表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
国王ですが何か?
85/123

激動2



━━会議場で一つ吐息を吐きながら、昨日のことを思い出す。



━━今や、どのような大型な船であろうと。外海に出る船は航行不能になっていた。



一つは暗色な海が、瘴気を多大に含むため人間には、長時間の航海が不可能なこと、



同じ理由で食料、水などが瘴気によって直ぐに腐り始めること、



最後にモンスターが瘴気を受けて狂暴になったため湾内とて、安全では無くなった事が挙げられる。



だから港に。見たこともない船が現れたと聞き、何者かとピアンザが問えば、


「ギル・ジータ王国の使者と……」


「何だと?」


驚くのも無理はない。詳しく聞けば、ギル・ジータ王国にはこのような事態に備えいて。



特別な船が用意されていたと言うのだ……、


「なんと……、そのような船が」


絶句したピアンザとて製法を聞けば、海中船の有用性は理解出来た。



お陰でこの異常事態でも。比較的安全に、航行出来たこともだ━━。


「それで、ピアンザ様━━」


旧友であり。ギル・ジータ王国の宰相となったサミュ・リジルは謁見の間で、久しぶりの会合をしある提案をしていた。ピアンザは淡々となんの感情も浮かべない旧友に、冷水を掛けられたように息を飲んで、その提案を聞いていた━━。



そして━━。

妻子を東大陸のギル・ジータ王国に、身を寄せる事が決まった。



━━その少し前……。



ピアンザは内密に、サミュ・リジルから。全てを聞かされていた。オーラル・ハウチューデン……、


「我が友よ……」


国王連名による。親書を目にして、静かに涙した。


「オーラル様から、後は、任せろだそうです。あの人はアマアマですよね。本当にとても優しいですよね?。私としては全てを知っても、貴方がしたこと、……赦すことは出来ません、でもね……シレーヌは、私達の友人ですから」



(あれから何年たったのかしら……、)


眼鏡を押し上げながら吐息を吐いていると、


「サミュ……?」


「ええ~!。もしかしてシレーヌちゃん」


別室で会談していたところ、夫ピアンザに呼ばれて入室したシレーヌは、とても驚いた顔をしていた。やはりと言うべきか、囚われていたときも美しい美少女だと思ったが、今や成長して美しさが増していたが、



あの日の面影を強く残した旧友を目にして、懐かしい思いが胸中に渡来し。思わず眼を細めていた。


「………」


「……サミュ……、ああサミュ」


シレーヌは、場も憚らずサミュに抱き着いて。嗚咽を殺して涙を流した。


「かあさま……」


心配そうにちょこんと可愛らしい少女が、母のドレスの裾を掴んで、見上げていた。そんな妻の姿を見れば、余計に辛い気持ちを圧していた。


ピアンザは涙を拭い、晴れ晴れとした顔で、


「我が、パレストア帝国は、此度の異変終息まで、全ての国々と協力を惜しまん」


ピアンザの宣言に、側近中の側近達の顔にも、安堵の笑みが浮かんぶ、



━━サミュ・リジル調査隊は、



海中船を用いてデスホール近辺を主に。海中内の調査他、


北大陸のレオール連合、


西大陸のパレストア帝国に使者として赴いた。


あくまでも一時期と区切り、異変に対処するまでの間だけでも。異変が終息するまでの同盟を呼び掛ける役目を担う為である。



それはギル・ジータ王国が唯一中立国だと宣言した国だからこそ。そのような重責な役目が出来たのであった。




それが……、




数年前━━。




ただ1人生き長らえ。オーラルから国内の再生を密かに手伝ってもらいながらも、内心はオーラルにどうせなら我が国の重鎮に迎えたいと、何度も誘いをしていたが、オーラルは断っていた。



