竜将軍
━━━北大陸、魔王軍、陣幕。
……戦争とは、人間が、戦う以上、
様々な物が必要である。
一つは休息と食事である。
生きるために最低限塩と水の他、人間が動く以上は適度な穀物、一かけらの肉またはチーズ、ストレス軽減の息抜きに一杯の酒か果物を魔王軍の兵に与えていた。
━━戦前、
早朝未明、日も登らぬ朝靄の中。焚き火の煙がいく筋。空に登って行く。昨日は、日が落ちるまで、一進一退の攻防に、多くの将兵が疲弊していた。
その中で、同じく表情が優れないのが、六将が1人。緑眼の騎士ギラムであった。満を持しての参戦、ようやく分厚い壁を破るかに見えたのもつかの間、巨大な竜に襲われ、混乱した魔王軍は、海岸近くまで下がるしかなかったのだ。
「まさか……竜まで操るとは………」
噂はあった。あくまでも噂と甘く見ていた。肩を負傷したギラムは、敵なから、感嘆たる思いを呟きだした。
「あの者は、力こそ違えど、ピアンザ様、ナタク殿に匹敵する奥深さを我は感じている」
こうまで見事にやられれば、ギラムとて納得した。何故ギラムをランバスタの援軍に送ったのか、今なら魔王の思惑にも、気が付いた、ギラムの眼の力を使えと、ピアンザは言ってるのだ……、
相手はそれほどの力があると━━。
正直、迷いはある。眼の力を使えば、竜と乗り手は殺せる……。
(だが……、)
一度の魔眼解放で、全魔力を失いギラムはしばらく動けなくなるリスクを伴う。
「ランバスタ……、次に、竜が現れたら、魔眼の力を使う」
「やはり……、仕方あるまい、時間の心配もあるからの………」
武人であるランバスタの顔に。残念そうな面差しが浮かんだ。ギラムにも理解出来た。
しかし……、
ギラムには懸念もあった。以前オーラル・ハウチューデンに邪眼を使ったが、通用しなかった経緯があった。もしや土竜騎士には通用しない力だったら……、
ギラムの眼の力は2つ、
石化ドレイン……、
相手を石のように硬直させて、生命力を奪う力である
。
もう一つが、魔力喰い……、
(やるしかない……)
決意を決めた。
━━昨夜、なにかと忙しく明け方にようやく眠れたレイナだったが、リブラの急な呼び出しに起こされて、不機嫌そうな顔を隠さないまま。竜の寝床と呼ばれる洞穴を。降りていく。
やがて広い空間に出たレイナは、竜達に囲まれていたリブラを見つけ。目をしばたかせた。
すると……一際目立つ竜に近寄り。真っ直ぐ見つめあっていたかと思えば、
「そうか……、あれは古代の民に間違いないか、あの目……」
青い鱗の竜は、頭をリブラに向け、金の眼を細める。
「やはりな……、するとあんたたちでは、分が悪いな…………」
不思議な気持ちを、レイナは覚えた。
まるで……、
竜とリブラが話してる?、
「おはよう~レイナ、ブライムもおはようだとさ」
「ブライム?、その竜の名前なのか」
そうだと言わんばかりに、竜の喉が、地鳴りのように響いた。
レイナがいるのは、本陣から少し離れた難所としられてる位置する、竜の峰に近い、小山、
土竜が掘った、洞穴を、借りの住まいにして、竜の厩舎にしていた。
以前から……、リブラと竜の様子が、まるで話してるようだと聞いていたが……、
今になって気になって、聞いてみた。
「話せるよ~、それが契約に必要だからな」
何でもないことのように言われて、肩透かしを食らった気がした。にかりシニカルに笑うリブラの顔をマジマジ見ていると、
(やはりな……オーラルに似ている。)
最近思い出すことがあるのが、オーラルの父が行方不明であると聞いていたこと。
まさか……っていう思い、明らかに年齢が合わず違和感を覚えたて、
(でも……)
て思う気持ちもあって。半信半疑であった。
『案外本物かもしれない……、』
もしもリブラがオーラルの……、それが本物だとして……、リブラはどう見てもオーラルより僅かに。年上としか見えない年齢である。
(全く理由が解らない以上……、オーラルにはまだ知らせるべきではないな……、)
そう結論付ける。
━━本音を言えば、オーラルに仄かな思いを懐いてたレイナだ、オーラルに似て、今まで自分を守ってくれた相手である。武人と名を馳せる。レイナとて女の子なのだから、言い訳を、口内で呟いていた。
━━━翌日の戦。なんとリブラが、馬を駆って現れた、虚を突かれたギラムの遊撃隊は、見事な技術、剣技、魔法の腕も凄まじく。ギラムの思惑が外されてしまい、仕方ない退却を余儀なくされた……。
しかし狡猾な戦略の前についに孤立させられ。遂には……、
リブラの手で、ギラムは瞳の力を解放する間もなく、昏倒捕縛されていた。
リブラは直ちに命じた。魔王軍側にギラム捕縛を知らせたのだ。
動揺した魔王軍は、見る間に戦線が崩壊。一度戦線が崩れたら、もはや立て直す要素が無さすぎた。
「退却する!」
即断即決、ランバスタ将軍の英断に、魔王軍の将兵は安堵した。
━━退却して行く魔王軍。
レオール連合の将兵は、歓喜の雄叫びを上げた。
━━━虜囚となったギラムは、眼を隠され、自身の力を知る者が、居たことを痛感する。
「ラグラド……」
愛する。少女の名を呟いていた、




