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番外編

番外編


高相祐一が捕まった。

「誰だそれ?」と思う人も多いだろう。

だがしかし「酒井法子の元夫」と言えば記憶に留めている人も少なくは無いはずだ。

それほど高相夫妻の薬物使用事件は驚きに満ちていた。

その高相祐一が再び覚醒剤の使用で警察に捕まった。

国民的アイドルとして絶大な人気を誇っていた「のりピー」こと酒井法子を一人のシャブ中に陥れ、薬物を使用しての変態SEXが好きなバカ女と、多くの人に連想させた夫高相祐一の罪は大きい。

その高相祐一が再び覚醒剤を使用し、警察の職務質問により尿検査を強いられ覚醒剤の使用が発覚した。

馬鹿な男だ、懲りない奴だと糾弾するのは簡単だ。

しかし…私は彼を非難する気にはなれない。

それだけ薬物依存症と言う病は重く完治することの無い病なのだ。

何を隠そう、私もその病に苦しむ一人だ。

疲れた時、酒に酔った時、性欲を感じた時、その時々のいたる場所で薬物に対する渇望が目を覚ます。

そしてその薬物は巷に溢れ、簡単に手に入る。

「二度と薬物などやるものか」

その決心をいとも簡単にはね飛ばすのも、覚醒剤の魔力なのだ。


薬物依存症の患者を「腐ったまんじゅう」に例える事が多い。

まんじゅうはどこから腐り始めるのか……?

答えを導き出すのは難しいことではない。

言わずと知れたまんじゅうの皮に包まれた「餡子」が最初に腐り始める。

見た目は美味そうなまんじゅうも、中の餡が腐っていたのでは、うっかり口に入れてしまえば後の結末は想像するに難たくない。

やがてまんじゅうは張りを失い、カビを生やし、誰が見ても腐っているのが分かるように姿を変える。

薬物依存者も同じだ。

初めは見た目では分からず、家族や仲間も僅かな違和感だけを感じながら接するだろう。

しかし…その時はもう手遅れなのだ。

知識のない親や友人の手に負えるものでは無い。

警察でさえ、ただ薬物の常習者を捕まえ刑務所に入れた所で、薬物依存症という病気の治療をした事にはならない。

専門医の手を借り、徹底的な治療をしない限り薬物依存症に改善の余地は無い。

いや、薬物依存症とは完治することの無い不治の病いなのだ。

NAと言う団体が有る。

薬物からの離脱を目指す仲間同士が作る非営利集団だ。

私はあるNAの会場で何度か高相祐一を見かけたことがある。

丸々と太り、それが高相祐一だと聞かなければ誰なのか分からないほど、彼は薬物とは無縁な人間に思えた。

しかし、ある日司会者である彼が欠伸をするのを見て私は違和感を覚えた。

今から1年近くも前の事だ。

その頃から彼が、再び覚醒剤を使っていたのかどうかは分からない。

ただ、美味しそうなまんじゅうが腐り始めるのを私は敏感に感じ始めていた。

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