その代わり密かに頼まれたことがあった。


サミュ・リジルは嘆息を漏らしながら、


『こんな日が、本当に来るなんて……』


嬉しさと同時に、オーラルの底知れぬ先見性の力量に。ただ身震いしていた。


「彼が、敵でなくて本当に良かった……」


これ程の苦難、だけど……、サミュは確信した。


『彼ならば、きっと━━』




━━━北大陸、竜の峰、



リブラは配下の竜騎士レダ・アソート、

プラ・カードラを連れて、竜の山にある。竜の巣に来ていた。



三人が目にしたのは、怯えた竜が固まり、リブラ達に訴え掛けるように鳴く姿であった。


「リブラさん……、何かに見られてる気がします」


流石のレダも普段見せる。わんぱく小僧のような強気が成りを潜めていた。



リブラ達、三人は竜の峰に入って、沢山の竜の死骸を見てきていた。強靭な竜鱗を引き裂く傷痕から悪臭が……、漂い。白濁した目は、薄く膜を被り、口からダラリ飛びだした舌は、紫色に変色していた、



まるで猛毒でも飲んで死んだようだ……。



リブラは竜鱗を引き裂き、猛毒を与えるモンスターに、一つだけ……、心当たりがあった。



そいつは女のような鳴き声を上げる一方で。

嗄れた老人の声で呪いを呟き。強靭な爪は、竜鱗すら切り裂く、


さらに、猛毒の蠍の尻尾を持ったモンスター……、


「キメラ……」


ただキメラが、一体だけでこのようにはなるまい、キメラは闇の魔法、死者を操る呪いが使えた筈だ。



すると………、ハッと顔を強ばらせ、そして気付いた。


「レダ、プラ、お前たちは、急ぎ竜を逃がせ!」


慌てるリブラに、二人は神妙に頷き、竜と契約者だけが自分の竜と話す力を得る。他の竜は、竜の契約者を仲間と認識するため、竜騎士の言うことを聞いてくれるのだが……、



凄まじい寒気を感じて、リブラは大地と風の防壁を張った。


「なんだ今のは、それにあれはいったい……」


顔色を無くしたプラが、慌てて口を押さえていた。凄まじい悪臭。毒のブレスにより、リブラの張った防壁の周りにあった、岩が融解していた。


「ドラゴンゾンビ!」


竜達が、怯え鳴き、若い竜の一頭が、羽ばたき、逃げ出した。




そして━━断末魔の悲鳴が、竜の巣に響き渡り、残された竜はうち震える。




━━グチャリ、




ドラゴンゾンビの眼前に竜は落ちた。


まだ息のある若い竜を、悪意ある光を宿した、ドラゴンゾンビが喰らう、


「うっ……、おえっ……」


凄惨な光景に、レダが吐いていた、このままでは、何れ皆が若い竜のような運命を辿る。



リブラは竜の巣の入り口に目をやる。


ここは人間が入る洞窟とは別に。竜が洞窟に入る為の。出入り口があるのだが……、



目を細め見上げると、蠢く影が微かに見てとれた。獅子の身体の魔獣キメラが岩影にいるのも━━。


「ちっ、厄介な場所に隠れおるか」


ここから死角になっていて、キメラを直接狙うのは不可能に近い、狡猾なキメラらしい戦い方である。



ずんずん、獰猛な唸り声を漏らし。死したドラゴンゾンビは、元々竜王に並ぶ知ある竜、古竜エンシェントドラゴン)だったのだろう。



リブラは、静かに黙祷を捧げ青み掛かった、金属とは思えぬ不思議な剣を引き抜いた。



これはリブラの相棒である。竜王の竜鱗から作られた剣である。それも竜王の魔力をふんだんに込めて作られた特別な。世界で一ふり、リブラの剣である。



使い方しだいで、竜のブレスすら模倣したり、属性魔法すら斬れる力を秘めていた。リブラが展開した魔法の壁は、あれだけの毒ブレスをそう何度も防げそうもない。



毒の力があまりにも強く。少しでも吸い込めば命に関わる。このままでは持たない━━。



ならば……、



飛び出したリブラを認め。悪意で、淀んだ金の瞳を細めていた、


すうっと死した喉が脹らみ。漆黒のブレスを吐き出した、


「リブラさん!」


レダの悲痛な叫び。リブラは魔力を剣に流し込めて。と同時に風の魔法を使い。加速しながら、溜めを作り、一刀両断。ブレスを切り裂いていた。


