表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第一章
9/123

魔法理論、討論会2



……数日後。



オーラル達選抜メンバー4人は、



北西の港街ドマーニにいた。初夏の日射しに焼かれた。海風独特の錆びたような香りが、慣れない者には、異臭を感じるが、中には懐かしい気持ちにさせた。



港町ドマーニは、交易の中継地として発展した町であり、大通りには、沢山の商会が軒を並べている。


港には、多くの船が無数にならび、各国を示す商船の上で旗がはためき、色とりどりに目を楽しませていた。この町には近衛連隊の本拠地がある。



アレイク聖王国の貴族院の息が、まだ根強いが、新しく新任した連隊長の手により。大改革がされ、名を上げていた、



可の人物。ブレア家は、この街の領

主も兼任していた。


━━4人は、これから海路で、5ヵ国の一つ。ギル・ジーダ王国に向かうことになっていた。



ドマーニから海路で、早ければ7日程度、風にもよるが10日程の船旅になる。先生方の話によると明日の早朝出港の商船に乗せてもらえることになっていて、今日は宿に泊まることになった。引率者として、バレンタイン教頭が同行しているのは、先日の事があった為の処置であろうと。オーラルは考えていた。宮廷魔導師の次席である実力者である。バレンタイン教頭がいることで、表立って黒衣やエトワール家の妨害は、出来まいとの考えもある。他国で事があれば、詳しく調べられる恐れがあるから。安全だとバレンタインは請け負ってくれた。


━━7日の海上の旅は、オーラルの不安を他所に。何事もなく。無事ギル・ジーダ王国に着いた。



━━ギル・ジーダ王国とは。香辛料の生産と交易が有名である。外食で食べる料理の香草や辛みのあるスパイスは、ほぼギル・ジーダ産であった。


晩餐会では、チャイと呼ばれる。甘いお茶に、ケイタは目を白黒させて、スパイスの効いた料理に、汗を流した。



各国の学生は、自分たちの部屋に戻るが、オーラルは1人。訓練所に案内を頼むと、使用人に怪訝な顔された。



オーラル達の泊まる。宿の別館から、さほど離れてない広場に。兵士の訓練所があって。他国の学生が来るのがよっぽど珍しいのか、奇異な視線を感じた。近くにいた兵に聞いて、訓練用の武具を借り受けた。まず準備運動をこなしてから、体術、剣、槍、を一通り形をこなしてたら、いつの間にやら、見物の兵や使用人が増えていた。兵の1人に、アレイ学園の生徒のことを聞かれたので、自分が文武両道の『特待生』だと答えた。しきりに感心されたが、理解出来ずに首を傾げた。



翌日━━。


4人は、離宮に案内される。



数年前まで、前国王の住まいだったらしい離宮は、白亜の美しい建物で、広々とした風を上手く引き込めるよう。考えられた。小さな城と言うよりは、大きな屋敷である。



魔法討論会・本選は、3日間で行われる。

初日に魔法理論のレポート提出で、それぞれ個人の研鑽した魔法や。理論を書いた物を、各国の宮廷魔導師達が一堂に介して場により、厳正なる審査をする。



━━翌日には、自分達が作った魔法の実演になる。採点は各王宮魔導師5人による。10点減点方式である。各国の学生達は、チームとして扱い。上位3人による。総合点による順位が決められるのだが、様々な利権が絡むため。毎年混迷すると聞いていた。この数年。アレイ学園は。総合優勝から離れて久しい、やや魔法では、他国に遅れを取る印象は拭えない。



━━集まった学生達は、早速レポートを提出した。結果を待つ間。豪奢な部屋で待たされる。


「やあ~君が、噂の『オールラウンダー』候補かい?」


鼻に掛かる甘い声。金に近い。茶髪の細身の男子生徒が、オーラルに声を掛けてきた……、



訝しげに眉をひそめ。首を傾げた。


「俺は、そんな大層な人間ではないよ」


一見。希薄に見える笑みを浮かべるが、嫌みにならない、育ちの良さが、少年から滲んでいた。それより気になったのがギル・ジーダ王国の人間が好む、サムエと呼ばれる。肩から片方だけ腕を通す服装であること。


「そうなのかい?、訓練所で、色々な武器の訓練をしてたと聞いたのでね。てっきりそうかと思ったよ。俺はギル・エバーソン、一応王家の人間だ」


ザワリ……、驚く他学園の生徒を他所に。ケイタ以外の3人。オーラル、ピアンザ、シルビアはまるで気にもしない様子である。エバーソンはほんのり笑みを深めた。


「気に入った!、お前名前は?」


急にフレンドリーになったエバーソンに戸惑いながら。出された握手に答えた。


「オーラル・ハウチューデン、ただの苦学生だ」


飄々と事実など述べるオーラルに、プッと噴き出して、愉しげに笑いながら、


「けっケイタ・イナバです」


「ほう……君が、魔王の……」


「ピアンザだ」


「君も西の出かな?」


「カレン・ダレス=シルビア、シルビアでいいわ」


「ほう…ダレス家の」


四人をそれぞれ面白そうに見ていたら、コホン咳払いした女の子がいて……、


「若、皆様をあまりじろじろ見ないでください。仮にも王族なんですから。迷惑はかけぬように」


美しい顔立ちの女の子が、マナジリを上げ釘を刺しながらも。少しオーラル達をチラチラ伺う顔をしていた。自分も話の輪に入りたかったのか、ニッコリオーラルが笑うと、安堵しながらこちらに歩く様は、洗練された舞のように素早い。


