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少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第一章
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入学式&武芸大会



━━━━大会は、



入学式翌日から、4日間で行われる。



━━━年に一度の学園のお祭りである。



━━予選が始まるのは、明日からで、


剣の部、体術の部の予選が行われ、決勝は4日目の夕方に行われる。



2日目の朝、弓技大会の予選が行われ、


午後から、槍の部予選が行われる。


3日目に、槍の決勝と、弓技大会結果が、発表される。



アレイ学園の入学式からの4日間は、国内外から。沢山のお客様が来られる。そのため学生にとっては、チャンスでもあるし。優秀な人材の欲しい騎士団、各国の軍部は、自分をアピール出来る。場所でもあるのだ━━



昨年オーラルは、数少ない新入生であり、一般生徒でありながら、初出場で、どちらも優勝者に負けた、だが優勝者と、互角だったのは、オーラル1人だけだった。



学園側から。入学試験で、既に『特待生』レベルにあったオーラルを。相応しいとの素直な判断であった。


「オーラル?、なんでお前がいる」


演舞台のある体育館に入るや。突然。声が掛かる。黒髪を後に束ね。凛々しい若武者のような風貌に、驚いた顔をして、タオルで汗を拭うのは、昨年オーラルを倒して、圧倒的な剣技で、2連覇中のミザイナ・アルタイルだ。



━━━ミザイナは、南大陸、ファレイナ公国出身であり、王の兄である。現騎士団長の1人娘で、貴族の令嬢なのだが……、


本人に言うと、殴られるので、注意が必要だ。


「実は……」


朝の一件を話した。


「エトワール家の……、お前、厄介なのと関わったな」


心配を吐露したミザイナに、困った顔しながら、肩をすくませ。


「何時ものことさ」


「確かにな……、例年ろくな貴族が、入学しない」


ミザイナも、貴族なのだが、言わないでおこう…、


「どうだ、久しぶりに汗を流さないか?」


木刀を手に、獰猛な笑みが広がる。


「まあ……仕方ないな」


諦め気味に呟き。木刀を受け取り、演舞場に上がった。



体育館にある演舞場は、四面あり。周囲には、木偶を使って、打ち込みの訓練する。『特待生』の姿がある。今いるのは主に。剣、弓、槍の武芸大会で、上位にいる者ばかりだ。

皆が見守る中、二人は対じする。



片や、剣の試合で、無敗の女帝ミザイナ四年生。

対するは、剣、体術双方の部で、昨年上位者だったオーラル。しかも二人は、同じ部隊の隊長と副隊長で。好奇の目は集まった。



━━2時限の授業が終わり、


二人が『特待生』クラスに戻ると。

薄いピンク掛かった髪の可愛らしい少女が、二人を見つけて、笑みを深めた。


「ミザ、オー君。お帰り~♪」


のほほん、ほんわかふわふわ。そんな擬音が出そうな可憐なお嬢様に。一見は見える。また朗らかに可愛らしく笑う姿から、癒し系の美少女と呼ばれる。二人の友人で……、同じ部隊の仲間でもある。レイナ・フォルト、こう見えて……、



昨年の体術の部、準優勝者だ。昨年まで三連覇した先輩がいたが、卒業したため、レイナは、今年の体術の部。優勝候補筆頭だ。



彼女は、北大陸のファルバス族出身で、超人的な筋力と、拳打の盛んな一族であり、体術において、最強を誇ってる一族の生まれである。



レイナの一見穏和そうな、お嬢様な風貌に。惑わされてはいけない……、そうは見えないが、脅威の怪力の持ち主なレイナは、ミザイナを持って、天才だと言わしめさせた。体術の天才である。



