古代の民
━━━6年前。
アレイ学園、『院』に進学して二年。ピアンザ、ケイタ、レイナの三人は研究者となり。忙しい日々を過ごしていた。
そんなある日のこと、シレーヌから手紙が来るようになって、彼女と文通するようになりはや3年になっていた……、
ギル・ジータのエバーソン家から、2年前、彼女は世界が見たくなり、旅立っていた……、
そのときまで、たまに便りが来るのは、同じエルフだからか、最初は戸惑ったピアンザだったが……、
見るもの全てが楽しそうな内容に。何時しか彼女からの手紙を待ち遠しく思うようになっていた。
最近は、このま『院』に残るか、卒業して職に着くか、進路を深く迷い始めていた時期であった。
迷う原因の一因に、数年前……孤児院で味わった温もりが、今も忘れられなかったのもある。自分の出生を知ってる彼女になら、唯一相談出来るとの思いを抱いていた……、
そんなある日のこと……。
━━シレーヌから久しぶりの手紙が届いた。消印は西大陸からであった。
『ピアお久しぶりですね。私は元気ですが、貴方は元気ですか?、今回は朗報です!。なんとエルフの村を発見しました!、良ければ久しぶりに会いませんか?、お待ちしてます』
詳しい場所が、書かれていた……迷いながら、卒業の日を迎えたピアンザは、決意する彼女に会おうと、
事情を知らないレイナ、ケイタの2人には告げず。学園を去ることにしたのだ。何もかも棄てて……。
━━━西大陸。魔導王国レバンナ。
乗り合い馬車で、乗り継ぎを何度かして10日程度かけて。山間の小さな村に。来ていた。
のんびりとした日差し、家族はのいないピアンザは、ただ1人生きるため。アレイ学園で手段を学んでいた。オーラルやミザイナ、ケイタ、レイナ友との出会い……、
みんなと過ごした日々は、ピアンザの中でも宝物のよな素晴らしく、楽しかった。赦せないこともあったが……、自分は変わった。
「おんや~闇の民でねが」
突然場違いな言葉、柔らかな日差しすら凍り付かせる声音。狼狽したピアンザは老婆に驚き、強く警戒していた。
「慌てるでね~オラは、緑の民だ~」
にこやかにそう言うと、人の悪い笑みを浮かべていた老婆は、ピアンザの目の前で、老婆の姿は歪み。
いきなり老婆は、エメラルドグリーンの緑掛かった髪を後ろに束ねた。美しい瞳の少女が立っていた。
「おまえさが、ピアンザさんかい?」
容姿とあまりにギャップある。値踏みするような詰問。打算的な眼差しに。ピアンザは惑いながら、小さく頷くしかなかった。
「へえ~、シレーヌの言った通り、だったな~」
話をしていたら。何故か満面の笑みで、クスクス笑う、
「みんな、あんたを待ってたんだよ」
訳も解らぬまま、ピアンザは緑の民であると告げた。少女ラグに連れられて……、
村の端にある。小さな、炭焼き小屋に案内された。
流石に訝しく思ってると、ラグが先に中に入り、指を鳴らした。
すると……地下に繋がる入り口が現れた?
「これは…幻影魔法か?」
素直に感心すると、にやにや笑うラグは、薄い胸を張って、自慢そうである。
「あたしら緑の民はさ~、わりと幻術が得意でね。だからさ~魔王の眼を盗み、今まで生きてこれたのさ」
「魔王?」
きょとんとするピアンザ、まったく呆れた……、そんな眼差しで見られて。しみじみと。
「よくそんなんで、今まで生きてこれたわね?」
嘆息さえされれば、些か憮然となる。
━━地下。と、言っても。暗さはさほど気にならない。疑問を口にすれば、湿気を制御されてるらしいが、その技術と地下の広さに。驚きは隠せなかった。
「あたしら緑の民は、地下に住む者も多くてね~。茸育てるから、湿度の管理が得意で、こうした場所でも居心地よい場所が作れるのさ」
自慢そうなラグは、年相応のあどけない笑みを見せてくれて、そんな顔を見せてくれたからではないが、話してる内にピアンザも彼女を信用する気になっていた。
━━ラグに案内されたのは、かなりの広さがあるちょっとした広場。この村の住人が集まれる程度の広さはありそうだ。興味深く辺りを見てると、
「ピア!」甘やかな、弾んだ声が響く。ピアンザが入って来た方とは反対側から……、白を貴重したゆったりしたローブを羽織る。美しい女性が、眼を輝かせて走って来た。
「シレーヌ?、シレーヌなのかい」
戸惑いながら確かめるように呟くと、悪戯っぽく微笑して、クルリ回って見せた。
「驚いた?、ピア」
嬉しそうに、はにかむ姿はには、確かに当時の面影があった。元気そうな姿を見れば素直に頷いた。するととても嬉しそうに、照れ笑いしていた。
「シレーヌ様。慌てずとも間もなく……」
シレーヌの入って来た入り口から、長身のエメラルドグリーン色に輝く。緑掛かった髪の青年が現れた。此方を見て、少々虚を突かれた顔をしてたが、柔らかな笑みを浮かべて、ピアンザの傍らの少女を認めた。
「ラグ早かったな。そちらがピアンザ様か?」
「そだよ~、すげ~アマアマだけど、頭は悪く無さそう」
クスクス笑いながら、悪態をさらりと言うのだ。口の悪さに些か驚いたピアンザだが、嫌な気分にならなかった。ラグ本人の資質によるものかは解らないが……、天真爛漫なレイナに似た空気を纏う少女である。
「君たちは……、もしかして?」
喉が、ひりついた……、そして……、ピアンザは知る。闇の民と呼ばれる。古代の民の長。魔王の所業を……、
━━━3年後。
王座の間に、6人の男女が一堂に会していた。
1人は緑の民の少女ラグ・エマ =ラグラド・エルバに名を変えた。
六将の1人。幻影の魔女と呼ばれる美しき女性となった。
1人はラグラドの隣に立つ長身の美麗夫。ロドラ・ギドリス=ギラム・ブライドと名乗ってる青年は、あの日にシレーヌと出会った緑の民の青年である。仲間からは緑眼の騎士と呼ばれ。魔法と剣の使い手である。現在は六将の1人となっていた。
「陛下……、我らは、世界を守るため。如何様にも動きましよう」
1人は白銀の鎧を纏い、強大な強い魔力を放つ。二本の聖剣を持った。聖騎士と名高い、ナタク・レブロが一礼する。
「我らは、必ずや大陸統一を急がねばならない!、悪行と罵られようと、世界を守るために━━」
高潔な武人ナタクらしい物言いに、ムッとした顔をしてたラグだが、直ぐにニンマリ。人の悪い笑みを浮かべていた。
「はいは~い。あたし面白いとこ見付けたよ。アレイク王国のある場所で……」
色々含みながら、ピアンザの様子を伺っていた。まさに猛毒含む笑み……、多くの人々が死ぬかもしれない暗にそう言うのだ。ナタクは忌々しそうな眼差しでラグを睨むが、ラグは異に反さない。そもそもこんな噂があった。ナタクはシレーヌと同じ光の民であると言われている。
ピアンザの胸中に、様々な渦中をもたらしたが、
「……ラグ任せるよ。存分に……、やるといい」
冷徹な光を……、底冷えする黒曜のような鋭利な輝きを。瞳に宿したピアンザは命じた……、全ては世界を救うために、魔王ピアンザは、覇道を選んだ。