さらに歩を進ませ。隙間を縫うように。竜の死角に滑り込み。


「さらばだ……。知ある竜王よ」


リブラは悲しみ、怒りすら滲ませ。凄まじい破壊力を秘めた斬撃を放つ━━━、



邪悪な呪いごと、かりそめの命すら、一刀両断と……竜を、切り倒していた。


「きゃははは、ドラゴンゾンビやられてやんの」


甲高く、耳障りな声が、辺りに響いていた。バサバサ蝙蝠の翼を羽ばたかせ、現れたのは老婆の顔を歪ませ。陰湿な笑みをかたどる姿。



間違いなく合成魔獣キメラと呼ばれる。邪悪な生物。


「おまえ人間の癖に、強いみたいだから、わたしのお人形になりなよ。きゃははは、きゃははは、みんなしんじゃえ、きゃははは、きゃははは」


キメラが、歯の無い、老婆の口を開いて、呪いを紡ぎだした。すると周囲に満ちた。生ある者に嫌悪感を与える。凄まじい邪悪な魔力を集められる。



キメラは集まったその力で呪文を唱えた。『闇の光』(ダークロア)が放たれるや、リブラを狙う。


「リブラさん!」


プラの悲鳴から、まともに食らったかに見えた。ギュリン何か切ったような清みきった音がして、青み掛かった閃光に、闇の光は真っ正面から斬られていた、



魔法はリブラの左右に剃れた。


「きゃははは、嘘みたい、ならこれはどうかしら?」


キメラは、コウモリの翼を広げ、宙に浮き、再び呪文を唱え放つ。地の魔法だろう、リブラの周囲に魔力の光が見えた。


「ちっ」


素早く。竜鱗の剣を正眼に構え。足元から、無数に伸びる。岩のスパイクを、手元を見せず。一瞬で切り裂き、土塊に戻していた。


「きゃはははは、ムカつくよ人間が、だから早くシニなよ!」


キメラは、獅子の爪を振りかぶり、滑空しながら、リブラをなで打った。



直前にかわされたと知ると。自慢の蠍の尻尾を、鞭のように使い、リブラの足を払う。リブラは咄嗟に、竜鱗の剣で、尻尾を弾きながら。鋭い毒の針を、紙一重でかわしていた、



どうにか後ろに跳び下がっていた。



キメラがリブラに気をとられてる隙に、プラが弓を組み立てる、


「リブラさん!」


キメラに向け矢を放つ。援護してくれたお陰で、僅かに息を整える間が得られた。




キメラは鬱陶しそうに、爪と尻尾を使って、矢を落とすのに気を取られている。



(よし今だ!)


素早く魔力を練り上げ、一気に高めた。


魔力の流れを感じたキメラの目は鋭く細まる。


「きゃははは、人間何をするつもりだ」


憎悪の目で、怒りを露にしたキメラ。だが遅い━━。


「我は求める。契約者リブラ・ハウチューデンの名に答えよ。大地の竜よ。汝の名は、暴君!」


手を地に着け、魔力を解き放った━━。




━━━リブラの手を中心に、魔法陣が浮かぶ、素早く、魔法陣から離れた瞬間━━、



特徴的な鼻から、魔方陣からつきだして、ついで可愛らしい円らな片目の巨体の土竜が現れた。


「きゃはははは、土竜!?」


キメラの爪の攻撃どころか、毒を一切受け付けない、岩のような皮膚をもつ土竜は、見た目と違い、俊敏に動き、キメラが驚き身を硬くした瞬間を狙う。



ピョンピョン飛んで、一本が一抱えもある、シャベル程もある爪で、キメラを叩き落とした。


「ギャアアアアアア?!」


女のような悲鳴を上げるキメラ、尖った岩くれの上に、叩き落とされ、頭蓋を穿う、




ビクン……、




悲鳴が消えた瞬間、身体を震わせ、やがて動かなくなった。


「リブラさん!無事ですか」


レダが慌てながら、リブラの無事を確認して、安堵した。すると邪悪な気配が消えたのに気が付いた。竜達が安心したのか、リブラに擦り寄って出てきたのだ。それにつられて幼竜が、可愛らしくきょとんと顔を出た。



徐々に……辺りに漂う、悪意が薄まり、どうにか竜の巣は、守れたようだと安堵した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