「サミュか……、まあ~良いだろ。採点は時間掛かる。どうせ暇なんだからな」


「しかし若……」


拗ねたように、けっしてサムエの袖を離さない。チラチラオーラル達を見る目は、期待に満ちていた。なるほどと笑みを深めた。


「良かったらエバーソン、サミュさんとも話せないかな?」


ぼくとつと不機嫌そうに見える。ピアンザが、存外に優しい気遣いの手を伸ばした。リジルは眼を丸くして、驚きながらも、ニッコリ微笑み。


「ぜひぜひ!」


嬉しそうに、頷いていた。



早速ではないが、サミュに聞かれるまま、アレイ学園や国の話をしていた、また入学式に行われる。武術大会の話になると。他国の生徒も混ざり終始和やかなムードが広がる。



ほどなくして、各国の宮廷魔導師達が出てきて。結果が発表された。


個人評価総合1位

ケイタ・イナバ、

50ポイント、



個人評価総合2位

ギル・エバーソン

48ポイント



個人評価総合3位

サミュ・リジル

45ポイント



個人評価総合同率4位

オーラル・ハウチューデン

42ポイント



個人評価総合同率4位

ピアンザ・カリア

42ポイント



個人評価総合同率4位カレン・ダレス

42ポイント



ザワリ………。驚きの声が上がる。各国の関係者、参加生徒を他所に。オーラルは戸惑う。何で?自分がと、首を傾げていた。


「凄いじゃないか君達!。良ければこれから、家に来ないかい……。そのもう少し君たちの話が聞きたい。明後日の実地試験が終われば、しばらく休みなんだろ?」


悪戯っ子のような顔のエバーソンは、それはそれは魅力的な誘い文句で誘う。顔を見れば新しい楽しみを見つけたと、言わんばかりの様子である。隣のサミュも顔を高揚させて赤めていた。


「ぜひぜひ!」


「みんなで楽しめる所も案内するよ~。どうかなみんな?」


少し迷ったが、四人は言葉に甘えることにした。四人の他。ドヴィア国、リドラニア公国、ラトワニア神王国の生徒も何人か意気投合して、みんなで街に出ることにした。



エバーソンに続いて、街にでるや。


「ぼくなら街中を案内出来るよ~。任せてね♪」


と豪語する程。住人も知らない裏道から、穴場の露店まで、とても詳しく。確かに楽しめた。先に疲れたと言うケイタを。シルビアが連れ宿舎に戻ったが、オーラル、ピアンザ他数人が、エバーソンの屋敷に、お邪魔することになったのは、辺りがすっかり茜色に染まる夕方のこと……、



街の外れの高台にある。貴族街。こじんまりした邸宅は、贅はせず。古くも大切に住まわれてると。肩の力を抜ける過ごしやすい邸宅で、みんな羽を伸ばした。


「オーラル!、良かったら少し付き合えよ」


茶目っ気たっぷりにウインクして。と木刀を揺らす。


「ん~、良いね~」


体格の良い。ドヴィア国のイブロが、おうように相好を崩す。身のこなしから、かなり使えるのが解る。リドラニアの色白な青年に眼をやるが、両手を上げていた。彼もかなり使えるはずだが……、顔が真っ赤で、リジルから冷やしたタオルをもらっていた。日焼けして微熱に苦しんでる感じだ。ピアンザが審判を買って出てくれた。



邸宅の裏庭、大きなヤシの木の下で、オーラル、エバーソンが、構える。


「始め」


感情の籠らぬ合図に、エバーソンがいきなり飛び込んできた、二本の短剣より長い、エドラスと呼ばれる。ナイフの曲刀による連撃は、息も尽かせぬ猛攻を可能にしていた。初めての対戦と間合いの慣れない武器相手に。最初はなす統べなく。一方的に攻め込まれるが、ミザイナ程。一撃の重さは無く。何とか防げるが、スキも少ない。




オーラルの一撃。一撃。は防がれるが、破壊力で勝るため、攻撃を受け止める度に。エバーソンは動きを止められ。決定打が見つからず。ピアンザに止められた。


続いて、イブロとエバーソンが試合した、結果、大剣の防御を活かして、イブロの勝ちとなる。



続いて、イブロとオーラルの試合となった。重い斬撃を受けるだけで、腕が軋み。木刀を落としそうになった。しかしオーラルのスピードある切り返しで、大剣を掬い上げ、辛くもイブロに勝った。


「やるな二人とも…」


息も上がる。すっかり辺りは暗くなっていた。見上げた空に。煌々とまん丸お月様が顔を出していた。しっとりした疲れに身を委ねたつつ。気持ちの良い風を感じて、三人は笑みを交わした。



そんな3人を、女の子達が、呆れた顔で見ていたなど、3人はしらないが……、




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