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160話:人界にて魔族との闘いがはじまる



[珍界]


「魔族の皆様、ようこそ。ここは我が主の領域にございます。私は、この世界を任されております椿と申します。」


状況が把握できない魔族たちが、ざわついていた。


「皆、静かに。」

アスタの言葉に、魔族が落ち着いたところで椿が話し始めた。



「見渡してみて、いない者がいるのに気づかれた方もいるでしょう。」


ざわざわ


「残念ながらここに来られなかった方は、敵認定されました。」


「え、そんな!彼は私の従兄弟なんですよ。」


「血縁や関わりは関係なく、間違いなくこの世界の住人にとって敵なのです。主様の結界は、害をなすものを弾くのです。つまり、敵意あるものは入場することができません。」



それだけ言うと、椿はアスタたち一行を魔族の居住区へ送った。



[魔族に用意された拠点]


「「「「「!」」」」」



アスタは3人を部下と決めた。

そして、彼らとともに、テキパキと同胞たちの家を決めた。


アスタから返された荷物を持って、それぞれが家の中で荷ほどきをした。



「アスタ様、納得がいきません!なぜ彼が敵なんですか。」


「椿様の説明が全てだ。」

「でも!」


「ジンフィーリア様の大切な存在に害を加えるものは、決してその領域に入ることができないのだ。人界の彼女が治めるベスティア国には常に結界が張られているそうだ。国民の出入りは自由だが、原理は同じで敵は一切入国できない。公正にそう判断される。我々には感情があるから、どうしても人を見誤ることがある。が、ジンフィーリア女王の結界は、感情抜きで、敵は敵と見做されるのだ。」


「でも!」


「君の従兄弟が、これまで君にとっては善だったとしても、我らには悪ということだ。どうしても理解し難いなら、ここを出られるよう椿様に掛け合ってやろう。その代わり、二度と戻ってこられないと覚悟してくれ。」


「っ!・・・。」


アスタの説明に、他の者たちも、弾かれた者たちをそれ以上擁護することはなかった。




[魔界]



「魔王デーロンが多方面に渡り、侵攻を開始しました!」


「戦力数はさすがね。」


「ゾンビやスケルトンがいますからね。」

「虫等の魔物も戦力ですから。」


「そういう意味では、戦力は無限ね。」


「頭を倒すのが手っ取り早いってことだ。」



「では、同時に防御壁を展開するわ。」



『皆さん、ジンフィーリアです。既に周知した通り今から障壁を張り巡らします。

その前に、一つ付け加えることがあります。

人間に善人と悪人がいるように、魔族にも当然、同じことが言えます。

既に、魔族の一般民は私が保護しました。』


どよどよっ


『家族を人質に取られ闘うことを余儀なくされている魔族がいます。彼らには、人質は安全なところにいると呼びかけます。人界の事情と同じで、魔王の命令に逆らえず仕方なく闘いに加わっている魔族もいます。そういった者たちは、防御壁の中に入ることが可能です。それには、知能のある魔物も含まれます。』


人々は、その言葉にとても動揺した。


平然としていたのは、女王に感化されまくっているベスティア国民とジンフィーリに好意を持っている者たちだけであった。



[ベスティア王城]


「では、行くよ。」


「「気をつけろよ。」」

「エミール、健闘を祈る。」


「楓、エミールを頼むよ。」

「お任せください。」


「楓が来てくれるとは心強いよ。」

「では、参りましょう。」

「ああ。」




王城の中に、帝都と同じフィリア邸があるようなものだった。

それ故、ベンが侍従長として城の中で働く者の采配をしていた。


戦闘メイドとしてベンに仕えている牡丹は、今回、カイの守護を任された。


「それでは、これからカイ様とともに敵を殲滅する任務につきます。」

「今まで、あまり活躍の場がなく退屈だっただろう。思う存分暴れてきなさい。」

「はい♪」



(あれ?攻めじゃなくカイの守りじゃなかったかな。まあ、問題ないか。)byローガン




法王国には、眷属の榊と藍が派遣された。

インドア派の榊はドラキュラ族で、人の思考を見極める力があった。


藍は、成人の儀の相手にジンフィーリアを指名した。

母は瑠璃である。



「一番大変な場所じゃないか。」

「まあ、忙しいよね。」


老害等、いなくなった方が良い人物は見殺しにする。


その代わり、法王国を良い方向に変えられる人材は死なないように守らねばならない。


「一人では手に余る。」

「マーキングしたら、俺も守るからさ。それでも取りこぼしそうだったら、応援を頼もう。」


「やれやれ、面倒な任務だ。」


「おまえ、瑠璃に聞こえたら、どつかれるぞ。」

「うっ。」



時間が経つにつれ、聖職者たちの中に聖力切れを起こすものが増えてきた。

そうなると、動きが鈍くなるようだ。


「やばいっ!」


「・・危なかった。死なせてしまうところだった。」



急遽、百合と撫子が応援に入ることになった。






[ミーシア国]


いち早く戦闘することになったのは、ヴィオとケイジだった。


「おお、来た来た。」


ケイジの能力は、目視できる相手に対し剣の雨を降らせることだった。


ヴィオは、スラおむつを身に着けていた影響で、スライムたちと意思の疎通ができる。

頼もしい相棒として阿吽の呼吸で共闘可能なのだ。



先頭をかけてくる四本脚の魔物を結合した特大スライムたちが包み込んだ。

ヴィオはその中に重力を加え、魔物たちをすり潰した。


「うわあ、えげつな。おまえのそのスライム使い、卑怯くさっ。」


「何を、ケイジこそ、ソードレインに諸々の属性を付加できるくせに。」

「まあな。聖属性も使えるのは、今回のためだったのかも。」


「俺たち、一度にたくさん屠ることができるから、効率いいよな。」

「際限なく湧くかも、だがな。」


「どの部隊にもネクロマンサーがいるのか。」

「かもな。」




[シャング国]


「防御壁内に、魔族が入ったら、市民はパニックになりそうだが。」

「あ、早速入ってきましたよ。」


「「あ!」」


「一瞬で消えた。」

「さすが姫さま。瞬間判断で珍界へ転移させているようですね。」


「これなら国民の混乱を誘発しない、安心だ。」

「ですね。敵側の人数も減らせますし。」




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