表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第二章
20/123

テロ2


━━━事件7日前。



王城。西側━━、



王族の住まいがあるのは、



3階の一部である。



数年前……、皇太子が病死して…、現在は国王、王妃、ケレル殿下、



そして……、



そこは大きな部屋だった。もとは精緻な造りの美しい白亜の子供部屋だったが、部屋中に。大小様々なデフォルメされたモンスター、架空動物のヌイグルミが乱雑に並ぶ。内装はピンクで統一されていて、部屋の中は現実場馴れされた、ファンタジーランドと化していた。さしずめ部屋の主は、物語の主人公のように…、


「ん~……スースー」


猫耳……、ヌイグルミが動く?、

どうも猫に似せた、寝間着を、着込んでるようだ、結んだ髪が、動く度に。尻尾のように動いて見えた。


「ん?……、はいですの」


ノックの音で、直ぐに目覚める。でもまだ眠いのか、幼い顔立ちの少女が、目元こすりながら、王妃に似た。美しい顔立ち、些か幼すぎるのを、兄ケレル殿下は心配していた。


「おはよう御座います。姫様」


「おはようですのジーナ」


メイド服に身を包む女性は、城では珍しい、浅黒い肌をしていた。北大陸の出身で、体技に優れた部族の生まれと聞いていた。彼女のことは、姫……ミレーヌが、物心が付く頃から、身の回りの世話をしてくれていて。姉のように信頼していた。まるでそう……大切な家族のように。思っている。


「姫様。ケレル殿下が、後程来てほしいと、言付けがありました」


「まあ~?、珍しいですの」


小首を傾げ、美しい眉ねを寄せる。悩むミレーヌには構わず。ジーナは身支度を整えていた。



聖アレイク王国には伝承がある。偉大なる聖人アレイが、弟子を連れてこの地を定めて、王国の基礎を築いたこと。初代国王クラウベリアは、建国王、またはアレクの実子とも。二番目の子供であったとも言われるが、王家でもその辺りは謎とされていて……。正式には建国王と初代国王が別だったのにも、何らか理由があったのではないか。そう思われていた。



建国王バレンシアは若くして亡くなっており。現在では彼こそが、アレクの長男だったと記されていた。



聖アレクは、現在の大地神アレを祭る。聖アレイ教の教皇となった伝説上の人物であり、今のアレイク王国の民のため、様々な奇跡を起こしたと教本に記されているが定かではない。

有名な話では、今も侍司祭以上の信者が行う。癒しの奇跡であろうか、多くの病める民を救ったとも言われており、死せる病すら治したと記されていた。今でなお……、アレイク王国。全ての民の崇拝を集めていた。

しかしながら……。

聖アレイが死んだと記録。記載は残されていない。謎多き聖人である━━。



現国王レゾン王は、クラウベリアの孫にあたる。昔から民の崇拝の対象に王家が見られるのだが、そこには理由があった。王国を営み時を重ねれば、多少なり衰退したり。奇行に走る為政者は生まれる。しかしながらアレイクの王族には、聡明な皇子、姫が生まれることから。民の信仰の気持ちが高まるのも。一概に間違いとは言えなかった。



歴代の王の中でも。聡明と名高いレゾン王には、3人の子がいた、

リドワール皇太子、

ケレル皇子、

ミレーヌ王女である。


━━昨年。リドワール皇子は、持病の心臓病で、病死していた。


よって次期国王はケレル皇子が選ばれたが、兄リドワール皇太子に勝る。聡明な人物と、民に人気が高い青年であった。


━━レゾン王が、謁見、様々な視察で、多忙な時期は、次期国王ケレル皇子が、実務をこなすため。日中は、様々な国々からの使者と密談を繰り返す。

こうした謁見などや、外交の場で話せる内容を、細かく詰めるため。


財務省トップのカレン・ダレス財務官、


大司教エレーナ・シタイン、


ギルバート・ガイロン将軍、


カレイラ・バレス准将、


ブラレール・ロワイ騎士団長、


セレスト・ブレア近衛連隊長、


宮廷魔導師筆頭ケイタ・イナバ、


アレイク王国のトップである重鎮が、連日会議をすることも少なくないが……、


扉が、おずおず開き、相手を認めて、優しく微笑する。


「お兄様おはようですの、ミレーヌに御用と、ジーナから聞きましたの」


妹王女のいつまでも変わらぬ。可愛らしい仕草に、少々不安になりながら、


「よく来たねミレーヌ。今日のご機嫌はどうかな?」


からかい口調の兄に、先日の失態を思い出して、恥ずかしそうに、ほほを染めていた、


「はいですの」


可愛らしくはにかむその姿は、もしもこの世に天使がいるとしたら、妹はまさしく天使のように、無垢で純粋であるなと、感慨深く嘆息する。

妹=ミレーヌは先日、ファレイナ公国ミザイナ大使との会談で、失態したばかり……、多少不安だが、父の意向もある。


「ミレーヌ。父=国王から、内々に仕事を頼まれていてね。新設した、戦士養成学校の視察を頼みたいのだが……、行ってくれるかい?」


キョトンとする。妹=王女の背後に立つ、メイド服を着たジーナは、ミレーヌになにやら耳打ちしていたら、徐々に顔を輝かせ。


「任せて下さいの!」


嬉しそうに答えた。チラリジーナに眼を向けると、小さく頷いた。



程なく、ミレーヌがおいとまを告げ、次の案件の書類を手にしたが、まだ胸中に不安が広がっていた。それは黒衣が不穏な話を、噂程度だが拾ってきたこと、先日にはミザイナ大使から聞いたばかりでたるためだ。



