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少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第二章
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テロ3


━━姫様とジーナが案内されたのは、人に見られない小さな窓の無い部屋だった。本来空調など望めない筈だが……、


程よく、心地好い清廉な冷気が、季節外れの猛暑の身体をジンワリ冷やしてくれた。ジダン・ロナベル教官には、姫が遅れるようだと知らせるように頼み。


「お茶の用意をしました」


喉の渇きを感じてた頃だった、ジーナは、素直に感謝して、冷たい冷茶に、顔を綻ばせる。姫も休まれて、だいぶ顔色が戻られていた。


「これは…蜂蜜ですね」


褐色でドロリとした、甘い香りの液体が、安物の陶器に、場違いな感じで、たっぷりと入っていた。


「先日。ギル・ジータ王国に住む。友人から贈られた貰い物ですが」


眠たげな眼差しの訓練生と名乗る青年は、見た目のやる気なさそうな顔のまま、気楽に肩を竦めた、


「えっ!、蜂蜜ですの♪」


満面の笑顔で、顔を弛める姫に、早くも苦笑滲ませながら。添えられたラスクに、たっぷりぬり、子供のように素直にはしゃぐ姫様に渡していた、


でも……ジーナは眉を潜めた。蜂蜜は高価なのだが……、訝しげに思いつつもジーナも甘い誘惑と、絶妙な冷茶に心奪われていた。


「このお茶……、初めて飲みますが、どちのですの?」


「はい姫様、南大陸ファレイナ公国の緑茶と言う飲み物です」


「では、ミザイナ様が、おっしゃっれていたこれが……」


ミレーヌ姫が眼を輝かせ、しきりに感心する。一方で、再び驚きのあまり首を傾げるジーナは、値踏みする眼差しをオーラルに向けた時だ。無遠慮に扉が開いていた、


「姫様、お加減はいかがですかな?」


普段見たことのない、優しい眼差しの教官がそこにいた。


「爺!」


パッと華やぐ姫は、猫の子供のように、教官に抱き付いていた。


「これこれ姫様。大きいなりましたのに、子供にお戻りですかな?」


孫を愛でる祖父のように、眦を下げていた。


「はいですの、ミレーヌは元気になったですの」


はにかむ柔らかな微笑みは、幼さを魅せる。姫の美しさを増長させていた、慣れていたジーナですら、息を飲み密かに頬を染めた。


「オーラル、魔法を止めて良いぞ」


「はい教官、俺は先に。準備してます。それまで、理事長室を使って下さい」


オーラルと言う訓練生が、部屋を出た途端に、ジトリと暑さを感じた。


「まさか、今までのは……、魔法?」


信じらぬ思いで、かつて。姫様のお守役であった。老教官をみたが、ニヤニヤ意味ありげに笑うのみ。相変わらず答える気はないようだ……。


「さあ姫、こちらにどうぞ」


そうだった……、そっと嘆息してジーナは思い出す。喰えない老人は、姫が頼まぬ限り何も語らない、恨めしげに睨んだが、どこ吹く風である。



戦士養成学校は、まだ建設されて間もない新しい建物である。訓練生と教官が、一緒に暮らすため。建物の主な使い方になっていた。

理由は、訓練生の多くは、カレイラ師団に入ることになっていて、戦士として足りない力量+集団行動や生活に、慣れてもらい。軍人にとって最低限の基礎を学ぶための訓練学校であるためだ。



資料によればアレイ学園の元生徒が、多数在籍していることから、先程の生徒もあるいは……、元『特待生』だったのかも…、その考えは、妙にしっくりきた、アレイ学園の『特待生』には、魔法を学ぶ機会が与えられているからだ。



それにしても……、


『あれが魔法だとしたら、どんな風に制御してるのかしら?』


ジーナは魔法に、あまり詳しくなかった。族長の娘レイナとは別に、ジーナはアレイク王国に。姫様の護衛として、雇われていたからだ。


そのレイナだが……、今は帰郷している。何でも見合い話が舞い込み。本人には不本意であり、憮然としながらも族長に呼ばれて仕方なく、渋々帰国している。



━━ジダン老の案内で、二人は三階にある。広々とした理事長室に案内された。落ち着いた青を貴重にした室内。元宮廷魔導師筆頭らしく、本棚には読めそうもない、難しい本がぎっしり詰まっていた。


