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第19話 変装

ブックマーク感謝です!


ついに街に向かって動き出します。



 王国騎士団が森の調査をしていることなど知らない美希とヴァルは、ベットで悶絶という恒例行事を終えて朝食を食べながら今日の予定を話し合っていた。



「この近くにミレスタっていう街があるらしいんだけど……ヴァルはどんな街か知ってる?」


「ん〜?ミレスタは確か王都だったと思うよ。」


「王都!?…そういえばお爺ちゃん達がそう言ってた気がする。ってことは結構警備とか厳しい?今日こそは行きたいと思ってたんだけど。」


「厳しいと思う。なにせ王様が暮らしてる城がある街だからな。…街に入るのも難しいぞ?」


「そうだよね〜。……どうしよう、今後の目処が全く立たない!どうにかして街に入れないかな?」


「そんなに街に入りたいの?…俺、この森に住んでもいいかもとか思ってたんだけど。」


「いやいや!…それあれでしょ?勝手にこの森自分の土地にするってことでしょ?」


「ありえない、みたいな顔するなって。……でも街にいくなら、というか人前に出るならミキの髪色は目立つぞ。」


「……………やっぱり黒髪は不吉の象徴とかなの?」


「……どんな想像してんのか分からないけど、黒髪は神の色って呼ばれてるの。全然不吉じゃないし、むしろ幸運だと思うぞ?」


「え、神の色!?なんで?…だって黒だよ?」


「…黒だからこそ、だな。」



―世界『リーシェ』において黒色は、神の色と言われている。


 髪や目の色はその人の得意な魔法を示すことが多く、火魔法が得意なら赤色、水魔法が得意なら青色というように髪や目に特徴が現れる。


また、色の濃さはその人の持つ魔力量を表していると考えられている。


魔法の種類、魔力量、遺伝などが合わさって髪や目の色を形成していると考えられており、それらの研究が大々的に進められている。


 髪は茶色で、目は緑色というように単色で特徴が現れる場合が多いが、混色で特徴が現れる者もいる。


火魔法と水魔法が得意なら紫色。

土魔法と雷魔法が得意なら茶色に金色のアッシュ。


……と言った具合だ。




では、黒色はどうなのだろうか。


魔法を色に置き換えて考える。

そして全ての色を混ぜ合わせるとどうなるのか。


………黒色になる。


つまり、全魔法を使えると言われているのである。


全ての魔法が使えるということはそれすなわち、神であると考えられているのである。



「へ〜!だから黒が神の色なんだ。」


「そういうこと。……さて、ここでミキに問題です。黒髪黒目のミキと黒髪の俺が街に行ったら…はたしてどうなるでしょうか?」


「黒髪と黒目が2人も現れたら…………やばいね。」


「…うん。神と崇められるか珍しさ故に捕まるか。……まあ面倒くさいことになるのは間違いないだろうね。」


「じゃあどうすればいいの〜!異世界の町並み見てみたいのに!観光したいのに!美味しいもの食べたいのに!……魔法でどうにかならないの!?」


「髪や目の色を変える魔法は使っちゃいけない。というか使えないようになってるから無理だな。」


「そうなの?う〜ん。………ならカラコンとウィッグで変装するとかはどうかな?」


「…からこん?うぃっぐ?…なんだそれは?」



「ふっふっふっ。やってみてのお楽しみだよ!」



〜5分後〜


「……どうなってるんだ?魔法じゃないのか?」


「ふっふっふ。これが日本の技術だ!凄まじいだろ!畏れおののけ崇めたまえ全人類よ!」


「…ミキ?キャラ変わってるぞ。」


「……………次はヴァルの番ね。」


「え?俺もやるの!?それを目に入れるの!?…うわっ、ちょっと待てミキ、……ちょ、一回まて!」


「当たり前でしょ?……世間も常識も知らない人間が1人で異世界の街に行くなんてレベル高すぎるからね?…バッチリ変装してもらうよ!!!!」



「やめろっ!…おいっ!……うわあああああああ!」




〜20分後〜


「……つか…れ…た。」


「完璧だよヴァル!しかも初カラコンを15分でつけれるってすごいよ?…私が初めてカラコンつけた時は2時間かかったからね!」


「……それ褒めてるのか?…でも、本当に違う人間になったみたいだ。」


「コスプレ用ウィッグを侮っちゃいけないよ。……あ、魔法でウィッグ外れないように固定しておいてね。なんかの拍子に外れたら困っちゃうから。」


「わかった。まあこれで街に入れるな………と言いたいところなんだが……。」


「なに?まだなにかあるの!?」


「………服装だ。」



「……OH…」




〜1時間後〜


 東の森最奥地の草原には、2人の旅人の姿があった。


…薄い水色の長い髪に茶色の瞳を持ったその姿は女性と思われ、旅人感のある少し汚れたローブを着て草原を走り回っている。


そして長い金髪をゆるく纏めている茶色の瞳を持ったもう1人の姿は男性と思われ、女性と同じく薄汚れたローブを着ている。


尚、その顔は整っているようだ。



「ミキ。…ちょっと走りすぎじゃないか?」


「いやそんなことないよ?…ウィッグが風で飛ばないかどうか確かめてるの!」


「…まあいいけど。俺とミキは兄妹で旅をしている旅人って設定だよな?」


「そうだよ!お兄ちゃん!」


「おにい…ちゃん……?」


「あ〜!…もしかしてヴァル、照れてるの!?」


「照れてないわ!ほら早く行くぞミキ。……ミキ?」



 草原を楽しそうに走ら回っていた美希が突然、胸を押さえて地面にしゃがみ込んだ。

驚いたヴァルは照れていた顔を瞬時に変えて、美希の背中をさすった。


「どうした?」


「…ごめん。っなんか、変な感覚があって。」


「……変な感覚?」


「そう。いきなり体がカーッと熱くなって、今は体を思いっ切り叩かれてるような感覚がある…。」


「……叩かれる?」


「なんだそれ。いや待て、もしかすると……。」



「……もしかしてヴァル、何か分かった?すっごい変な顔してるよ?」


「変な顔は余計だよ。………それは多分ミキが造った神域に、誰かが接触したんだと思う。」






「………誰かが、接触?」



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