そっと吐息のような思いの中に込めて、妹ミレーヌの身を案じていた。



━━ケレル自身ならば、カレイラを警護に連れ出せるが………、



妹には、未だにジーナしかいない、不安は残る。不穏な情勢。父王、王妃の不在、ミザイナ大使から、急知があり、ファレイナ公国王弟エドワルド公爵が、近日中に来日するという。



レゾン王は、4ヵ国会議に出てる今……、ケレルまで、国を空ける訳にはいかない…、




━━━事件当日。

広大な敷地にある。戦士養成学校の視察にミレーヌ王女様が参られる。密かに噂が流れた。



瞬く間に広かった噂に。多くの学生が浮き足立つ中、口の悪さと、手の速さで有名な教官ジダン・ロナベルは終始ご機嫌である。なんでも噂では……、元々教官になる数年前まで。ミレーヌ王女のお守役だったと聞くからだ。



そんな噂もあって、訓練生の中では、ミレーヌ王女を守る。部隊が編成中ではないかと、噂もあるのだが……、



今まで姫様の護衛部隊は、ガイロン重騎士団から選ばれていた。今年早々。カレイラ師団に、管轄が変わったのにも理由がある。通称王女の御守り部隊は、名誉職でしか無かったためだ。平和な時代が続いたため。今までは退職間近の老人ばかりの任官だったのが理由である。近年の世情を鑑みて、魔王の不穏なる行動から。レゾン王は新規のカレイラ師団に、早急な部隊編成を求めたのはそんな理由からだ。



今回の戦士養成学校視察は、新設する護衛部隊の兵士を選ぶそんなことも多少なり理由からで、卒業間近の訓練生にとって、大いなるチャンスである。



だから少しでもとアピールして……、あわよくば、熱気を感じた。

浮かれてるジダン教官の隣には、姉のミリアが無理やり着せた父の正装を着せられていた、本来右腕には、土竜騎士の着ける。赤い手甲があるが、無論着けてはいない、いつも寝癖のある髪は母の手によって、丹念にセットされ。


「似合うなオーラルよ」


ニヤニヤ、人の悪い笑みで、ねめつけた。


「帰りたくなります……」


珍しく、ゲンナリしてるオーラルの腰を叩きながら、げらげら笑い声を上げながらも、


「お前のとこも頭が上がらんか?」


意味ありげに、右眉をあげていた。何と無く、教官の言わんとしてる毎に気付いた。


「姉には、逆らえません……」


昨夜。準備で、家に帰ったのが失敗だった……、母の喜びように面喰らう程だった。やはり心配掛けてたのは事実。仕方ないことではある。


「お前の衣装、土竜騎士のものだな?」


さすがに誤魔化せないか、半分諦めながら、


「父のです」


虚を突かれた顔をしたが、妙な符合に一つ頭をガシガシかきながら、


「なるほどな……」


意味ありげな眼差しの中に、何を感じたか……、ありがたいことに教官は、敢えて何も聞かなかった。



━━予定よりやや遅れて。


遠目にも、豪奢な4頭立ての馬車が、戦士養成学校の入り口に到着したのは間もなくのこと。


オーラルが出迎えに出ていたが、御者見習いが慣れていないのか、もたもたしてたので、代わりに馬車の下にある。嵌め込み口から、装飾された、足場を出して素早く、


「準備は、よろしいですか?」


見習いを制して、伺うと。びっくりしてた見習いだが、扉を開けるよう手をやり。咳払いして、位置に着いた。


「どうぞなの~」


姫の声はまるで、ギル・ジータで聞いた、極彩鳥の美しい鳴き声のようだと内心思った。一切の遅滞なく。見事な所作で、見習いに合図を送ると、見とれていた見習いは慌てながら、戸を開く。

最初に出てきたのが、浅黒い肌のメイドである。鋭い眼差しの女性で、貴族とは違う、美しさを秘めた肉食獣、そう……猫課の動物に似た、空気を纏っていた。気落とされる御者見習いを、他所に、辺りの様子を伺う。

オーラルはわざわざ、彼女の見る視界をふさぎ、眉をひそめさせて、一瞬睨むような、メイドの視線を受け流し、


「お部屋は用意してあります。しばらく休まれてから、改めて、挨拶させていただきたく思います」


虚を突かれた顔をしたメイドだが、少し険しい眼差しを和らげ。小さく頷き。


「では、案内願います」


僅かな吉備で、目前の青年は、見抜いたようだ。素早く状況が判る人物が、エスコート役に選ばれたと。ジーナはホッとした。



姫=ミレーヌ様は、朝まで元気だったが、急に暑くなった陽気に当てられて、体調を崩していた……、



傍らのミレーヌの顔色は青くぐったりしていた。心配しながらも先に降りたジーナに、青白い顔のミレーヌ姫が小さく頷いた。なんとか足を掛けたところで、立ちくらみか倒れそうになるところ、ジーナより素早く。エスコート役の青年が、最小限の動き、不敬にならないように、考えられた支えをして魅せ……、

我知らず。感嘆の溜め息を吐いていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