146話:シャアたち、ダンジョン入口に到着
[ブルーニュ公国]
公の執務室に突然現れた美丈夫の獣人二人。
「「「!」」」
「度重なる上空侵犯だが、腹に据えかねてな。」
「「「・・・。」」」
「シャアだったか?以下10人は拘束させてもらった。」
(((!)))
「死なない程度にかわいがってから帰してやる。」
「き、消えた。」
「まずいことになりました。使者を出しますか。」
「むう・・。」
「殺す気はないと言っておりましたから、しばらく静観してはいかがでしょうか?」
「だが、公国一のワイバーン隊だぞ。シャアたちとワイバーンたちに何かあれば、国の損失になりまする。」
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10日経ってもシャアたちが戻らなかったので、公国から詫びの使者団がミアーマ国へ出立した。
[ミアーマダンジョン]
「ダンジョンに行くには、この森を通るしかないってことですけれど、やけに暑くありませんか。」
「確かに。急に気候が変わったような?」
ガサガサッ
びくうっ!
「びっくりした。2足歩行の動物か。」
「サル、でしょうか。」
その動物には、スポットライトのように太陽光が当たって、毛皮がキラキラと輝いていた。
「初めて見る動物だ。」
「この森も調査対象やろ。近くで見たらええやんか。」
「危険はないのか?」
「あいつは、うちらの仲間だがぁ。」
「「「仲間??」」」
「そっ。近づいて、肩をポンポン叩けば、こっち見るで。」
(意思の疎通ができるということか。)
皆の目が最年少隊員に向いた。
おまえが行け!と言わんばかりの顔で圧をかけられた。
「ええ~。ひどくないですか。」
「つべこべ言わずに行け!」
「もうー、・・わかりましたよ~。」
生贄の隊員ジムは、恐る恐る、金茶のサルに近づいていった。
(腰が引けとるがな(笑)普通、サルの肩を叩くか?)
(ぶふっ。)
(うわあ、近くで見るともっさもっさしてる。)
ごくり・・・ぽんぽん
「こ、こんにちは?」
((サルに挨拶したーーー!))
その瞬間、サルは、ぐるんと顔を後ろに向けた。
「ぷぎゃあああっ!!」
(((!)))
「「「うわあっ!」」」
「「ぎゃはははっ!」」
「「アリアリ、ナイス!」」
アリアリはいい笑顔で親指を立てた。
ジム隊員は、なかなか心臓の鼓動が収まらなかった。
人生最大の衝撃と言ってもよかった。
シャア隊長が、うらめしそうな目で京を見た。
「わざと、ですね。」
「いやいや、ごっそさん。ええもの見せてもろたわ。」
(ぷぎゃあって、ぶふっ!)
(くそっ、ちょっとちびちゃった。)涙目
突然、子どもが現れた。
「洗浄魔法のご用命はございませんか~?」
「え・・即!頼む!」
「毎度あり~。銀貨1枚です。」
「え、高っ。(いや、背に腹は変えられん。)頼む。」
「ツケにしておきますね~。」
「ツケって・・。」
「皆さん、金持ってないが?だからあとで諸々清算♪」
(((・・・。)))
(金を毟り取る気?)
・
・
「さっきの赤顔のあれは、なんですか?」
「へ?ああ、アリアリのこと?」
「アリアリ・・そういう種類なんですか。」
「ちゃうちゃう。」
「彼の名前がアリアリだが。」
「森の動物に名前が?」
「いや、せやから、仲間やて。」
「仲間って・・。」
「隊長さんが『おわあっ!』って叫んだ相手、ククッ、あいつも仲間でケロロて名前なんやわ。」
かああっ「・・そうですか。」
「仲間たちは強いし、人化も会話も可能や。」
「そんなことが?」
「ほんまやで。」にや
「・・・。」
「あ、やっとダンジョンの入り口ですよ!」
ジムが嬉しそうに言った。
「ここまで半日かかった。」
「最短やと1時間もかからんがな。」
「「「え?」」」
「きっちり見せたろ思て、ちょい遠回り?」
「「「「「・・・。」」」」」
何やら疲れがどっと出た隊員たちであった。
「まあまあ、飯食いながら、そこの露店で持ち込むもん決めたらええわ。」
[食事中 ]
露店ワーナ:『死にたくないなら絶対買おうお助け玉』
「あの垂れ幕・・お助け玉とやらは買うか?」
隊員たちがコクコクと頷いた。
「ワイバーンたちは、大丈夫だろうか。」ぽつり
「当たり前やんか。」
「それならよいのですが。」
「あの!ダンジョン探索にはどれくらいかかりますか?」
「好きなだけかけたらええやんか。」
「はい?」
聞けば、ブルーニュ公国へは、連絡済みという。
(俺たちが捕虜になったことを公はご存知なのか。いや、それよりも、無事にダンジョンから出られるのだろうか。)




