・・、俺はそう言えない。ジンがいるからな。」


「別に私たちの間で順位をつけなくともいいでしょ。本来、魔族もどきの私は、魔王たる者に従うのが道理。そうなれば、もれなく眷属もついてくる。でも実際は、炎雷魔王は私の仲間だもの。」


「夫な。」

「そうとも言えるわね。」

「あのな・・。」


(主様、こちらを。)

(椿、ありがとう。)


ジンフィーリアは、炎雷に記録玉を渡した。




「俺が新魔王の炎雷だ。文句があるやつは、これを見てから言え。」


炎雷が上に弾いた記録玉の映像から、魔族たちは具体的に今回の結末を知ることになった。


しーん


(悪魔たちをいとも簡単に殺し・・。)

(新魔王の配下は、化け物ばかりじゃないか。)


(デーロンは、なぜあそこまで執拗に殴られ続けてたんだ?いい気味だけれど。)


「どうして、新たな魔王麾下に聖魔法を放てる者たちがいるのだ。おかしいだろう!相反するものだぞ。」ひそ


「天使と手を組んだんだろうよ、デーロンたちを倒すために。」ひそひそ



「そこ!聞こえてるぞ。」


ギクッ

ギクリ


「この女は人界のベスティア国王だ。そして俺の妻だ。と言っても、俺は彼女にとって7番目の夫だがな。」


ざわざわ


(炎雷、わざわざここで7番目とか強調しなくても・・。微妙な雰囲気になったじゃないか。)


「誤解のないように言っておくが、彼らは俺の手下ではない。俺たちの中心には女王がいるんだ。」


(((((!)))))

(全部、あの女の夫だというのか!)


(ちげえよ!)

(魔族たちが何考えてるか、わかるなー。)

(確かに、夫も未来の夫もいるけれど。)



(レイ、長引きそうだ。一度国へ帰った方がいい。)

(いや、ここまで来たら、最後まで(おとんがおかんにどつかれまくっとったり~?)


(・・・帰るか。)


同じ言葉は話せないが、京が言わんとすることはレイモンドに伝わったのだった。


レイモンド、ヴィオ、ケイジは、トランド国へ転移していった。




「選べ!俺に従うか、死ぬか。」





「結局、魔族の領地をまるっとGET、というわけにはいかなかったわね。」

「ああ、王がすげ代わっただけだ。」


(運命通りだけれどね。)


ジンフィーリアは、ミアーマダンジョン内に、新たに魔族の生活空間を創った。


「後々、魔国の建国宣言をする時には、領地も決まるでしょうし、それまでの仮の拠点ね。」


「便利だよな~、まるごと移転できるから、一夜城ならぬ一夜国の出来上がり!」

「実際は一夜どころか、一瞬で国が完成しちゃうんだから、チートすぎる。」


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