147話:ワイバーン隊、帰国す
シャアたちによるダンジョン探索が始まった。
一人が死ぬと次々に死に戻りが出た。
「ああ~、お助け玉をいくつ使ったのだろうか。」
「払えますかね・・。」
「死亡体験のオンパレードっちゅうか?」
(((((くそ~。)))))
優しい京と撫子は、シャアたちをダンジョン宿泊させず、毎日翡翠館で休めるよう送ってやっていた。
[翡翠館]
「只今戻りました。」
「お帰りなさい。今日はいかがでしたか。」
「ハード、この言葉に尽きます。」
「まあ、お疲れ様でした。」
隊全員で、入浴中だ。
「この豪華な風呂、そして美味い食事、ふっかふかなベッド・・一泊いくらなんでしょうね。」
「装備一式も寝てる間にピカピカにされてるし。」
「俺、蓄えがあまりなくて・・。国へ帰ったら借金地獄が待っていたりして・・。」
「あまり、考え込むな。きっとなんとかなる。」
そう言いながらも、シャアも不安に思っていた。
ダンジョンでのことは、言葉に言い表せないほどの苦労があった。
息つくヒマがないほど、魔物が襲ってくるし、目の前で仲間が即死する。
何度、死んだことか。
ここへ帰ってくるとホッとする。
女将に会うと、優しく包み込んでくれるような安心感を覚える。
美人だよな。
「おい、隊長がまた惚けてる。」ひそ
「わかりやすい人だよな。」ひそひそ
「女王様が大事にしてるラナさんを嫁にはくれないだろうな。」ヒソ
「望み薄かあ。」ヒソヒソ
(ラナ、シャアたちは元気にやっているかしら。)
(女王様もお人が悪い。ふふっ。)
(お仕置きと言うよりは、愛のムチね。諸々強化されるから感謝してほしいくらいよ。
生きていく力を付けてやったと言えるわね。)
(仰るとおりでしょうね。)
(ところで、ラナもよい人がいたら幸せにならないとね。)
(まあ、急にどうされました?)
(そのまんまよ。ただし、結婚してもこの国にいてほしいわ。)
(結婚の予定などありませんし、この国を出る気も全くありませんから。)
(そう?でも、幸せになる機会は逃しちゃ駄目よ。)
(はい。)
<シャアたち>
「「「「「「「「「「万歳!バンザーイ!」」」」」」」」」」
「やっと、やっと、解放された。」
「長かった。」
「うううっ、苦節30年・・・。」
「おい、30日だろうが。」
「だが、酷く長く感じた。」
「「「「「同感!」」」」」
「それにしても、清算の瞬間が一番恐ろしく感じた。」
「俺も。ダンジョンで死ぬよりも怖かった。」
「「「「「俺も!!」」」」」
「驚いたよな。ダンジョンでの戦利品を俺たちに丸っとくれるなんて。」
「だよな。捕虜(奴隷)の俺等が得たものは、女王様が召し上げると思ってたから。」
「俺たち、金持になったな。」
(結婚しよっかな。)
(家を買うか。)
ダンジョン入り口には、冒険者ギルドの出張所がある。
そこで、シャアたちは冒険者登録をし、最終日には買い取りもしてもらった。
結果、隊員全員の財が増えたのだった。
<おまけ>
シャアたちのワイバーンは、ジンフィーリア眷属の計らいにより、強化されていた。
騎乗者たちは、あらゆる耐性がつき、身体能力が大幅にアップした。
シャアたちがいれば、そんじょそこらの国に侵略を許すことはないだろう。
結果、ブルーニュ公国には良いこと尽くしであった。
シャアたちは相当苦しい目に遭わされたが。
その甲斐あって、全員の未来は明るい。
[ブルーニュ公国]
「詳細は、ミアーマ国より聞いている。ご苦労であった。」
「はっ。」
「国力強化につながるそなたたちの存在を、誇りに思う。」
「勿体なきお言葉にございます。」
「褒美をとらす。望みがあれば何なりと申せ。」
「・・・であれば、お願いがございます。」
翡翠は、夫婦の寝室を作った。
シャアの部屋とラナの部屋の両方から行き来可能だ。
ラナはシャアのプロポーズを受け入れた。
二人は結婚した。
シャアは毎日、翡翠館から、勤務先であるブルーニュ公国へ真っ赤な小型飛行機で通っている。
シャアの指には、ラナとお揃いの指輪が光っている。
シャアが呼べば、真っ赤なロボが眼前に転移してくる。
小型飛行機が変形しロボの頭部に合体すると、ロボ自体をシャアが操縦すことができるのだ。
当然、大戦力であり、ブルーニュ公は大喜びしている。
シャアの赤いゴーレムを世界が周知すれば、公国に戦争を仕掛けようなどと考える国はないだろう。
<サブロー>
「ジン、前に、ロボを作ったよね。」
「ええ。弟妹たち用にね。」
「赤いロボを作ってくれないかな。」
「ふーん?」
「フォルムをこんな感じでやってくれれば。」
「ああ、書いたのね。」
「作ってくれるよね?」
「いいわよ。」
(シャアって聞いたら、浮かぶよね・・?)にやっ




