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第22話 霊峰へGO!

長くなりましたので途中で区切っています。

次回は、本日中に更新いたします。



「いゃぁぁぁああああああぁ!!!!」



「グルオオォォン!グガァア!?」

『ミキ、暴れるな!落ちるぞ!?』



「むぅりいいいいぃぃ!高すぎるぅぅうう!!」



…遥か上空から、けたたましく声が響く。

 無事に騎士団の包囲網から抜け出した2人は、奇妙な会話を繰り返しながら空の旅を続けていた。


向かっている場所はヴァルの住処。

―世界の果てにある霊峰・シェレヴストーンである。



 本来ならば神竜は常に霊峰に居り、神からの啓示を人々に伝える神の使徒としての役目も持っている。


……その為神竜が姿を見せることは稀であった。


 今回、不意に神竜が現れたことで世界の人々は混乱に陥ってしまっている。

ヴァルコアトルはその混乱を取り除くために、一度住処に帰る必要があった。


 大きなドラゴン、しかも神竜となれば人々の混乱は避けられない事など百も承知していたはずのヴァルは、美希に会いたいという一心でそのことを忘れて無我夢中に世界を縦断してしまった。


なので、住処に帰る姿を人々に見せて安心させるという仕事が増えた。

……自業自得である。



「速すぎるううぅぅ!高いいぃぃいい!!」


「ゥグルルオオオォン!グガァアオォン!」

『もう少しで着くから!だから暴れんな!』


「さっきからもう少し、もう少しって言ってるけど全っ然着かないじゃん!!!」



 かなり上空を凄い速さで飛んでいる恐怖により、ドラゴンと会話していることなど美希は気にも留めていない。


ドラゴンと会話をする少女。

……側から見るとものすごく変な光景である。



 人間の声とドラゴンの声が言い争うように繰り返され始めてから幾許かの時間が経った頃、その声は霊峰・シェレヴストーンに辿り着いた。


ドラゴンは姿を人型に変え、フラフラしている少女を支えながら歩いて霊峰を案内をしていた。


「ヴァルは……ここに住んでたの…?」


「うん。」


「この広い場所は……?」


「え?ここは俺の寝る場所だよ。」


「…寝る場所。」


「んで、あそこに見えるのが宝物庫。」


「……宝物庫。」


「そう。で、一番下にあるのが供え物の山。」


「………供え物の山。」


「ミキ、大丈夫か?フラフラしてるし言葉もなんか変だぞ?」


「ダ、ダイジョウブ!…ベリーベリーグッド!」


「……やっぱり変だ。王都に行くのはやめといて今日はゆっくり休んだほうがいい。」


「ちょっと待って!元気だから!変じゃ無いから行こう?絶対行こう?…普通だから!ね?ね?」


「いや、顔も赤いし体温も上がってる。……無理しないで休んだほうがいいぞ?」


「いや…それ…は…。」


「ほら、顔の赤さも尋常じゃないし体温も上がり続けてるみたいだよ?休もう?…………………一緒に。」


「今……最後なんて言った?小さい声だったけどちゃんと聞こえたよ?……もしかしてそれが狙いか!!!この体勢もそれが狙いだったのか!!?」


「…………………………。」


「悲しい顔しても無駄だからね!」


「……チッ」



―そう。

 ヴァルは住処に着いてからずーーーっと美希の腰に左手を回し、自分の方に引き寄せて抱きしめながら歩いていたのである。


さらに右手は、美希の手を握ったり頬に触れたりなど触れている箇所を変えながらも常に何処かしらに触れていたのである。


………密着も密着であった。



 ヴァルは、"イケメン抱き枕"で得られる安心感と体温に味を占めていた。

そして今までの孤独と退屈は美希に会うためのものだったとも思っている。


4000年以上感じていたつまらない感情は無く、楽しい感情しか起こることのない今に満足している。


それは全て美希に会えたからこそであり、女神と敬うくらいに全幅の信頼をしている。


……つまり美希に対する遠慮など皆無である。



「ヴァル、少し離れて。」


「…………。」


「ヴァル。」


「………わかった。」



「今後は控えてね?」


「…………。」


「ヴァル?」


「…………ヤダ。」


「そんな拗ねないでよ。…………とりあえず王都へ乗り込む計画を立てよっか!」



こうして美希は、拗ねたヴァルを(たしな)めながら王都に入る計画を立てた。


尚、ヴァルの機嫌は「添い寝」の一言で直った模様。



なんやかんやありながらも無事に計画が立て終わった2人は王都に向かって出発し、美希は2度目の空の旅を楽しむ(?)のであった。




―――――――――――――――――――――


【第三騎士団・砦内】


 砦内の一室、作戦室と呼ばれる場所には騎士団の各部隊長達が集まり会議が行われていた。


神竜調査が終了し帰ってきてすぐに開かれた会議の所為なのか、一同疲労を隠さずに渋い表情をしていた。



「女性捜索班は足跡のみ……か。」


「団長さんヨォ。その悲鳴を上げた女性が、神竜と一緒にいた女性?と同じかもしれねぇぞ?オレは間違いなくそうだと思うけどなぁ。」


「そうっすよね!俺もそうだと思うっすよ!」


「だよなぁ!ニコラス!……にしても団長の班の奴が見た"旅人っぽい衣装の二人組"だっけかぁ?どう報告するつもりなんだ。」


「それについて話し合う為に集まって貰った。」




悩みに悩んでヴァルの性格を変態紳士にすると決めました。


変態です。ええ、紛れもなく。


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