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第11話 東の森の異変

長くなってしまったので途中で区切ってあります。


日が昇り、生き物達が行動を始めた頃。



――東の森に少女の叫び声が響き渡った。


 小動物は怯えて隠れ、魔獣は驚きのあまりに雄叫びを上げながら走り出し、鳥は逃げるように飛び立った。狩をしていた冒険者は森の異変に気付き街に戻った。

……そして、少女の隣で何かを必死に耐えていた男性はあまりの声量に驚き、思わず少女の口を手で塞いだ。


「…むぐっ!んん〜!?!……んーーーー!」


 起きて開口一番に叫んだ少女は、口が塞がれて上手く呼吸が出来ないのか涙目になりながら何かを必死に訴えている。


(涙目になってる女神も可愛い。)


…とかなんとか思っている神竜は一先ず置いておいて、ともかくこれが2人の"ちゃんとした"初めての会話である。


「っぷはーっ!……あ、あの、なんでいるんですか?というかどなた様ですか?!?!」


 混乱している少女は、恥ずかしいのか布団に潜り込み顔だけ出して男性を見上げた。


(昨日のあれは夢じゃなかったの?!………というか私イケメンを抱き枕にして寝てたんだけど?!)




「おはよう、女神。…ふふっ昨日はすまなかった。

それと私の名前は神竜ヴァルコアトル。ヴァルとでも呼んでくれたら嬉しい。」


「え、えっ?ゔぁる…こ…あ?……神竜?」


「ヴァルコアトルだよ、可愛い女神。」



(神竜って神の竜ってことか?なんかお爺ちゃん神様達と同じ匂いがして落ち着く気がする。というか…)


「ゔ、ヴァルさんは、…昨日も思ったのですがなんで私をその……女神と呼ぶんですか?」


「……ん?少女は、女神ではないのか?」


(んん?どういうこと?私は人間……あ、そういえば種族が神(?)になったんだっけ。)


「いやその…何故か種族は神?ですが人間です。」


 落ち着きを取り戻した少女は、布団から抜け出しベッドの上で正座をして姿勢を正した。



「私の名前は女神じゃなくて黒澤 美希と言います。それでヴァルさんは何故ここに?」


「ミキ、ね。うーん?何故、と問われると少し困るのだけど強いて言えばミキの神力に惹かれて来た。」


「…………神力?」



(折角のイケメンとの会話だから落ち着いて()()()()()してたんだけど、ちょっと混乱してきた。)


「ミキが石を何かで囲った時に神力を感じた。それに神域を作り出していただろう?」


「石を囲った………?」


( あ!(ほこら)を造った時に見えた虹色の粒子は魔力じゃなくて神力だったのか!!!!)


「えっと、あの、神域って何なんですか?」


「うん?端的に言えば神の領域で、神様か、その同格の存在しか入ることが出来ない結界って所だね。」


(全く見に覚えが無い。いつの間に作ってたんだ私。まあいっか。…それと。一つだけヴァルさんに聞きたいことがある。)



「あ、あの。…なんで昨日私にその、き、キスしたんですか……?」



「……ミキが凄く可愛かったから、かな。」


 ヴァルコアトルはそう言いながら(おもむろ)に、先程ミキの口を塞いでいた手にキスを落として微笑んだ。



「!!!」




(え、間接キス!?間接でもないかも?………あ、やばい。…恥ずかしさで意識が…飛…ぶ…。)


 人生で二度目の意識喪失が起こり、顔が真っ赤に染まった美希はベッドに倒れ込むことになった。


…美希は沈みかけている意識の中で思った。


 お爺ちゃん神様達みたいに柔らかくて優しい雰囲気だった。でも微笑みの破壊力は、半端ない。と。





そして……………キス魔の変態かもしれない、と。





 その後お昼まで寝てしまった美希の隣には、何かを耐えるように真っ赤になって固まっているヴァルコアトルがおり、二度も抱き枕代わりにしてしまった事実に気付いて叫び声上げた。



東の森は、本日2回目の異変を起こすのだった。



―――――――――――――――――――――



【第三騎士団・砦内】


 砦内にある作戦室では、第三騎士団長と各部隊長達が神竜調査に向けて会議を行っていた。


遠征物資の手配や訓練の報告、調査に参加する人数や班分けなどの詳細を話し合っていた時、廊下からの慌ただしい足音が聞こえノックが部屋に響いた。



「っ緊急報告があります!」


「入れ。ああレイモンドか。何があった?」


 "レイモンド・オーウェン"

 王国第三騎士団・副団長であり、常に冷静で表情があまり変わらないため『氷の副団長』という二つ名を持つ男である。

だが、その表情は今、焦りの色に染まっている。



「っ東の森にて異常が確認されました。」


「レイ副団長?なんでそんなに焦ってんすか……あ、その異常ってやつがそれほどヤバイってことすか?」


「確かにここまでレイモンドが慌てているのは珍しいが、ニコラスはもう少し言葉遣いを正せ。」


「え〜っ…これ以上は無理っすよ。ホントに。」


 "ニコラス"

 隠密部隊長でありながら、この中では最年少。

チャラさは騎士団随一であるが、仕事は真面目に取り組んでおり仲間内での評価は高い。



「それでレイモンド。その異常とはなんだ?」


「はい……。まず一つ目ですが、東の森最奥地にて謎の建造物と結界を確認致しました。その結界の中心部に建造物があるようですが、詳細は不明です。」


「建造物と結界か……。これまで最奥地に建造物が確認されたことは無いが今の状況で確認されたとなると……神竜と何かしらの関連性があると見て間違いないだろうな。」


「ええ、間違いないと思われます。」



冷静に興奮する、という高難易度テクニックを使用しました。


騎士団員紹介が、少しずつ増えます。

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