最強の武道家レイナ・フォルト宰相
━━レオール連合陣営、
━━この一年余り。16部族を束ねる上で、やはりと言うか、レオール連合は国としては様々な問題を抱えていたし。軍としても致命的な弱点があったのは否めない。そこでレイナ宰相が何をしたかと言えば……、
各部族の勇者を集めた、彼等に百人前後の部隊をまとめる。部隊長を任せた。
所謂百騎将とか呼ばれる武将として、軍としての体裁を整えたのだ。
その事がきっかけになって、レイナの宰相としての信頼を与えるきっかけを得るようになった。
次に勇者の中からでも信頼ある勇者を、部族ごとの将軍職を任せたり、
政治的な部分が未熟なレイナの代わりに、各部族の長老達に任せることで、ひとまず国としての政治的体裁を整えた。
よってこの事からも。レイナは名実ともにレオール連合のトップ。宰相の地位を確立した。
まさにたった一人の少女が、細腕一つによって、建国して見せたのだ。多少強引な手腕ながら、他国から見れば眼を見張るほどであった………、
やがて連合国に参加した16部族の戦士・勇者の皆からも。魔王軍との幾度もの戦争に勝ち。認められる国のリーダーとして、誰からも認められるレイナは。
今や若い世代の戦士・勇者達からも、十分な信頼を得て、さらに気難しく頑固者が多い16部族の長老達。(元老院となった)からも部族の垣根を取り払い。今だけは自分たち族長と同等以上の存在と認めさせるに至る。
「よ~。レイナちゃん、元気かな~。みんなご苦労さんだね」
忙しく働いていたレイナに対して、実に軽口が似合うシニカルな笑みを浮かべ、今やレオール連合のトップであるレイナに向かって、そんな軽口を叩けるのは、彼だけだろう、もはや諦めたような吐息混じりの問いかけを紡ぐ。
「リブラ将軍は、相変わらずですな~、もしかして土竜舎で寝てましたかい?」
レイナの前に、朗らかに日焼けした勇者の一人が軽口に答えた。
「ん?、どうして………」
百騎長の1人が、癖のある髪に付いてる。茶色い藁屑を指した。
「おっと~こいつはいかん。せっかくの男前が、台無しだ」
おどける仕草がやけに似合う男の口調に、やれやれ小さく嘆息していた、この顔を見ると毎回、大切な友人の顔とだぶり。胸が切なくなるのだ。
彼の名はリブラと名乗ったが、
『本名かは未だに解らないし……。』
一見。怪しい風体の男なのだ……、
━━何故かな~。
━━何処か憎めない。不思議な魅力がある人物なのだ。
それに……、レイナの眼は、リブラの左腕に着けてる赤い手甲を見ていた、
年季の入ったくすんだ赤い手甲は、レイナの知る限り北大陸ではもはや忘れ去られた職業の一つ。土竜乗りの証として知られていた。そう土竜騎士の証であったのだ。
━━おそらくだが……、リブラは世界の大穴、デスホールに落ちたか、何らかの事故にあったのではないかと、推測されている。名前以外の全ての記憶を失うほどの怪我を頭に受けていたからだ、
忙しさに忘れそうになるが、今のレオールがあるのも。レイナの地位が磐石なのも。元を正せばリブラのお陰と言っても過言ではない。
━━始まりは一年前━━。
全てはリブラとの出会いが、このレオール連合の始まりだった………。
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━━一年前……。
リブラと初めて出会ったのは、北大陸の南端にある。
ターミナルの村と呼ばれる小さな村だった………、
当時のターミナルは、東大陸にある土竜ギルドなどなく。北大陸固有の土竜がいて、僅かに土竜使いやファームを営む田舎の村で、住人のほとんどが土竜の定期便の御者で生計を立てていた。
そもそも━━北大陸には、他の大陸にいない地上を走る固有の土竜が存在しいて、猛獣系統のモンスターが多いため。馬車に使われるのに馬は向かない、北大陸の馬は主に農作業用の家畜とされていた。その為猛獣モンスターの攻撃に強い土竜を用いた馬車の定期便が一般的だ。