「難しそうな本が、一杯ですの~」


さすがに書斎の本棚には、姫様が大好きな。恋愛物は無いようだった。窓から外を見ると、沢山の生徒が、50人づつのグループに別れて、集まっていた、これから……何かやるのだろうか?、


「教官準備は整いました、号令お願いします」


「うむ、では姫様しばしこちらでお待ちを」


先程のあの生徒に呼ばれたジダンは、訓練場に降りていった。




「オーラル!、準備はいいか?」


眠そうな顔の青年をねめつけると。いつの間に着替えたか、他の訓練生と同じく訓練服に着替えていた。


「何時でも教官。姫様と護衛に、言霊飛ばしますか?」


訓練生が集まる中、ジダン教官は。好好爺に笑うと、ひとつ頷いた。


「知らせろ」


オーラルは素早く2つの術式を構築、放つ。



『姫様、失礼いたします…』


突然、囁く声が背後よりして、ジーナは慌てて振り返るが、キョトンと眼を丸くする。姫様だけがいるだけである。これは……魔法?


『驚かせましたか?、言霊にて、失礼いたします』


言霊……、確か、伝えたい相手だけに、言葉を聞かせる。かなり難しい魔法だったはずでは?、窓から下を確認すると、先程の訓練生と目が合い。小さく会釈された、眉を潜めながら、見てると、隣のニヤニヤ笑う、ジダン教官を発見。


「あの人か…」


小さく嘆息して、了承して先を促すと、


『これより6つある訓練師団による。対抗戦を行います。隣室よりテラスに出てくださいませ、そちらより観戦出来ますので、移動下さい』


言われた通り隣室からテラスに出れるのを確認した。


『机の上に、プログラムが用意されてますから、確認ください』


言われて、理事長の机を見れば、確かに、それらしき物がある。ジーナは手に取りパラパラとめくる内に、眼を見張る。

内容は複数あり、プログラムは、替えが効くように準備されていた。

時間、気候、体調が悪くなってる場合など、今まさに……、プログラム通りに…、思わず喉が鳴っていた。


「これではまるで……、あの方のようだわ」


ケレル殿下の懐刀、カレイラ准将を彷彿させる。周到な内容に舌を巻いた。


彼の言葉通りに、従って……、



ミレーヌ姫が、テラスに現れると、歓声があがる。ミレーヌ姫があどけない笑顔で手をふるお姿に、感動する者が多いことか……、ジーナは何時もながら半分呆れてると、歓声は唸り声のように。辺りに響く。


『これより。合同演習を行う』


オーラルは魔法の因子を解放して、魔法を変化させていた。1人に伝える言霊から、風の広域魔法に変化させたのだ。



整列の合図を受けていた訓練生全員に。


『西軍第1、第3、第5師団、東軍第2、第4、第6師団、散開』


号令が放たれた。



テラスに出ると、そこには大きな日傘がひとつ。その下に、テーブルと椅子が用意されていて、上にはティーセットが置かれていた。ジーナは知らず知らず。ここまで用意した人物……オーラルと呼ばれた青年を再び見てから、感心のあまり朗らかに笑らっていた。


「あっ、ステンドグラスがありますわ、ジーナこれがあれば観戦しやすいですの♪」


姫ミレーヌが、何気なく呟き、テーブルに用意されてた。ステンドグラスに気が付いて、唇を綻ばせる。早速みんなを覗き見る中━━、



ジーナもテラスから見下ろして、訓練生の一団が、一個の集団で動く様をみていた。その様子はまるで、一個の生き物のような動きで……、


「何が、始まりますの?」


頬を高陽させ見ていた、確かに……、これならば姫様の負担にならず。見ていられる。下手な行事より楽しめるしと。良く考えられていた。



姫様のため冷茶を入れて、半分呆れながら、老教官の言いたい事が判る。


『知るか!彼奴に聞け』


そう言うに決まっている。だから、ジーナも、楽しむことにした、何せステンドグラスは二個用意されてたのだから。



プログラムによれば、東西に別れた、2つの軍によって、お互いの陣地の旗を奪うか、自軍の半数以上が、

戦死扱い━━手持ちの武器を取られるか、複数に囲まれ、逃げれないと確認出来た時点で、戦死扱いとなるようだ、これは意外と頭を使う……心理と。読み合い。運も必要となるだろうと。少しならず楽しめた。


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