135話:ダンジョン体験を振り返って
[ダンジョン調査・反省会]
・・というより愚痴会になった模様
<まず様相が違う彷徨える森について>
「あのショッキングだった猿!ムカつく。・・しっこ臭いと洗浄押し売りされるし、シクシク。」
「まあまあ、アラン、忘れるんだ。」
「それより、あの森も十分危険なんじゃ?」
「そこは、お姫さんの持ち物だから、大丈夫だろう。」
「あのけったいな猿は、姫ちゃんのダチやで。内緒やけどな。」
((((!!))))
「他にも姫さまが懇意にしている人や、動物が居りますから、ナートさんが仰る通り問題ありません。」
にっこり
((((・・・。))))
「そうか・・。」(納得!)
<上層について>
「蝶に眠らされかけ、あのふっとい管を刺されて一瞬で目が覚めた。
かなり痛かったが、体液を吸われる感覚は、口では説明できないほど悍ましかった。」
(((ひぃ・・。)))
「そして、吸い口の痒み!痒みで死にたくなった。」
(((・・・。)))
「よ、酔どろんが効くなんて、すごい発見だよ。」
「確かに!ギルドに戻ったら沢山買おうと思う。」
「「同感だ。」」
「あれ、実は烈火の劣化版なんですよ、あ、これも内緒で。(姉様に叱られる。)」
((((・・・。))))
「一面に広がる草原を見て、気を抜いてしまった。トラップに引っかかって入口に戻った時は呆然とした。『ワーナ』の看板を恨めしく思った。
そこから皆のいる10層まで、ひたすら走った。魔物なんてなんのその。」
「お、お疲れ・・。」
「エースさんだから短時間で合流できたんですよ。」
「ところで、宝箱は、あんな簡単に見つかるもんなのか?」
「さ、さあ。」
「テントは、快適でしたか?」
「意外にも、気に入った。借りてよかった。」
「そうだよな、暑さも寒さも感じなくてちょうどいい環境で重宝した。」
「ゴキブリまみれ、おつかれさん。」
「くっ・・・夢に見そうだ・・。臭いし。」
((( ・・・。)))
「楓さんが来てくれなかったら、もう前に進む気力が湧かなかったかも・・。」
「お役にたててよかったです。」
「サメっていうんだったか?初めて見た。体全部が口のようなイメージ。」
「魔物よりビビったよ。」
「あの時ほど恐怖を感じたことはない、冒険者をやってきて、いろんなモンに遭遇してきたけれど。」
「まあまあ、美味しい食材ですから。」
(釣り餌になってくれておおきに♬)
「サメの出現が宝箱発見となるわけです、殺さなくても構いません。無理せず逃げた方が良いかもですね。海に慣れていない人には危険でしょう。」
<中層について>
「砂地、砂漠?暑さと足がとられることにイラついた。消耗が激しい。」
「さらに流砂に苛つく!」
「さらに、さらに、ゴブリンたち!」
「罠を把握しているのでしょう。やってきたものを殺すのではなく、追い出すのが目的ですね。」
「・・・鋼の精神力がないと、耐えられない。次の層へは行けない。」
(((疲れた・・。)))
「すうどくだっけ?俺、あーいうの苦手。」
「同じく。」「「右に同じ。」」
「ケモミミカチューシャを付けるのは、恥ずかしかったし・・・。」
((嫁は可愛い。))
(妹は可愛いんだが。)
「空中遊泳は楽しかったけどね。」
「それに、ゾンビではなくスケルトンでよかった。」
「確かに、疲弊した心にゾンビでは、、、離脱したかも。」
<下層・最下層について>
「寒かった、心も凍った。」
うんうん
「京たちは、暑さも寒さも平気なのか。」
「まあ、耐性が付いとるからな。」と言ってバングルをチラリと見る。
((((いいなあ・・・。))))
「雪景色の中の露天風呂は最高だった。」
「雪見酒ってのも気に入った。」
「バンガローの囲炉裏は、暖をとるのにも料理するのにも便利でしたからね。」
「あーいう暮らしもいいね。歳とったらさ。」
皆、思いを巡らせているようだ。
「その後は、勝てる気しなくて、耐えるだけ。」
「我慢大会。」
「そして、宝箱への道。」
「俺ら、勘が働かないね。」
「ああ、何回戻ったか忘れるぐらい戻された・・。」
「そして!さらに上をいく我慢大会のはじまり。」
「ゴーレムは、変に凝ってるし。」
「ああ、メイド服着たのがスーッと寄ってきて、手には紅茶がのったトレーが。」
「いきなり脱皮(?)しだしたのもいたな。どんどん小さくなって、何がしたかったのか??」
「まるで、見せつけるためだけに登場したようだった。」
「あれはゴーレムではなく、カラクリですね。このダンジョン名の由来になっています。」
((((そーだったのか・・。))))
<ボス部屋>
「立派なドラゴンだったな〜。」
「こっちも闘う気ゼロだったけど、あっちも?」
「ちっこい宝箱の中身だけが気になったな。」
「ただのロジウム金貨だよ。」
「「「「 !!」」」」
「やばっ、内緒でお願いします。」
「100枚入りやっけ?」
「京兄・・・。」
[総評]
心身ともに疲弊する。この後は3ヶ月は遊んで暮らしたい。
実際、余裕で遊び暮らせるだけのお宝だった。
宝箱の中身は、素晴らしい。これぞ『ザ・宝』と言っていい。
4人とも銃系魔導具を殊の外、気に入っていた、取り合いになるほどに。
[カナマーの街:冒険者ギルド]
「ご苦労だった。報酬を渡す。」
「はい、ありがとうございます。」
「ところで。ざっと調査報告書を見たところ、力技なり、魔法なりで一掃すれば上層は、宝箱まで早く到達できそうだな。」
「そうですね、でも、今はできたてですから魔物も弱いんです。ですから、今後は攻略が難しくなるでしょう。」
「まあ、当然の流れだな。それと、宝箱の中身は、依頼主から全ておまえたちのものでよい、と連絡を受けている。」
「「「「 !」」」」
(お姫さんならそう言ってくれると思っていた。)
((((ありがとう!))))
「ただ、ギルドとしては一通り検証したい。しばらく預からせてくれ。」
「わかりました。」
「それにしても、一躍大金持ちだな、おまえたち。」
「ええ、まあ、宝箱のおかげで。正直、驚いています。」
「はあ、これから冒険者が殺到するな・・。姫さんの街にもギルドの支部をつくるか?」
「売上が減ってしまいますから、ここの出張所ということにしませんか。」と受付嬢。
「そうだな、間違いなくウハウハな場所になる。うん、出張所にしよう!」