各部族の都を繋いで、大陸中を走っていた。
━━ある日のこと。レイナはターミナルの村に。やたら腕利きだが、記憶を失った、土竜騎士が、行き倒れていたと噂を聞いた、
━━少し興味を抱いたレイナは、彼を調べた。
━━━当時のレオール連合は、魔王軍の船団を、何とか撃退したばかりで、まだまだ問題が山積みの情況で、魔王の諜報ではないか等きになって調べたと言うのが、当時の本音であった。
━━それから3日後のことであった。
当初……誰もがリブラのことをスパイではないかとか、様々な憶測が飛んでいたが……、
レイナ自身がターミナルの村に赴き、村長に会って話を聞いた。
………すると。リブラを見つけた経緯を詳しく聞いてみれば、スパイにしてはあまりに奇妙で、不可解な出来事とかえって困惑してしまう。
あくまでも臆測として、何らかの事故により記憶が失われたとしか判断がつかない。
そもそもの話だが、北大陸と。東大陸間に。地下迷宮は存在していない。にも関わらず。北大陸に迷い込んだ。それが疑問点であった。
どう考えても北大陸まで来てしまった事が、あり得ないと誰もが考えた。レイナもそう結論したのだが……、
ターミナの村長に問うと。
「今や定かではありませぬが、我が村に残る伝承には、四の大陸を繋ぐ地下迷宮があったと残されています」
聞けば村外れの小さな洞窟は、その昔地下迷宮の入口があったそうだ。そう聞かされると僅かな可能性ながら、地下迷宮から迷い込んだとも考えられた。
それにレイナにはアレイク王国に、多少の知り合いがいる。後で調べようとしたのだ……、魔王軍の猛攻、馴れぬ政治に苦心する日々。言い訳だが忙しさのあまり忘れてしまっていた。
そもそも北大陸に住まう人々にとっては、数百年も昔に地下迷宮は失われていたので、北大陸にも地下迷宮があったなど、誰も信じてはいなかった、何せ土竜とは地上を走る物だとそう思っていたからだ。
しかしアレイ学園に留学してるとき。噂で地下を走る土竜の存在がいると初めて知った。リブラと相棒の土竜暴君に出会うまでは……、その事をすっかり忘れていた。
彼が唯一思い出したのは、相棒の名前と自分の名前だけだった、困惑したが部族会の命で、レイナはリブラを見張る目的で、都に連れ帰ったのだが……、
彼は幾度もレイナを救い。北大陸まで救うことになるとは、
……その時。
━━考えもしなかった……。
━━半年前……。
「野生の竜を、手なずけたそうですね?」
唇をすがめ、不機嫌になるのが自分でも止められない。彼は元来そうした性格なのか、すぐにフラりいなくなるので、今回も何時ものこと……、そう思っていた。
そしたらあの……狂暴な竜の住む山、竜の峰に入り込み、竜王と呼ばれる。青い鱗の巨大な竜を従え。戻った時ほど……、レイナは驚いたことはなかった。
レイナが、ターミナルの村から、リブラを都に連れ帰った当初。シニカルに笑い。適当な性格のリブラは嫌われ、警戒されていた。
……何時からだろう……、
16部族の長から、尊敬され将軍と呼ばれるようになったのは……、
竜王をの心を掴み。勇者達を一蹴するや長老達はリブラを尊敬含め『竜の騎士』と呼ぶようになっていた。
当の本人は、興味なさそうだし気付いてさえいないかも……、とてつもないことをしてるのにだ……、
━━━遥か昔、北大陸にも国があった。
レオールとは……16部族の長が、認めた、唯一無二の王に与えられた。称号で、別名を『竜を統べる連合の王』(レオール)と呼ばれた王がいたと言う、
二週間前……、再びリブラはフラリと居なくなり4頭の野生の若い竜を従えて戻ったてきた時に。父である前族長から聞いた話だ……。
ファルバスとは戦士の一族と呼ばれてきたが、実は王の一族だったと。その時初めて知った。
━━父は言った。長達の増長に。苦労させられていたと……、
