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第14話 創造魔法の威力

不快な表現の箇所があります。

ご注意ください。



「次は土魔法。これは良く建築魔法として使われることが多いから簡単だと思う。」


「土魔法が建築魔法なの?」


「そう。家の基礎を固めたり、足場に使ったり出来るから結構便利な魔法なんだ。」


「へ〜!!」


「それと、こんな使い方もある。」


 ヴァルがそう言い終わった途端地面の土がボコボコと盛り上がり始め、2mほどの大きな人型になった。



「これは……もしかしてゴーレム!?」


「うん。建築資材なんかを運ぶのに使われてるから、運搬用ゴーレムって言われている。重いものを動かしたい時にも使われてるね。」


「凄い便利!」


「今回は無詠唱でやってみよっか。…大丈夫、魔法をどんな風に使いたいか考えながら魔力を動かせばちゃんと発現するから。」


(……土魔法で何をしたいか、か。うーん。あれかな。よし、あれにしよう。)


 美希は後ろに一歩下がり念じた。

するとさっきまでいた場所の土が徐々に盛り上がり、大きな土の壁が現れた。


「えっと……これはなんなんだ?手と足があるし、顔もあるようだけど……。」


「これも、私の世界の物語に出てくる"ぬりかべ"って言う妖怪………幽霊?かな。」


「……幽霊?何故、手足が生えてるんだ?」


「うーん。動く盾のようなもので、攻撃とかされたらぬりかべが守ってくれる………みたいな。」


「さっきといい今回といい、ミキの世界には面白そうな物語が沢山あるってのは分かった。……まあとにかく、どんどん練習していこうか!」





――魔法の練習を始めて、約2時間が経った。


 水魔法と土魔法、さらに風魔法や雷魔法、移動魔法に生活魔法などの練習を繰り返し、複合魔法という少し難しい魔法も練習した。



ただ一つ、疑問があった。


「ねえヴァル。…火魔法って無いの?」


そう。今まで練習した魔法の中に、火に関する魔法は無かったのである。


(ファイアーボールとか、小説によく出てくるやつ使ってみたいんだけどな。)


「え、あるよ?…ただ、ここは森の中だから火魔法はさすがにやんないほうがいいかなって。森林火災とか怖いからね。……え、なに火魔法使いたいの?」


「いや、使ってみたいな〜なんて思ってたけど。」



 この2時間の間に異様な程親睦が深まり、2人の口調は砕けに砕けまくっていた。


 まるで友達のような、それよりも長年一緒にいる幼馴染のような、さらには家族かのように2人の間にあった壁が消えたのである。


美希が人の懐に入るのが異様に上手いからなのか。


それとも、今まで1人ぼっちだったヴァルが人と接する時の距離が異様に近いからなのか。


………もしくはその両方なのか。


 ともかく、出会って一日も経っていない2人の距離が驚くほど近くなったのである。



「ん〜。火魔法使いたいなら移動した方が良いな。」


「森林火災起きちゃったら危ないし移動しようか。」


「うん……。ここの森は俺のじゃないから、燃えたりしたら流石に良心が痛むわ。」


「え、ヴァルって地主だったの?」


「いや、住んでる場所とその近くを勝手に俺の土地にしただけだよ。」


「……そ、そうなんだ。まあ、とりあえずこのへんで火魔法使えそうな場所知ってる?」


「確かここまで飛んできた時に良さそうな場所は何箇所かあった気がする。一番近いとこで良いか?」


「うん!そこで!案内お願い!」




―――――――――――――――――――――




「………ここなら火魔法を使っていい。」


「ヴァル……。どう考えても森だよね、ここ。っていうか森林火災がどうとか言ってなかったっけ?」



 ヴァルが美希を連れて来た場所は、先程の場所よりも鬱蒼とした森の奥であった。

木々が雑然としており、陽の光が一切届かないほど暗くジメジメとしていて、空気は淀んでいるのか鬱屈になるほどだった。


「……こういう場所は無くなった方がいいんだよ。」


暗くなった森の中でその表情は見えないが、何かを堪えるような暗く低い辛そうな声だった。


「………どういうこと?」


「ここは他の所より空気が悪いし重いだろ?…こういう場所で魔獣が生まれる。それにここは人の入った気配がないから危険な魔獣が生まれる可能性が高い。」


「…確かに、ここは息がしにくい気がするけど。」


「ここは長い間ずっとこんな状態だったんだろうな。……魔素が集まり過ぎてる。」


「魔素が集まった場所で魔獣が生まれるの?」


「そういうこと。それにこの場所は魔素の流れがおかしいから、俺らがここを見つけずに放置してたら強い魔獣が生まれちまうとこだった。」


「ここで火魔法を使ったら…どうなるの?」


「魔力に反応する魔素が他の所より多いから、魔法が使いやすいと思うぞ?……強めの火魔法を使え。」


「……強めの火魔法?」


「そう。結構広範囲で魔素が集まってるから、このままだと確実に魔獣暴走(スタンピード)が起こる。この範囲を無くそうと思ったら強めでやるしか無い。」


(強めの火魔法か…。ファイアーボールとか打ってみたいと思っていたけれど威力がない。大きな火の玉を打つ?…火の玉?広範囲を消す…となると…………核は……どうだろう?いやでも……。それしか思い浮かばない……。)


「……分かった。」





 美希は、これから使用する魔法によって起きるであろう現象をヴァルに説明してから陽の光が届いている場所まで移動した。


そして、練習した移動魔法を使い空に飛び上がった。



 目の前に広がるのは森。

その中でも一際、緑の密集している場所がある。

飛んでいる美希とヴァルはその場所の中心付近まで移動し、さらに上空へと飛んだ。


「ミキ、大丈夫か?顔色が悪くなってる。」


「…うん、大丈夫だよ。」


(緊張する。でも人はいないから大丈夫。…それに、この世界には多分核はない。似た現象が起こるだけだ。……大丈夫。)



「………いくよ。」


 美希は、()()の中心と思われる場所に手のひらを向けて念じた。

すると美希の手から、直径10cmほどの物体が発現して物凄い速さで落下した。


その瞬間。





…………………森が消えた。





 鬱蒼としていたはずの森は跡形も無く消し飛び、物体が落ちた場所を中心に円を描くように更地と化した。

近く木は燃えずに溶け、地面は大きく抉れていて土が剥き出しの状態だった。



「………マジか。」


 上空でそう呟いた美希は驚き過ぎて唖然としており、ヴァルはあまりの爆音とその威力に絶句していた。



…この世界に核爆弾も放射能も存在していない。


()()()()()()それは、美希の持つ創造魔法を使用したことにより起きた現象であった。



「……なあミキ。」



「……なに?」



「今の魔法、今後一切禁止な。」



「……言われなくてももう使わないよ。」




 こうして、火魔法の練習をしに来たことをすっかり忘れた2人は無言で空を飛び、草原へと帰るのであった。




今回お話に出てきた魔法のモデルは『W-54型』を改造した砲弾型中性子爆弾です。


執筆しながら恐怖に震えました。

不快になってしまった方が居ましたら申し訳ありません。

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