一方で━━、



学問に対しても聡明な少女で、まだ聖アレイク王国でも少ない、魔法医を目指していた。


「あ、ピア君、ご苦労様♪」


浅黒い肌をしたピアンザは、無言で頷いた。


案内人をしてポイント稼ぎをしたようだ、

彼は、睨むような目付きのせいで、誤解されがちだが、人付き合いが、苦手なだけで、さり気無い。気配りの出来る人物だ。視力が恐ろしく良く、弓の腕前は、学園屈指である。


「オーラル、先生が呼んでる」


「ん~わかった」


口下手で、端的にしか、自分を表現出来ない。不器用なピアンザ、彼も同じ部隊の仲間で、オーラルの友人だ。答えに満足して、自分の席に戻る。



『特待生』クラス担任は、6人しかいない。宮廷魔導師のリリア・カーベン女史だ。アレイ学園でも屈指の変わり者で有名である。


リリア他、25人の教師が、自分の仕事の合間に。勤務しており、めったに来ない教師はざらだ、リリア女史は逆に、学園にいない方が珍しい人物で、学園に、住んでいると噂があったりする。本当に。宮廷魔導師?疑問に思われるのは、仕方ないことだ…、多分……。



職員室に入ろうとした。オーラルを認めて、


「こっち、こっち」


生徒指導室から、顔を覗かせ。手招きする。何やら人に聞かせたくない話しかと推測した。リリア女史に従い。生徒指導室に入った。



普段から眠そうな顔、大きな目に不釣り合いな。小さな眼鏡が、鼻の頭に乗っている。


「ふわあ~オーラル~、さっき~新入生~、助けたでしょ?」


面倒そうに欠伸混じりに言う、



ああ~その話か……、

それよりも…、リリア女史の寝癖、後ろ頭が気になった。


「はい、何か問題がありましたか?」


気にした様子がないオーラルを。嬉しそうに微笑して、


「あれは平気、親がしゃしゃり出て来たけど、気にしないレベル、貴方に頼みたいのは、助けた方なのよね~……」



━━━リリア女史曰く、



よりにもよってバローナと、ケイタが同じクラスだったと言う。ケイタ・イナバは、西大陸、魔導王国レバンナの出身で、神童と呼ばれた天才だ。しかも最年少の10歳と聞いて。小柄なのも納得した。



聖アレイ学園側としては、ケイタを育てるため。

最初の一年の内は━━。



一般生徒と、一緒に勉強させようと決まっていた。それから数年の間に。『特待生』『院』生徒として、段階的に選ぶ予定だった……、



それと言うのもケイタの入学試験結果で、



既に学力は……、早くも学園屈指所か『院』で通用するレベルにあるらしく。今すぐ『特待生』として選ぶことに、問題がない、それどころか、ゆくゆくは……、


アレイク王国の筆頭宮廷魔導師候補にと。熱望されている。来年早々『院』に、入るのは決まっていた逸材だ。



学園長もこうなっては、早いが大切な、才能を壊したくない。だから……、苦汁の決断をした。


「一年のしかも10歳で『院』にですか?……」


オーラルの懸念に。渋面を浮かべていた。呻くように嘆息して、諦めた。


「そうなのよ……」


認めた上で、困ったわね~的な、リリア女史のお気楽な呟きに、思わず苦笑した。

『院』の生徒とは……、基本的な二年の就学を経た学生、更に選ばれた『特待生』として学ぶ四年間。その中から……、学問に優秀と学園側が認め。選ばれたエリート達の集まりである。



『院』生徒に選ばれた者の多くが、大変優秀な、国の研究者または、国事を司る。官僚を排出してた。最近では『院』生徒の多くが、学園内にとどまり、アレイ学園の補助教員になったり、都で私学の先生として、財を成した者もいた。いわゆる天才の集まりだ。行く行くは学者か、官僚となるべく者を。未来の宮廷魔導師を育てる機関だったが……、

『院』の研究生は、平均年齢18才以上だ、

ケイタは、まだ10歳である。



問題は、年齢と『院』に蔓延る派閥。陰湿な体質だと言われていた。初めて訪れた少年が、見も知らぬ土地で、1人だけ、『院』に、進級させるのは問題があると、学園側は考えた……。

