第4話 初めての魔法?
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初魔法のお話です。
今後の方針を決めるために、地面に座って考える。
この石………石碑にはもう座らない。
いや座れない。
……なんたって神の文字が刻まれてしまったから。
結局、ここは異世界だった。
だから、今まで趣味で培ってきた知識をフル活用して今後の計画を練ろうと思う。
ここから西の方角に向かって歩けば10分でミレスタという街に着くらしい。
ミレスタは王都の街の名前で、この辺りだと一番発展していると教えて貰った。
でもこの世界の文明が、どの程度発展しているのかが分からない。
……神様は「中の下」と言っていたし。
この種の小説の王道は『中世ヨーロッパ』あたりが多いけれど、それをこの世界に当てはめて良いのだろうか。
文化レベルが中世ヨーロッパだと仮定しても、街の門で間違いなく足止めを食らう気がする。
王都なら尚更、街に入れるかどうか怪しい。
―まず身分証。
ミレスタの街に誰でも入れるようなら問題ないのだけれど、門番さんがいるならまずOUT。
この世界の身分証なんて持っていない。
…よくある展開だと、取調室のような所に連れていかれて根掘り葉掘り聞かれるパターン。
―それと服装。
これも OUT of OUT。
綺麗目なオフィスカジュアルって感じだけれど、程よくレースの縫い付けられている薄い水色のストライプシャツと白い膝丈のタイトスカート。
それにパンプスや鞄も目立つ。
確実に目立つ。
多分、服の形や生地も縫い目も珍しいはずだ。
―それに髪の色や目の色。
これが一番重要で、黒髪黒目は不吉とか言われていたら確実に詰み。
…最悪の場合は魔法で色を変える。
神様達に聞いておけばよかった。
あ〜〜。
どうすればいいんだ〜。
取り敢えず街の中には入らずに、出入りしている人の服装や髪色を見てから考えよう。
即行動!!
座ってウンウン唸ってても何も始まらない!
ガバッと勢いよく立ち上がり、空を見上げる。
…………うん。
木の葉っぱで空が見えない。
鞄から携帯を取り出し時間を確認する。
時刻は午前10時を過ぎた所。
…取り敢えず、昼過ぎまで街の近くの木の上とかで人や街の様子を観察してからどうするか決める事にした。
おっと、その前に。
石碑に手を合わせて、っと。
(神様達、色々有難うございました。これからもどうか見守っていてください。)
神の石碑になったであろう石に感謝を伝えると、うっすらと石碑が光り始めて文字が変わった。
『旅路に幸あれ』
すごい!すごいよ!この石碑!
これからは何か良いことがあったらここに来て感謝しよう。
そうしよう!
…と、なると、石に祈ってるのは誰かに見られた時に頭を疑われかねない。
よし、小さい祠を作ろう。
神様が、―魔法はイメージが大事だからしっかり想像してからやれ―と言っていた。
…初魔法だけど、大丈夫だろうか。
こればっかりはやってみるしかない。
手を前に向けて、お地蔵さんが祀られている小さな祠をイメージする。
(神様っぽい感じのいい感じの祠になれ!!)
イメージしながらそう思った途端、徐々に何かが石の周りに集まって祠を形成し、弾けるように光が舞ったかと思えばいつのまにか完成していた。
小さな祠は心なしかキラキラと輝いており、風が周り木々や草花達の喜びを表すかのように通り過ぎて何故だか心地良く感じた。
よし、成功だ!
魔法が使えるって凄い楽しい!
……それにさっき、一瞬だけ手のひらから流れる虹色の粒子が見えた。
アレが所謂魔力?魔素かもしれない。
この世界での正式名称はわからないけど。
取り敢えずここの場所を覚えておいて…というか、携帯のマップに登録しておけばいいじゃん!
私がリーシェに持ち込んだ荷物は全て、神様達が使えるようにしてくれたからこの場所をアプリに登録すればまた戻ってこれる。
ありがたや〜。ありがたや〜。
携帯は魔力を使えば充電できるし、財布と愛用の鞄は無限収納鞄になった。
財布は巾着みたいな形に変わって、中に入ってたお金がこの世界の通貨に変わった。
………今まで仕事が忙しくて使う暇すらなく、貯まり続けていた貯金も無限収納に入っているらしい。
ただ、地球に戻ったときに貯金がないとまずいからこの世界での無駄な出費は控えることにする。
まあ結構な額が貯まっていたからそんなに考えなくても良いかも知れないけれど。
「……ふぅ。そろそろ行くか。」
この場所の心地よさについつい長居してしまった。
……街に向かって歩き出した美希は、まだ知らない。
祠を造った所為で『神域』と言う神以外は入ることの出来ない結界を張ってしまったことを。
…………そして、何者かが美希を視ていた事を。