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139話:夫の押し売り


ある日、ミアーマ国を目指している一行にスラ忍が気がついた。


あと5日ほどで到着する位置にいた。






シャング国の者たちだ。



「で?」


「シャング国は、中堅国なのですが、近々隣国との戦争が勃発しそうでして。」


「つまり、助けよと?」


「そういうことです。対価としてエミール王子を連れてきております。姫、、、女王様の夫として。」


「はあ?」





「もしかして、正義は隣国にある?」


「その通りです。(さすが女王様!)全ては、アホ王太子のやりようから始まったことでして。」


「つまり、我が国が介入しないと負けそうなのね。」

「間違いなく、負けますね。」


「そんな、王太子が王となるのでは、未来はないのでは?」


「今回、戦に勝っても、見通しは暗いですな。」

「そんな国が潰れるのは勝手だが、国民が憐れだよなあ。」


「相手国が、シャング国を隷属するのでないならば、いいのかしら?」




「どのみち、トップをすげ替えなくては、ね。代わりになりそうな者はいるの?」


「それが、どれも似たり寄ったりですね。」


「なら、周りが優秀であればよいけれど、そうじゃないのね?」


「はい。」




「他国のことを気にしていたらきりがないわね。」


「御意。」




「エミール王子の情報を。」


「母親の身分が低く、それ故冷遇されているようです。そして、『顔だけ王子』と揶揄されている存在です。」


「気の毒に・・・。お母様は存命なの?」


「病の床についておられます。ちなみに国王も。」


「・・そう。つまり、その王子がここに残っても母親が人質なわけ、ね。」


「そうでしょうな。」




「王の評判はどうだったのかしら。」


「はっきり言って、傀儡王です。」


「ああ、そう・・・。なら、周りの大臣たちは、今の王太子を持て余しているとか?それとも、別の勢力が王太子を支持しているとか。」


「後者ですな。」


「ならば、後継者争いが起きる可能性は、十分にあるわね。」

「ええ。」



「どこの国にも当然、まともな者はいるわ。革命を起こそうとしているとして、誰をトップに持ってくるか、ね。」


「いっそのこと、今の王家に全く関係ない者でいいんじゃね?」


「そうね。手っ取り早く、他国の優秀な王子でもいいわ。」




「エミール王子の親族は?」


「母親の以前の夫との間に娘と息子が。エミール王子の義兄姉ですね。」


「まさか・・」


「いえ、夫とは死別です。殺されたわけではなく、病死です。」


(安心したわ。)


「王とエミール王子の母親との関係は良好だったようです。外野はうるさかったようですが。」


「何人か王子がすでにいるのだから、そっとしておいてあげればいいのに。」




「まあ、どうするかは、王子の人柄を見てからね。」








[エミール王子と外務大臣]




「エミール王子殿下、しっかりとタラし込んでくださいよ。あなたのそのお顔を生かして。」


「俺には、顔しかないと言いたげだな?」


「滅相もございません。」


「ともかく、あなた様の頑張り次第で、お母様の治療にも高額な薬を使えるのですから。」


「陛下には、高額な薬も効果がないのだな。」


「ぐっ、そ、それは。」


「王子殿下、国王陛下の病状は、相当に難しいものですから。」






数日後、シャング国一行は、ミアーマ国の国境に到着した。




「なんと!あの看板は?」


『国や国民に害を齎すものは入場不可』


「なんでしょう?怪しいものが、自己申告するとは思えませんが。」


「見ろ!門の内側にしか警備兵がいないぞ。」


「つまり、誰でも通れるということか。」


「はん!ザルな警備だ。」




しかし、シャング国一行が門を通ろうとすると、弾かれて中へ入れなかった。


先頭は、偉そうな外務大臣だった。




「大臣、いかがいたしましょうか。帰国します、か?」


「馬鹿者!何の成果もなく帰れるものか!!」


「ですが、入国できないのでは・・。」


「ぐぬぬ・・」




「あ、エミール王子殿下が・・。」


王子たちは、すんなり門を通りぬけた。


!!!


「ど、どういうことだ?」




「おい、おまえ、エミール殿下に聞いてこい!急げ!!」


「は、はい。」(全く人使いの荒い、豚め!)




先程の者が戻ってきた。


「どうだった?」


「あ、あの〜。全員ダメというわけではないそうです。通れる者もいるそうです。」


「は?」


「その〜」


「外務大臣が通れないのは決定ということだ。」


「「「エミール殿下!」」」


「一人一人試してみればいい。」




結局、外務大臣と腰巾着たちが通り抜けること叶わなかった。




「何故だ!無礼じゃないか。」


「看板にあったように、我らが不利益を齎すということでしょう。」


「戦争に参加させようとするのですから、間違いなく国民を危険に晒すわけで・・・」


「ぐっ!」






「オロロどうだった?」


「柊の報告通り。」


「面白いから、有害物質は捨て置きましょう。」


皆、一同に頷く。



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