日に日に自分たちの待遇を良くするよう求めてきたたと。色々と思うことはあったが、レイナに内緒で、リブラに竜の話をしていた。一時的に手を組んで、頭に据えられたレイナだが、所詮は各部族の族長達からは。一時的に権限を与えられたに過ぎない。このまま魔王軍に攻め続けられたら。
いずれ内部から破綻してもおかしくない状況だったと。
まさに薄氷の上に。レオールは乗っかっていた。
レイナはファルバスの族長と言う立場はあるが女であった。勇者であるが女と言うのはやはり男の戦士程度と蔑まれがちであった。それは何度も1人で戦い。傷付き、泣きそうになる気持ちを押さえ込み。ようやく部族会。長老達に認められたのは……、二度目の魔王軍上陸を防げた時のこと、
「別動隊がいるな~ありゃ」
「へっ、あんた戦略とか分かる人なの?」
リブラに言われても、全然信じなかったばかりに、海辺の町の1つが占拠される失態を演じた。
「今日は曇りか、なら行けるか?」
「きゅーい!」
あの日の出来事を私は、いや私達は決して忘れない。リブラと相棒の暴君の参戦による劇的な逆転劇に。皆は魅了されていたから……、
あれからリブラは、皆に受け入れられた。
「色々考えたが、この戦争が終わるまでの間だけは、俺が手を貸すことにしたぜ」
にかりシニカル笑いながら、何でもないことのように宣言された。
「本気ですか?」
思わず自分のことがあるのに……、何だか半分は呆れていた。でも残りの半分はとても嬉しかったの……。
初めて………、みんな以外にも信頼出来る仲間を得た気がした。
でも……彼の凄まじい先見性と。戦場での指揮能力。相手の意表を突く奇抜なアイデアには。毎回驚かされていたわよ。彼こそ稀代の詐欺師よね。まさしく戦場の詐欺師かもと何度思ったことか、
普通は成功しないような奇襲作戦を打ち立て、自分で幾度も成功させるなんて。とんでもない奴が現れたと私も何度も思ったわよ。
さほど時間も掛けずにリブラは、英雄と呼ばれだして行ったわ、そうね皆からは密かに称賛されていた。
魔王軍を退けること100戦無敗。本当はそんなに戦える分けないけど。民衆のイメージって大切だから、リブラが誇大な戦績も必要だからと言われて、彼の言う通りにしていたら。何時の間にか民からも尊敬集めていて、今じゃ将軍と呼ばれるようになっていたわね。
そんなリブラが一目置く私には……、
自然と全族長からも、一目置かれるようになったの、
結果として、宰相の地位に見合う権限を得るようになったわよ。
「リブラさん!、準備出来てます」
「レダか、準備とは?」
頬に、引っ掻き傷をこさえたロバス族の若者で、リブラを尊敬するあまり、従者を買ってでていた。
「きひっ……、内緒です~レイナさん」
見たまんま、ガキ大将のような面立ちを、悪戯っ子のように輝かせるプラ・カドラと、ラドラ・カインが楽しそうに笑うのが、なんかムカつくわね。同じく従者を申し出たビラ・ウージンの四人が、リブラを見る眼差しは、英雄を見る眼差しをしていて、いつもキラキラしていた。ま~子供なのよね。
ムムム……、
ミミズを額に、飼い出したレイナの肩を叩き、立ち去る際に、
「まあ~楽しみにしてなよ~」
朗らかに笑いながら、理由も告げず立ち去るのだ。憮然と、リブラの背を睨む。
「こう言う所は、オー君のが優しいのに……」
諦めたように肩を竦めていた……。
それからジーナからの密書に眼を落として……、
沈鬱な、顔を見せたが……、
今は目の前のこと、集中しなくては……、
相手は、常勝ランバスタ将軍だけではない━━━、
……眼の良い斥候が、緑眼緑髪の青年が、ランバスタ将軍の傍らにいたと報告してきていた。
(ほぼ間違いなく……、緑眼の騎士ね……)
リドラニア公国が落ちて、曲がりなりに……、魔王軍の拠点が東大陸に出来ていたのだ……、目の上の瘤である。レオール連合に、戦力を割いてきた、そう考えれば緑眼の騎士が現れた理由も解るわね。




