151話:魔界について
[3人で飲み]
「クロウ殿は、同じ時を生きているはずです。」
「せやせや、姫ちゃまがしくじるなんてありえへん!」
「うん。その通りだ。ついつい、弱気になってしまっていたけれど。リアのやったことだ、間違いなく今生で俺たちはクロウと会える!」
うんうん
「酒を酌み交わしたのもなにかの縁や!この桜がローの護衛したるわ、見つかるまでな。」
「それは頼もしいね。」
「せやろ?うちはやるで~!」
「ここを出たら、魔族領へ行こうと思う。」
「「!」」
「ジャスティンにあれだけ執着、、いや、大好き過ぎるほどだったクロウが、自ら行動していないのがおかしい。」
「ですね。」
「せやな。産まれた瞬間から姫ちゃまを探しているはずやわ。」
(いや、さすがに赤子の体では無理だろう。)
「身動きできない状況に置かれているのかもしれない。であれば、こっちから出向かないと。」
(人間界で気配が感じられないのなら、別領域にいると考える方が・・。)
うんうん
「クロウ殿とは生前に会えなかったので、我らもとても楽しみにしているのです。ぜひとも幸せいっぱいの主様を拝みたいものです。」
「今生は、どのような姿なのか。前世と同じ黒猫の姿だろうか。」
「エルフ?」
「ふむ。夫たちの中にいない種族なのも楽しそうだ。」
「知能の高い魔物?」
「ええっ?」
「桜、主様がそのような姿での転生を良しとするはずがないでしょう。」
「けど、ここへ来たら人化でけるやんか。」
「・・まあ、そうなんだけれども。」
[法王国]
「ええい、埒が明かん!」
魔族たちは、湧き出た場所で勇者が来るまで暴れまくる。
そして、勇者が到着すると、1時間ほど闘い、生き残りは魔界へ帰っていくのだ。
魔族がどこに現れるか予想がつかないので、後手に回ってしまう。
法王国は、勇者5人を魔界へ送ることに決めた。
[談ずる]
「人界の被害を考えたら、戦闘場所を魔界にするのは得策でしょうが。でもよいんですかね?勇者だけを放り込むつもりですよ。」
「亜空間に入るのが、恐いのはわかるけれど、押し付け過ぎじゃないかな。」
「そうだよね。勇者たちの性格が悪いとは言え、一方的に召喚しといてさ。法王も良い性格してるな~。」
「召喚と同じよね。魔界で魔王を倒したとして、勇者たちはどうやってこちら側へ戻ってくる?」
「帰還の魔導具を持たせるつもりでしょうが、亜空間で、発動するかどうかは行き当たりばったりなわけで。」
「どうせ、勇者たちには、心配ないと嘯いているでしょうね。」
「女王様麾下の者たちなら、うまくやれるのではないでしょうか。」
「シャア、確かに私の周りの者たちは、優秀よ。でもね、眷属は私の力を超えることができないの。規格外なのは、ゴウルとジルバ、リアンたちドラゴン、精霊王たち、そして、炎雷くらいなの。その者たちをもってしても、亜空間は未知の領域でどう転ぶかわからないのよ。」
「そうですか。(女王様も間違いなく規格外ですよね~。)」
「もう少し言うと、魔王がどこまで魔界の力を把握してるかということも不安材料なのよね。100%制御できていればよいけれど。どうやって確かめたらいいのか。」
「質問して、魔王に、わかんな~いって言われたら、それまでだよね。」
「そうね。」
「「「「「・・・。」」」」」
「勇者たち擁護で、魔界行きを俺たちが反対したところで、法王国は決行するだろ。」
「でしょうね。」
「勇者たちは、無差別に魔族を屠るしかない。でも、それはあまりにも無慈悲だ。」
「ええ。」
「スラ忍たちの調査はどこまで進んでる?」
「柊と梢、報告してくれる?」
ヒュンッ、シュタッ!
「「はっ。」」
「まず、声を大にして言いたいのは、あの魔界環境は、酷く居心地がが悪いということです。」
「拙者も同感です。かの場所にての永住はまっぴらごめんです。」
「もう少し、具体的に言ってくれ。」
「なんと申しますか、うーむ、、、主の界隈を清浄な神域とすると、魔界は瘴気に満ちたヘドロ地帯と言えます。魔素自体も悪意の集合体のような気質のものです。耐性がない者は、体を精神を、作り変えられてしまうだろうといった危険な感じを受けます。」
((ヘドロ・・・。))
「なかなかヘビーな場所ね。」
「はい。分身も帰りたいと泣いております。」
(((そうなんだー。)))
「先住民のエルフたちは、黒く変化したようです。」
(((エルフ!)))
「変化を詳しく!」
「主のような白く透ける美しい肌が、褐色や黒色に変わり、呪紋のような痣が体に刻まれております。髪も絹糸のような金からパサパサな黒髪に変化したようです。」
しーん
「精霊と交流のあるエルフが闇落ちしたってことか。」
「ダークエルフの様相だね。」
「当然、精霊や妖精はおりません。」
「だろうな。」
「つまり、エルフの棲家を乗っ取ったってこと?」
「そういうことになります。世界樹も枯れておりました。」
「「「ええーっ。」」」
「つい驚いちゃったけれど、そういう環境なら流石の世界樹も生きていられない?」
「ええ。ジメジメして鬱蒼とした暗い世界です。」
「それって、自殺者が多くなる環境だ。」
「世界樹の力が闇に負けたのね。なんてこと。あり得ないはずが、やはり、そこは亜空間だから可能?」