だからまずは『特待生』に選んで。担任のリリア女史に、話が回ってきた、そんな所か……、


「では、ケイタはまず『特待生』扱いにするのですね?」


感のよいオーラルが、先回りして答えると。満足そうに頷いた。


「オーラル。貴方には『院』に入る。許可が降りてるわ、だから……」


瞬時に理解した。



……取引か……、



だがと思うと、同時に魅力的な話であるとも思う。

『院』に若くして入った経歴は、将来必ず役に立つ。金銭的に苦労してるオーラルにとって、魅力的な申し出であった。



と言うのも『院』に入る許可があれば……、毎月、僅かながら国から。支援金が支給されるからだ。だからこそ……、気負いなく。


「お断りします」


きっぱり言われて、驚くリリア女史に。一つ頷いて、


「ただ……、ケイタの面倒は、俺が、見ますよ」


続けた。息を飲んだ……リリア女史は、何も言わず。

気高い。生徒を、抱き締めていた、


「ありがとうオーラル……」


「先生……、俺は出来ることをするだけですから……」


ほんのり赤くなるオーラルを、クスクス笑いながら。頬をつつくと、ニンマリ人の悪い笑みを浮かべて、


「でも『院』に、入れる許可は、出しとくね~♪」


ケイタのために『院』には通へと。暗に言うのだ。迷ったが……オーラルは、快諾した。そんな優しい生徒を見詰めて、嬉しそうに眼を細めていた。




『特待生』の学舎から、林道を抜けて北東に歩いてくと、特別研究機関『院』、別名゛始まりの学校゛はあった。



━━リリアに連れられ。『院』の施設に入ったオーラルの眼前を、すたすた歩いてく白衣姿の生徒達こそ。学園が誇る。頭脳が集まっていた。

目に入るのが。大陸全土から集められた。古い文献や、専門書が、見渡す限り壁一面に。仕舞われていて。かの『魔王の書』すらあると言うのだから驚きだ。



最初の印象から。まるで広い図書館のような造り。1階から3階まで、ぶち抜きになっていて、入り口から。奥の階段まで、沢山のテーブルが並び。それぞれが本を読んだり。調べ物をしてる中で、大人に混じり、背を小さく丸め。俯いてるケイタを見つけた。


リリア女史に目配せして、リリアが頷き。オーラルの背を叩き退出するのを見送り。それから肩をすくめながら。


ゆっくり……、ケイタの座るテーブルに近寄る。



━━しばらく黙って、わざと影を作り、反応を待ってると、

「なにか用でしょうか!」

何かに堪えるように。身を硬くして、強ばる声を発した。声には寂しさと、硬さが滲む。だからわざとつっけんどんに。


「なんで、お前がここにいる?」


「えっ……」


聞いた声に。驚いたケイタが、顔を上げた瞬間。やはり女の子に間違えられそうだな……、ぼんやりそう思ってると、


「……ぜんばい……」


いきなりオーラルに抱き着いて、ワンワン泣き出した。

辺りから、迷惑そうに舌打ちする『院』生を、鋭く睨み付けた。するとオーラルの左胸にある『特待生』の校章を見て、そそくさ退散した…、



ケイタが、落ち着くまで、好きなようにさせた。しばらくして……、


「先輩……、どうしてここにいらっしゃるんですか?」


落ち着たケイタは、自分の醜態を見られ。恥ずかしそうにもじもじ俯いた、本当に女の子みたいだから……、心の中で、突っ込みながら、


「俺は『特待生』だが、『院』に入る許可をもらってるんだよ~、一年のお前がなんでここに?」


すると、ケイタの顔に劇的な変化が……、顔を輝かせて、急に嬉しそうな顔をした。わざと訝しそうにするオーラルを。飼い主を見付けた。子犬のような目をするから、オーラルの方が気恥ずかしくなった。コホン咳払いし。視線を逸らしてから、まあいいか、肩を竦めていた。


「どうせお前も『特待生』なんだろ?」


「えっと……一応は」


戸惑いながら、首肯した。急に不安そうな瞳で、オーラルの顔を、伺い見るケイタに、思わず(苦笑)していた、


「俺の用は終わった、クラスに戻るなら一緒に行くか?、また迷子になられると困るからな」


オーラルからそう提案すれば、目を輝かせ。


「ぜひに。」


満面の笑みで答えた。さっきまで捨てられた子犬のようだったとは、同じ人物とは思えない変わりように。溜め息を吐いた。


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