第9話 ファルティア王国
細かい設定が多く、頭を空っぽにすると楽しめない内容になってしまいました。
騎士さんの登場です。
―ファルティア王国―
世界【リーシェ】の中でも飛び抜けて大きい領土を持つ王国。
領土の約半分が緑豊かな森と資源溢れる海に接していて漁業や林業が盛んな国である。
また、季節の変化が無く常に春のような暖かい気候であるのを生かし、農業や畜産を積極的に行なっているため周辺国からは"恵まれた国"と呼ばれている。
それに加え、ファルティア王国が施行する政策の多くは民からの評価が高い。
様々な種族を寛容に受け入れている為差別や偏見がなく、誰にとっても暮らしやすい環境が整っている。
そして軍事にも力を入れており、数多くの騎士団や冒険者ギルド、魔法の研究を行う施設などが設置されていて圧倒的な武力を誇っている。
森や海に接しているため、魔獣などの討伐を行う冒険者にとっても稼ぎやすい国である。
……そんな生産力・武力など各方面において飛び抜け、安全で暮らしやすいファルティア王国は今1つの懸念事項を抱えている。
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ファルティア王国・王城の一室では朝早くから激しい議論が巻き起こっていた。
「どうするのですか国王様!我が領土に神竜が現れたのですよ?!民は皆、恐怖に震えております!」
「少し落ち着け、宰相殿。他の国々では神竜が通過した影響で相当な被害が出ておるが、我が領土に被害は出ていない。」
「落ち着いていられますか!!これから被害が出る可能性も十分にあるのですぞ!」
「何故、此度に神竜が現れたのかは分からぬがどうする事も出来ぬ。」
「それは分かっております!…ですが昨晩、王国の東の森に神竜が向かったのを見た民や冒険者が数多くいるのです!」
"国王様"と呼ばれた初老の男性が、"宰相"と呼ばれた髪を振り乱しながら捲し立てる壮年の男性に冷静に返事をしている。
「どうすることも出来ないだろう。迂闊に手を出せば国が滅んでしまう。」
「では、どうされるのですか!神竜が東の森にいては民の安全が脅かされるのですぞ!?」
「国王様、発言をお許しください。」
「うむ。良いだろう。」
1人の若い男性が手を挙げた。
「神竜の調査を我が第三騎士団で行いたいと思うのですが、如何でしょうか?」
「それは何故だ?」
「神竜が向かったのは東の森です。東の森は危険度が高く、調査をするにしても第三騎士団以外では務まると思えません。」
「なるほどな。確かに強い魔獣が跋扈しておるから、第三騎士団は適任かもしれん。許可する。」
「有難うございます。至急、団員を集めて準備を開始し2日後から東の森に入り調査を致します。」
「くれぐれも気を付けるように。神竜が現れても決して手は出してはならぬ。では、宜しく頼んだ。」
「はい。それでは失礼致します。」
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フゥルティア王国には数多くの騎士団が存在していて、王国内外で起こる様々な事象に対応出来るよう騎士団ごとに役目を与えられている。
第一騎士団は貴族のみが入団を許されている騎士団で、これからの王国を担う貴族の子息達が社会勉強の一環として訓練や討伐に参加している。
また、第二騎士団は主に祭典などの華やかな催事の警備を担当していて、入団条件は顔。
華やかな場所には見目麗しい騎士団を、という事だ。
貴族でも平民でも顔が良ければ入団が許されている。
そして第三騎士団はファルティア王国内でも屈指の実力を誇っていて、主に魔獣や盗賊の調査・対処を任せられている。
多く存在する騎士団の中でも、特に強さが重要な騎士団である。
…第三騎士団を纏め、王国最強と謳われる男の名前は レイナード・フォン・アルバート。
貴族でありながら、最強の名を持つ団長である。
深い青色の髪を耳の横まで刈り上げ、翡翠色の瞳は長い睫毛に縁取られている。
程よく焼けた肌に、鍛錬で鍛え上げられた肉体。
整った顔や体から漂う色気は極上そのものである。
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第三騎士団に与えられた"砦"と呼ばれる建物。
その中の作戦室と呼ばれる部屋には第三騎士団各部隊の隊長達が集合していた。
「昨晩東の森に現れた神竜の調査を、我々第三騎士団が行う事になった。出発は2日後。各隊は至急準備に取り掛かってくれ!」
「「「「はい!」」」」
「僕の部隊で物資の用意をするね。」
「じゃあ俺の部隊で詳細を調べるっす!」
「了解した。東の森の魔獣は凶暴な為、調査は危険が伴う。各々武器の手入れや鍛錬を怠らないように!」
「「「「はい!!!」」」」
「では、解散!」
…こうして、神竜調査に動き出した第三騎士団。
彼らが1人と1匹に会うのはもう少し後のお話である。
アルバート君はイケメンです。