145話:ブルーニュ公国のワイバーン隊
【ナギたちの故郷】
『金色のドラゴンだ!』『初めて見た!』
『珍しい色のクリスタルドラゴンたちもいるぞ!』
ジンフィーリアたちは、里の開けたところに降り立った。
『おい、おまえ、俺様の妻に加えてやる!(極上の女だ!)』
(こいつが新ボスね。)
『結構よ!間に合っているわ。』
(夫は既にいるから。何人もね、未来に増えることも決まっているし。ああ、体がもたないわ。)
(何を仰います。問題ないではありませんか。)by瑠璃
(いつか、お子を抱いてみたいっすね~。)
(・・授かりものだから。)
(重々承知しておりますとも。)
ドラゴンたちが集まってきた。
(隅々まで拡声させて話そう。)
『イアンとナギは、エンシェントドラゴンに進化したわ。』
どよどよっ、、と空気が唸った。
『嘘をつくな!』
『『本当よ。』』『本当だ。』
(((((!!)))))
『では、失礼するわ。』
『待って!』『『待ってくれ!』』
その3体のドラゴンたちは顔を見合わせ、1人が代表して言った。
『我らもイアン様の元へ、連れていってくれ。頼む!』
『大歓迎よ。』にっこり。
『黙って行かせると思うの、か・・消えた!』
(よくも私の大切な仲間を虐めたわね。私からのプレゼントよ。
メテオ爆雷!)
『?・・・なにか、上空に?』
ドラゴンたちが目を凝らしてみていると、それはどんどん近づいてきた。
『うわあ!』
(やばい、あれはまずい!)
ドッカーーーーーん!
バリバリバリバリ・・・・ッ!!!
・
・
ぷしゅ~~っ
黒焦げになったドラゴンたちがいた。
(わあ~、死屍累々♪)
(殺してないわよ。)
(残っていれば、我らもああなったのか。)
((・・・・・。))
ジンフィーリアたちは、イアンの目の前に転移した。
『『『!!!』』』
『『『イアン様っ、ナギ様っ』』』
『おまえたち・・』
『おおっ!本当だ。』
『纏う気が段違いになっている。』
『凄まじい覇気!』
3人も一緒に来てくれた。
ホクホク顔のジンフィーリアだった。
[ブルーニュ公国、定期調査]
ワイバーン隊隊長のシャアが、本日も部下を連れてミアーマ国へ向かった。
上空から偵察中だ。
国として周知されてからは、余計な軋轢を起こさないためにも近づき過ぎないようにしている。
「小さな国ですが、作物の実りもよく、国民も活気にあふれていますね。」
「そうだな、いつもと変わりない。」
「この調査って意味があるんですかね。」
「同感だが、我々は、公のご命令に従うまでだ。」
『また来たよ~。』
『コバエのように目障り!』
「そうね~、我が国のことを知ってもらいましょうか。もう来る必要がないくらいに。
紫蘭、蒼、捕縛してきて。」
『『OK~。』』
<上空>
「前方に飛行物体、発見!」
「うん?なんだ?水色と桃色・・・うわああっ!」
「ド、ドラゴンだ!!」
紫蘭と蒼は、シャアたちワイバーン隊のすぐ目と鼻の先ほどの距離でホバリングしている。
『ドラゴンブルーねっと~!』
((((!))))
「退避!!!」
「駄目です!ワイバーンたちが硬直して・・。」
「くそっ!上位種のドラゴンの前ではなすすべがないか。」
『転送♪』
ドサッ、ドサドサッ・・・
「うわっ!」
(こ、ここは、地上・・・。)
(ミアーマの王城?)
王城の前で待つジンフィーリアたちの元へワイバーン隊の10人が転移させられた。
「初めまして。」
(((((!)))))
(この美少女・・もしかして、いや、女王本人なのだろうな。噂では世界一の美貌をもつと・・。)
「この隊の隊長を務めるシャアと申します。」
「私は、ジンフィーリアよ。」
「(やはり!)女王陛下であらせられますか。単刀直入にお伺いします。我らをどうするおつもりか。」
「何度も訪問してくれてるから、招待したまでよ。この国で実体験してみればいいわ。」
「・・体験?」
「そう。ブルーニュ公への手土産になるでしょう?」
「!」
「でも、その前に!何度も無断で盗み見されたのは気分が悪いっちゅうわけで、あんさんらにお仕置きしたるわ。」
(この青年も美形だ。・・というより、女王の周りには、顔が整った者しかいない?)
<シャア>
ワイバーンたちと引き離されて俺たちは指輪を嵌められた。
隷属のかかった魔導具だろう。
女王は、魔導具作りが得意らしい。
「さあ、腹ごしらえせんとな。」
俺たちは、顔を見合わせた。
「失礼なやっちゃな~、毒なんて入ってないで。はよ食べてんか。」
仕方なく、隊長である俺が最初に食べた。
「(!)美味いっ!」
俺は夢中で食べ始めた。
俺の様子と食べっぷりに、呆気にとられていた部下たちも食べだした。
デザートと茶も美味しくいただき、いつの間にかリラックスしていた。
「ほな、そろそろ行きまひょか。」ニタリ
「え?・・どこへ・・?」
「ダンジョンだぎゃぁ。」ニッ
「ダンジョン?・・な、なぜ?」
「お仕置きだぎゃあ。」
あ、そう言えば、言ってたな。
この美男美女の二人は、変わった話し方をする。
キョーとナデシコと名乗った。




