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144話:ドラゴンが増えた



[日常の中の騒動]




突然、ミアーマ国上空にドラゴンが。全部で10体いる。


国民が空を見上げて騒いでいる。

かなり高いところにいるが、国民たちの視力は抜群に良い。


元彷徨える森と果樹園の上空を旋回しているようだ。



そのうち一体の、体の小さなドラゴンが地上に向かって落ちてきた。


あの勢いでは、結界に弾かれるか、果樹園の木を台無しにして地表に打ち付けられるかで、どちらにしても無事ではすまないであろう。



結界に当たった方が衝撃は強いだろう。が、まあ、高潔な存在のものが結界を通れないとは思えない。



ドラゴンたちも慌てて、落ちる小ドラゴンを追った。


急なことで、ドラゴンたちは一歩出遅れたようだ。


結界を通り抜け、地面に激突すると思われた瞬間、青く透明な優しい『手』が小ドラゴンを包んだ。


国民たちから、歓声が湧き上がる。




国民たちは。ドラゴンを恐れていたわけではない。


飛行部隊の精鋭たちは、ドラゴンナイトと呼ばれ、ドラゴンを駆って防衛に務めている。


彼らもドラゴンも大人気なのだ。


それ故に、各国が、ミアーマ国を畏怖の目で見ている。




(紫蘭・蒼、事情を聞いてきてくれる?)


((了解!))





(なるほど。彷徨える森まで来たけれど、結界を通り抜けて良いものか思案中に、疲れていた小ドラゴンが落下したと。)


(怪我してるよ。)


(長老(?)ドラゴンの怪我が酷いわね。)


((うん。))


(暫く珍界にいてもらおうか、眷属になってくれるなら。)


(聞いてみる。・・OKだって。)

(早っ!)


(こんな簡単に決めてよいの?私から言っておいてなんだけれど。)


(早く、休みたいって。)




(そう。なら全員に、アンクレットを装着してもらってっと。

・・よし、いいわ。2人もついてきて。)


((は〜い。))





[珍界]



『ここは?』

「私の世界の主要領域よ。」



(ああ、皆の人化姿の神々しいこと。

特に、長老イアンと落下したナギのオーラが際立っているわね。)





『同胞よ、よく来た。』


「あ、リアン。」



(((((!)))))

(((((!!!エ、エンシェント!!)))))




「人型でもいいし、ドラゴンの姿でもどちらでも暮らせるように整えるわね、イアン。」

『助かる。』


「まずは、体を休めて。」




話を一通り聞いた。



「アラタ、どうかしら?」


「いやいや、ドラゴンにかかっているものの解呪は、さすがに無理だよ。」


「そう言わずに、やってみて。」

「え〜、期待しないでよ。」




「・・うーん、全解呪はできなかったけれど。」


『体が軽くなった。』とナギ。



「やればできるじゃないの ♪ では、と。」


長老イアンと体調の悪そうなナギには、希凰桃を与える。他の8人には凰桃を。




イアンは傷がすっかり癒えて、進化した。


ナギも進化し、呪はすっかり消え失せた。


ドラゴンたちは、涙を流して喜び合っている。




「ナギは、ドラゴンの王たる資格者なのね。」


『ああ(主殿は、流石だな。)。それなのにやつらときたら・・。』


「王に向かって無礼ね!」


ドラゴンたちも憤っている。




「改めて、希凰桃ってなんでもありだね・・。」


「そうでしょう?ふふ。」


「俺の解呪、必要なかったんじゃ・・・。」グスン

「そんなことないわよ。アラタが頑張ってくれたから、全解呪出来たのよ♪ありがとう。」にっこり


「う、うん ♡ 」





[イアンたちの事情]



イアンたちは、ドラゴンだけで暮らしていた。


ナギは、特別な力を秘めたドラゴンだが、深刻な呪いも体にもって生まれた。




加齢とともに長老イアンの力が弱まってくると、新勢力が台頭してきた。


それだけなら、自然の流れだが、呪い持ちのナギをよしとしなかった。


そして、ナギを排除したい新勢力と、ナギを擁護するイアン側との争いに発展してしまった。




最高峰のドラゴンであったが、よる年波には勝てず、イアンは敗北してしまった。


そして、里を追い出されるナギとイアンいついてきたドラゴンたちは、ナギの親族だった。



『今なら、其奴らなんぞ、一蹴できるだろう?どうする?里へ戻るか?』


『いや、私が勝っても、彼らが行き場を失う。せっかくのこの出会いを大切にしたい。』


『それがいいな。』ニヤリ。


『ああ。』ニヤリ。




(ええ~、追い出されたのに、仕返ししないの?紫蘭だったら我慢出来ないでしょ。)


(私は、ヤられたらやり返すわよ!でもね、蒼、彼は懐が深いの。それに、ここの方が諸々快適じゃない?)


(そっか、ノーストレスで過ごせるよね。)

(そういうこと。考え方の合わない外野がいないしね。)





「では、外の世界にも居住区を整えるわね。」


『ここでよいのだが。』


「イアン、この空間は、私が死ぬとどうなるかはわからない未知の『界』なの。」



『それ故、昔、我らにもここを出るか?とジンに聞かれた。』


「その通り。ところで、今更だけれど、あの時、皆と話し合って実際は、どうだったの?リアン。」


『まあ、暫くは、どうともならんだろうから、いざとなったら考えればいい、ということになった。満場一致で。』


「・・・そう。(全く、危機感がなかったように聞こえるわ。)」




「あ、そうだわ。新ドラゴンの皆は、心と体を休めながら、外の世界も垣間見てね。そして、よかったら、ドラゴンナイトの相棒として働いてみて。」


コクコク。




「ドラゴンが増えて、嬉しいわ。」


(せっかくだから、イアンたちが居た里の者にも牽制と勧誘を込めて挨拶に行ってこよう。)





『ジン、行くのか。我も行こうか?』


「大丈夫よ。ドラゴンの姿で行ってくるから。」


「俺は、付いていくよ。」


「私も!」「俺も!」



『気をつけてな。』ニヤッ




『ジンたちは、どこへ?』


『おまえたちの代わりに、意趣返しに行った。』



『『『『『! 』』』』』


(((((ありがとう。)))))




『余計なことを、とは言わないのだな。』


『・・私はともかくとして、ナギの親族たちにとっては、許せることではないからな。』


(ナギが今まで受けた苦痛を考えると、私も胸が痛い。)




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