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第16話 調査開始!

騎士団員紹介がちょくちょく入ります。




 まだ太陽が起きて間もない頃、東の森にはザクザクと、大勢の足音が響いていた。


―第三騎士団である。


 朝早くから神竜調査を開始した彼らは揃いの紋章の入った装備を付け、手には各々が愛用している武器を持っている。


今回の神竜調査は、各部隊から約10人ずつ参加していて総数は約80人である。


…これは、今後も定期的に調査に入ることに加え、大人数で行って神竜を怒らせてしまわないように配慮した人数である。


さらに、『結界・建造物調査班』『女性捜索班』『魔獣調査班』『爆発地調査班』の4分隊20人ずつに分かれて行動をしている。



「右前方から6体、接近!!」


「迎撃準備!!」


「「「はい!」」」


森の至る所から激しい戦闘音が聞こえる。



―――――――――――――――――――――


【爆発地調査班】



「森の中域まで強い魔獣が逃げてきているのは確かなようだな。」


「……真正面……狼系………7匹。」


「っ了解!!!」



 今、彼らがいるのは東の森中域であり、ここは神竜(美希)から逃げ出した本来最奥地にいるはずの強い魔獣が跋扈している危険地帯である。


「おいおいおいっ!血濡れ狼(ブラッドウルフ)がいるなんて聞いてねぇぜ!?まだ中域だよなぁここ!?」


「バートンさん!あぶない!!!」


「っと!悪りぃな!」


"バートン"

 近衛部隊長を20年以上務めているベテラン。

その体格は熊のように大きく、見た者を縮み上がらせるほどの迫力と威圧感がある。

語尾を伸ばす癖があるが、とても気前の良い男。



グシャッと生々しい音が響いた。


「まずは1匹ぃ!にしても、このままのペースで強い魔獣が現れたら体力持っていかれちまうなぁ。」


「こっちも1匹倒し終わりました!」


「……………『風刃』。」



ブワッと突風が森の中を駆け抜けて、5匹の魔獣の体を切り刻み肉片へと変えた。


「ティムは相変わらずえげつないなぁ。」


「流石です!ティムさん!」


"ティメオ・カルカロフ"

 魔法部隊、副隊長の青年。

言葉数が少なく、顔は前髪とフードで常に隠れているため彼の素顔を知っている者は少ない。

小柄な体格と、どこか抜けている天然な性格である故に皆に愛されている。

愛称はティム。



「でもティムちゃーん?ちょいと倒しすぎじゃあねぇのか?活躍の場を他の団員に譲ってやったらどうだ?」


「……ちゃん付けはやめろ……早く先進むぞ。」



次々に襲ってくる強い魔獣を、彼らはいとも簡単に捻り潰して切り刻みながら倒していった。


流石は王国最強の騎士団、といった所だろう。


順調に進んでいき、昼頃には爆発地と思われる東の森最奥地付近まで到達していた。



「ここら辺、ちぃと様子がおかしくねぇか?」


「魔獣が全然出て来ませんね。それに少しだけ気温が上がったような気がします。」


「神竜が……近いかもしれない。」



大正解である。


 爆発地の場所はヴァル達がいた草原にほど近い場所のため、ここら一体の魔獣は美希の叫び声をもろに聞いてしまっている。


さらに、美希の放った創造魔法の熱で周囲の気温が急激に上昇してしまい、叫び声を聞いても逃げ出さなかった強い魔獣ですら逃げ出したのである。


…爆発から約半日経っているので生物が活動できるくらいまで温度が下がりつつあるのだが、魔獣は戻って来ていない。


「あっちぃな!汗とまんねぇよ!なんでこんなに暑いんだよ!」


「……バートン…………見えたよ。」


「見えたって。ああ、どの方向だ?」


「……もうすぐ…………そこ。」



ティムが指差した方向に向かって、20人の分隊が進んで行く。




――そして絶句した。


 彼らの目の前に広がるのは開けた土地。

綺麗な円を描くように森が無くなっていて、その地面は中心部から擂鉢状に抉れていた。


そこにあったであろう木々は灰になってしまったのか存在しておらず、周囲の木々は爆発による衝撃波の所為で無残な姿になっていた。


 村や町が作れそうなほどの広い土地とその周囲は、まるで蒸風呂(サウナ)のような暑さであった。



「おい!!一旦ここから離れて水分補給をしろ!!脱水でぶっ倒れるぞ!!」


「…もう……だめ…ふらふらする……。」


「こんな熱いのにフード被ってるからだろうが!」


彼らは汗を垂れ流しふらつく足取りで爆発地から移動をして、通常の気温の場所で休憩を始めた。



「丁度昼の時間だから交代で昼食をとるように!それとしっかり水分補給をしろ!」


「「「「はい!!!」」」」


「昼食後は、5人ずつに分かれて調査を開始するからしっかり食べてしっかり休め!以上、解散!」



 各々散らばって昼食を摂ったり周囲を警戒しに行くなか、バートンの所にティムが駆け寄って来た。


「…ねえバートン……報告はどうするの…?」


「この暑さじゃ細かい調査は厳しいしなぁ。取り敢えずあの気温がどうにかなってから再調査ってところだろ。」


「…そっか。………頑張ろうね。」


「ん?おお、そうだな!飯食って頑張るか!」




―爆発地調査班はこのあと、ぶっ倒れては魔法で回復しまたぶっ倒れるを繰り返しながら無事に調査を終えたのだった。



騎士団のお話が続きます。


実は、ティムくんはなんと........!

っていうお話も今後書いていきます。


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