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第15話 1日の終わり

PV・ブックマークありがとうございます!

とても嬉しいです!



―第三騎士団・作戦室―



「ニ刻程前に、東の森にて大規模な爆発と思われる音と振動を確認致しました。」


「…ここにいても爆音が聞こえて来たからな………。はぁ…それで?被害状況はどうなってる。」


 アルバートはこめかみを押さえて溜息をついた。

神竜が現れてからまだ一日も経っていないのに、森の異変や爆発音などの報告が後を絶たず、碌に休憩が取れていないのである。


「未だ報告は上がって来ていません。」


「了解。朝の鐘が鳴ると同時に神竜調査を開始する。準備が終了した部隊は明日に備えてしっかり睡眠を取ってくれ。…以上だ、解散。」


「「「「はい!!」」」」



 最終作戦会議が終わり、部隊長達が退出していく中団長のアルバートと副団長レイモンド、そして近衛部隊長バートンが作戦室に残った。


「…そんで?どうするんだ団長さんよぉ?いるかもしれねぇ女性を救助したとして、そいつが帝国から逃げて来たんならどうすることもできねぇぞ。」


「私もバートンと同じ意見ですよ。…その女性が帝国の人間ならば下手すると国際問題に発展する可能性が十二分にあります。」


「ファルティアが帝国の人間を誘拐しやがった…なんて騒がれた日にゃ最悪戦争が始まってもおかしくねぇなぁ。」


「それは重々承知している。……だが女性を見捨てると言う選択肢は無いだろ?」


「まぁ確かに。夢見は最悪だろうなぁ。」


「それに、もし帝国から逃げて来たのならば山を越える必要がある。そこから()()東の森を通るなんて…女性には辛いはずだ。」


「隣国とはいえ距離はかなりありますからね………。分かりました。国際問題になった場合は私が対応致します。」


「何を言っているんだレイモンド!それは俺の役割だ。お前が対応する必要は無い!」


アルバートは椅子を倒しながら立ち上がりレイモンドを睨みつけた。


「っなんでいつも背負おうとするんだお前は!それにそういうのは団長の俺の役目だろ!あ??」


「まぁまぁちょっと落ち着けよ団長さん。そうなったらなったでまた考えればいいじゃねぇか。取り敢えず今は体を休めることに集中しようぜ?な?」


「……すまない…明日はよろしく頼む。」


「おう。」「ああ、任せろ。」



―――――――――――――――――――――



一方その頃―


美希とヴァルは、何やら真剣に話し合っていた。



「こればっかりは譲れないからヴァルが諦めて。」


「いや、諦める気は無い。絶対に嫌だ。」


「あーもう!私の方が嫌だよ!」


「いいじゃん。1回も3回も変わんないじゃん。」


「変わるわ!恥ずかしさが段違いだわ!!」


「そんな変わらないよ。恥ずかしがるなって。」


「ヴァルは変わらなくても、私はめちゃくちゃ変わるの!恥ずかしいの!だから諦めて!!」


「…じゃあ俺にどこで寝ろと?もう2回もミキに抱かれたんだよ?…………まさか地面で寝ろなんてそんな酷いこと言わないよね?」


「〜〜〜〜〜〜っ!」



そう。寝る場所の話し合いである。


 創造魔法をぶちかまして森を広範囲に渡って消し飛ばした後、草原に帰る間も着いてからも2人の間に言葉が交わされることはなかった。

…つまり無言である。

お互い言葉を発しようとしなかった。


精神的に疲れていた美希はご飯も食べずに、収納鞄からベッドを出して横になった。


…沈黙が破られたのはそのすぐ後だった。


ヴァルの住処は遠く離れた山の上にあり、また大きなドラゴンの姿であったため寝床などは存在していなかった。


そして、美希のそばに居たいという気持ちから元の姿には戻らず人間の姿のままであったヴァルはあろうことか、美希のベッドに入り寝始めてしまった。


…つまり話し合いの火蓋が切られたのである。



「俺はミキに抱かれて嬉しかったのに………。ミキの感触が忘れられないのに………。お互いの体温を感じあった仲なのに………。1人寂しく寝るなんてもう考えられないのに………!」


「言い方が一々(いちいち)変態すぎるわっ!抱き枕にしちゃったのは謝るけど、もうちょっと他の言い方考えて!語弊にも程があるわっっ!!!!」


「俺、ミキと一緒に寝ると安心するんだ………。今までずっと1人で孤独だったからさ………。」


ヴァルは顔に悲しく辛そうな表情を浮かべた。


「だから……。一緒のベッドじゃダメ………?」


「〜〜っ!………分かったよ!でもベッドの真ん中に境界線引くからね!その線超えたら一緒に寝ないからね!!?」


「ぷっはははっ!チョロいなぁ。……じゃあ俺ベッドの左半分貰うから線引きよろしく〜!」


「っ!演技か!さっきの悲しい顔は演技なのかっ!」


「ごめんって。ふふ。ちょっとからかいたくなったんだよ。…………でもミキが寂しくなったら俺を抱いて寝てもいいからね?」


ニヤリ、と口の端を上げたヴァルは、ベッドの左側に移動した。

余程疲れていたのだろう。

布団に入ってすぐにすうすうと寝息を立て始めた。




「っ誰が抱くかこの変態野郎おおおおおお!」


 ヤケになった美希はベットの真ん中に境界線を引き、布団に潜り込んだ。

イケメンと一緒のベッドで寝るという羞恥が過ぎる状況だったが、精神的な疲労のせいなのかすぐに眠りに落ちていった。


こうして、美希の異世界2日目が終わった。






……その後、3度目の"イケメン抱き枕"をしてしまった羞恥に悶えたのは言うまでもない。



ひとまずの一区切りです。


次話は解説になります。


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